年二回の大騒ぎⅩⅥ
鳥のひなのように口をあけて、えさを待つ女性陣。
千尋は次から次へとのりで具材を巻き、その口に運ぶ。
ここでラブラブ展開がくるかと思ったが、職人技にも近いスピードでそれぞれの口に運ぶものだから女性陣が無言のまま『もきゅもきゅ(*´ω`*)』と幸せそうにのり巻きを頬張るだけの映像が出来上がった。
三十分後。
女性陣は満腹の前に倒れた。
「やぁ、ちーくん。なかなかおいしかったぞd(´▽`)♪」
「・・・どうも」
疲労しきった千尋は息を切らしつつ、詠子の賛美の声を皮肉たっぷりの言葉で返した。
「そう怒んないでよ。ほら、あ〜んして」
「え?いきなりなんです」
「いいからあ〜ん」
「あ〜ん・・・むぐっ!」
いきなり放り込まれる海鮮物の風味。
驚きはしたが、それをゆっくりと噛み飲み込む。
「いきなり何をするんですか」
「だってちーくんまだ食べてないでしょ」
「まぁ、はい」
「しっかり食べて午後もがんばってもらわないと」
ね、と笑いかける詠子に千尋は顔を赤らめながら顔を背ける。
「あ・・・ありがとう」
「もう、ちぃくんかわいい〜」
「ちょ、まぁっ!」
詠子に抱きつかれ頬ずりされて赤面する千尋をみて、義妹たちが黙っている訳もなく、我先にと動き出す。
騒がしいお昼はまだ続きそうだ。




