年二回の大騒ぎⅨ
「お~い、にぃちゃん」
いきなりの呼び出しに千尋はふりむくがそこには誰もいなかった。
「どこ向いてんだ?こっちだぞ」
またしても声のするほうに顔を向けるがそこには誰もいない。
これはなんてホラー?
「こっちだぞ。上上!」
いい加減声音で誰かを理解しながらも、その声に従い顔を上げると屋根の上に香菜がいた。
「なにやってんだ香菜。屋根になんか登って。危ないぞ」
「危なくなんてないぞ!いい眺めで気分も最高だ!」
煙と馬鹿はうんたらとは正にこのこと。
「それよりにぃちゃん!ちょっと手伝ってほしいんだけどぉ!」
千尋は少し考えた結果、近くに立てかけてあった梯子を使い、屋根にまであがる。
「こんなとこでサボってたら、景品に届かいないぞ」
「サボってなんかないぞ。ほら」
香菜が指差す先には屋根につけられた水路が。
その近くには真っ黒い藻のようなものと落ち葉が敷き詰められたゴミ袋が証拠だといわんとばかりに置からていた。
「そういえば、詠子さんが最近、水はけが悪いって言ってたな」
「そうなんだよ。だから、登って掃除してたんだ。で、掃除してる途中に|あれ≪・・≫があったんだ」
香菜が指差す延長線には、ずいぶん立派に設けられた鳥の巣があった。
その中には我城で親を待つ雛鳥が数匹、かわいらしい鳴き声を響かせながら座っていた。




