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年二回の大騒ぎⅧ
「ん、大体理解はできた」
千尋は大げさに頭を振る。
あまりに大げさで茉菜は不満そうな視線を向ける。
「まじめな話ですよ」
「いやいや、俺はふざけてるつもりなんて全然ないよ。むしろ、大真面目だよ。でもさ…」
喉に小魚の骨でもつっかえたかのような表情を一瞬浮かべ、意を決したように千尋は茉菜の頭に軽くチョップする。
「いた」
「そんな理由で、無理するのは馬鹿馬鹿しい!せっかく年二回の掃除なんだぞ。もっと、楽しまずどうする………ね?」
胸をはってジャイアニズムという言葉の由来となる人物がごとく胸をはり、堂々と演説をふるう千尋。
自分に向けられた笑みに、つられて笑ってしまう。
「お兄さまはいつも卑怯ですわ」
「いまさら知ったのか?」
千尋は気合を入れなおすように、ズボンの埃を払った。
「よし!じゃあ、もうひと頑張りいきますか」
「はい!」
二人は気合を入れて、物置小屋へ向かった。




