年二回の大騒ぎⅥ
ペットボトルの中で紅茶が小さな波紋を描き、静かに過ぎる時間に彩りをそえた。
|私≪わたくし≫こと|間宮茉奈≪まみやまな≫は千尋おにいさまとお茶をたのしんでいまうの。
といってもお掃除の休憩で芝生に座ってるだけですけど。
それでも大好きなおにいさまとの貴重なお時間ですわ。
「でも、せっかくならおにいさまに入れてもらった紅茶をいただきたかったです」
「紅茶好きの茉奈からしたらペットボトルじゃ不満?」
「不満ってほどではないですが…少々、物足りません」
「そっか。じゃあ、今度のお休みにお茶菓子でも用意してゆっくりお茶でもしよっか」
「ほんとですか!!」
「うん。でも、その代りに今日頑張れたらのご褒美だからさぼったりしたらなしだからね」
「はい!」
ふふ、おにいさまとの約束をしてしまいました。
おにいさまのこういった優しいところにお姉さま達もきっと惹かれたんだと思います。
見てください!
あの微笑を!
例えるならそれはまさに天使!!
見てるだけで心なごみますわ。
「ん?なんか顔についてる?」
「い、いえ。そんなことはないです!」
ついつい、見すぎてしまいましたの。
お恥ずかしい。
顔が火照るのが手に取るようにわかってしまいます。
否定はしましたが、おにいさまはまだ顔を気にしているようで、|私≪わたくし≫は照れ隠しも含め違う話題をふることにしました。
「おにいさま。もし、おにいさまが今回の掃除で一番をとられたら誰と温水pプールへ行くつもりなのですか?」
「ぶっ⁉な、なにを急に⁉」
慌ててる慌ててる。
顔を赤くしてかわいいですわね。
さっきのお返しですの、ふふ。
「まぁ…実際、一番になったら詠子さんか絢に渡すかな。あの二人にはいつも迷惑をかけてるからね」
「ふ~ん………そうですか」
仮にも妹だとしても告白した女の子の前で違う女の話をすとは、すこしだけ嫉妬してしまいますわ
「茉奈は誰と行くつもりなの?」
先ほどとは違った鋭い声。
少しだけ空気が張りつめる。
「なんのことですか?」
「そうだね。少し言葉が違ったね。何故、|その子のため≪・・・・・・≫にそこまで頑張ってるのかな」
「………」
こういったところはおにいさまの怖いところです。
困ったり、頑張ろうとしている時にすぐにわかられてしまいますの。
なかなか隠し事ができませんの。
「それはですね―」
私の口から出たのは愚痴に近い過去話。




