懸けた想いと消えた声Ⅶ
部屋に漂う爽やかな紅茶の香り。
窓から差し込む日射しは優しく花瓶に飾られた花を更に輝かせている。
(って……)
「なんじゃこりゃぁぁあぁあ!」
千尋はおもいっきりテーブルを叩いた。
鳳華はそれを全く気にする様子もなく、紅茶を優雅にいただいていた。
「なんでこんなに優雅なお茶会してるんだよ!!てか、他のメンバーなにお茶楽しんでんの!?
千尋がご乱心だ。
それも仕方ない。何せ、先程までとてもシリアスな空気の中にいたのに、展開そ急に変わりすぎだ。
先程までの展開ってやつは前回まで話を読んでね♪
ごほん
ま、実際、色々あって、渚を探していたメンバーは生徒会室にいた。
「全く…ゆっくりとお茶も出来ないのか千尋。お姉ちゃんは悲しいよ。昔はお姉ちゃんの為ならなんでもすると言ってどんなマナーも完璧にこなしてくれたのに」
「な、なな、なんで今その話になるんだよ!!」
千尋は顔から火が出る勢いで顔を真っ赤にした。
それが、その話に信憑性をもたせてしまった。
「わーお♪間宮くん可愛い」
「他にどんなことしてくれたんですか?」
「すごい気になります」
話の種を手に入れしまった女子は強い。
話の種は華となってその場を着飾った。
千尋は羞恥で顔を真っ赤にしながら、縮こまってしまった。
「んで、凰華さん。とりあえず、時間がないんすけど」
敏樹の声に一同はやっといまの状況を再認識した。
「や、ヤバイよ」
「ど、どど、どうしよう」
「う、うわ~ん」
女子三人は生徒会室の中を縦横無尽しはじめた。
「はは。皆、面白いね」
「笑い事じゃない」
千尋の真剣な声に凰華も手にしていたティーカップを置き、真剣な表情になる。
「んで、何を助けて欲しいんだい?」
「渚を探してる」
「んむ…鬼ヶ島ちゃんがどこにいるかわからないけど、生徒会メンバーが手に入れた面白いものがあるんだ」
そう言って凰華が取り出したのは1枚の封筒。
「これは貸しだよ」
その封筒を千尋に手渡すとまたお茶に口をつけていた。
千尋は中身を確認すると、無言のまま立ち上がる。
「前園…ちょっと付き合え」
「ん?」
千尋は封筒を敏樹に手渡すとそのまま、生徒会室を出ていった。
「ま、間宮くん?」
「ど、どうしたの?」
「か、帰っちゃうの?」
女子三人は不安そうに千尋の後ろ姿を見ていた。
「大丈夫」
敏樹はその三人を安心させるように微笑んだ。
「ちょっくらさ、いじっぱりの鬼のお姫さまを二人で助けに行ってくるだけだから、先生にちょっと待っててって言っといて」




