第三十話 爆裂飛翔!札幌への帰還
修行の終わりと同時に、札幌への帰還の刻が来る。一本ダタラの背に乗り、爆裂飛翔で空を駆ける三人。凱旋の旅立ちが幕を開ける!
組手を終え、静まり返るクレーターの中央。
クロが腕を組んで告げる。
「よし! 札幌に帰るぞ」
「今からか?」と真一郎。
「そうだよ。時間が限られてるからな」
クロの視線が一本ダタラへと向く。
「一本ダタラに飛んで貰うか」
「飛んで……? 舞空術とか教えてもらえるのか!」
真一郎の目が輝く。
しかしクロは即座に切り捨てた。
「だから、そんな時間ないんでって!」
「……術の否定はしないんだな」
「一本ダタラ」
「了解した!」
その声と共に、一本ダタラは背を向けた。
そこには――なぜか木で作られた奇妙な椅子。しかも横並びのツインシートで、ツル製の四点式シートベルトまで付いている。
「……え?」
真一郎の顔が引きつる。
だがクロは当然のように右側へスッと乗り込み、ベルトを締める。
「うむ。快適である。ほら、真一郎も早く乗れ」
一本ダタラは地面に片膝をつき、優しく微笑む。
まるで遊園地のスタッフのような動作で、真一郎を招いた。
「走って今日中に到着するのか……? ま、自力で走るよりはマシか」
観念した真一郎はシートに腰を下ろし、渋々ベルトを締める。
次の瞬間、一本ダタラはゆっくりと巨大なハンマーを持ち上げた。
「……おい! まさか!」
真一郎の叫びも虚しく、ダタラは肩越しにニヤリと笑い、その瞳が怪しく光った。
ドゴーンッ!!
大地を揺るがす衝撃音。
ハンマーが叩き込まれた瞬間、衝撃波がクレーター全体を震わせ、三人の乗るツインシートは弾丸のように空へと撃ち上げられた。
「ギャーーーーーッ!」
真一郎の絶叫が夏空を切り裂く。
眼下に広がるのは、雄大な山並みと青々とした森。クレーターはあっという間に豆粒となり、真っ青な空が視界のすべてを覆った。
「青空が……綺麗だな……」
恐怖に顔を引きつらせながらも、真一郎はなぜか呟いていた。
クロは隣で余裕の表情。
「ほら見ろ、快適だろう? 安全第一、シートベルトも完璧だ」
「どこがだあああああ!」
真一郎の叫びが空に木霊し、札幌への空の旅は幕を開けた。
空を駆け抜けた真一郎の胸に灯るのは、新たな自信と期待。そして次なる戦いの予感。物語は次章へと大きく舵を切る――。




