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過去編1話「迫害と邂逅と」

過去編です。次々回は本編に戻ります。

これ以降も時折過去編、短編、別視点などを

挟む可能性があります(今のところ過去編をもう一話書いてあります)。



あと、重め(のエピソード)です。苦手な人はブラウザバックです。

私が生まれたのは山の麓にある、小さな村だった。

そこそこに豊かな生活をしていた、まだ若い夫婦が妊娠した。


父親は茶色の髪に、灰色の目を、

母親は少しくすんだような金色の髪に、綺麗な琥珀色の目をしていた。


両親は私がどんな見た目で産まれてくるかを、飽きるほどに話したらしい。


最終的に父親に似た茶色の髪に、母親のような琥珀色の目が良いと二人は結論付けた。


でも、結果的に産まれてきたのは琥珀色の目と、不吉の印とされる”黒髪”の女の子だった。


両親は最初こそ気味悪がったものの、半日もすればとても可愛がったんだ。


けれど、村の人達は違った。

偏見や迷信などが深く残っていたのと、小さな村だったことが災いして、

迫害されるようになった。


言葉を話し、一人で遊ぶようになっても、誰も寄り付かなかった。

それどころか石を投げつけたり、罵倒して来る人もいる始末。


一人だけ、ただ一人を除いて。


その子はクロスと言った。私と似た様な身長をしていた。


クロスは無邪気に色々なことを教えてくれた。

見上げるばかりの大きな山。

草ひとつ生えない砂の大地。

地平線まで続く色とりどりの花園。

空の彼方から垂れ下がる光の布(オーロラ)

どこまでも遠くへ続く水たまり()

そして、夜空を覆いつくす光の粒(星々)


そのどれもが刺激的で面白い話だった。

すべての話を終えたクロスと私は「いつか一緒に旅をしよう。」って約束したんだ。

そのときに私も何か言った気がするけど、何だったけ。


その後、不作が続いて段々生活は苦しくなり、村の人達はそれを私の、”黒髪”の私のせいにした。


そのうち、父親は私と母親に暴力を振るうようになり、少しずつエスカレートしていった。


でも、なによりも辛かったのはクロスがあまり話しかけてこなくなったことだ。

誰もいないときにただひたすら「ごめん」と繰り返すのを見て、

何が悪いのかが段々わからなくなっていった。


しばらくして、父親は酒の飲みすぎで死んだ。


そんなある日、笑みを浮かべた母親が話しかけてきた。

髪飾りを着けるから後ろを向いて欲しい、と言われて後ろを向くと頭に袋を被せられた。

抵抗する間もなく、腹を殴られ、運ばれた。

手足を縛られ、何か台車のような物に乗せられ、運ばれた。


クロスが私の名前を叫んでいた気もするが、わからない。

何時間か、痛みと恐怖に耐えながら震えていると、

頭の袋と手の紐を外され、台車から降ろされた。


どこかの町の貧民街だった。

追加で軽く殴られ、ぐったりとしたまま。壁にもたれかかった。


その後1日と半日ほど貧民街をふらつき、出ることを諦めた。

当時の私に立体的な迷路のような街を走破するほどの力はなかったのだ。

それにもう、動けるほどの元気が残っていなかった。




それからもう半日後。彼女が、フィル・()リコレット()が、救ってくれた。



ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


痛い、空腹が辛い。もう動けないし、動きたくない。喉が乾いて熱い、いや痛いのか?

そんな腹の足しにならないような思考を、数千と繰り返していた。


「ねぇ、貴女。」


五感が麻痺するほどに痛む体を動かし、声の主を見る。


...体格に合わない大きな、深紅のローブを着た、まだあどけなさが残る少女が、立っていた。


「私と、一緒に来ない?」

悪いようにはしないわよ、と少女は言う。


コレは私が最後に見る都合の良い幻覚か、

と回らない頭で考え始め、すぐに中断する。意味のないことだからだ。

ここで果てるぐらいならついて行ってもいいか、救われるなら尚良し。

と脊髄反射で結論を出し、手を伸ばす。


「行......く......」


必死に出した声は弱く掠れていて、喉が必死に水を欲しているのがわかった。


少女はニッコリと笑い、私の手を掴む。


「じゃあ、行きましょう。」


そう言って手を引き、立ち上がらせる。

体に上手く力が入らず、目の前が一瞬暗くなり、音が遠のく。


「っっ!いきなり立ち上がらせるべきではなかったわね。...ほら水よ。ゆっくり飲みなさい。」


私の体を抱えるように支え、水筒を口に近づけてくる。

久々の水はおいしかった。いきなり飲んだせいで、体が拒否反応を起こして吐いてしまったが。


「...()れちゃったか。ゆっくり飲みなって言ったのに。」

「けほっ......ごめん、なさい....」

「謝らなくていいから。今から家まで連れてくから持ち上げるね。」


そう言って膝の裏と背中に手をまわし、私を持ち上げる。

「軽っ!?...家へ急ごう。」


私を持ち上げたまま、軽快な足取りで走り出す。

それほど揺れないことから、気を使ってくれているのがわかる。


「ごめんなさい...私なんか....」

「謝らなくていいよ。それに貴方はひとまず仲間。気遣いはいらないよ。」


その声にはちょっとの悲しみと優しさが詰まっていた。


一定の振動と少しの安心感が猛烈な眠気を呼び起こし、

柔らかな少女の体に身を(ゆだ)ねて寝てしまった。




過去編1話「迫害と邂逅と」END…To be continued




どうでしたか?

1話の最初の部分の伏線回収でした。


誤字脱字報告、質問など気軽にどうぞ。

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