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2.野宿

目が覚めると教会のような

建物の中にいた。


陽の光が窓から入ってきている。

朝だろうか?


「おはようございます。使徒様」


自分がいるのは

少し高座のようになっている場所らしく、


その前方、

やや下のほうから声がした。


そこには、

教会の制服のような

白地に青い縁の服を着た、

やや小柄な美女が跪いていた。


…異世界万歳。


前世ではテレビでしか

見たことが無いような美人だ。

20代前半だろうか。


職業は大手局のアナウンサーです、

と言われたら

納得してしまいそうな容姿だ。


「お、おはようございます。

使徒様って俺のことですか?」


「勿論でございます。

昨夜、私の夢に女神ツクリナ様の

ご神託がございましたので

普段は昼前まで寝ているのですが、

今日は早起きしてお迎えに上がりました。」


…この巫女さん、緩すぎない?

ていうか余計な事言うタイプの人じゃない?

まあ、いいけどさ。


「あの女神様、ツクリナ様っていうんですね。

この国を救ってくれと言われたんですけど、

具体的には何をすればいいんですかね?」


「私が仰せつかったのは、

使徒様をお迎えして王宮へ

お連れすることと、スキルを使って

自活できるように

お手伝いすることだけです」


「めっちゃざっくりですね」


「女神ツクリナはざっくりというか、

大らかな神様でして。

そのせいか、

この国の民も大らかな人が

多い気がします。

『そのせいで信仰も国力も上がらないんだけどね~!』

とおっしゃっていましたけど」


笑いながら話しているけど、

それ笑いごとじゃないだろ。

ちょっと面白いけどさ。


「この後は町外れの広場に

お連れ致します。

そこで一泊されるようにとのことです。

明日、改めて王宮へお連れいたします」


「え、せっかく迎えに来てくれたのに、

宿か教会に泊めてくれないんですか?」


「はい、

『スキルを使わせないと成長しないからね~』

とのことです」


ニコニコしながら

野宿を強要してくる。


…まあ、ソロキャンプと思えばいいか。

ハードモードなのは予想してたし、

美女が相手なら多少は許せる。


ライフデポには

アウトドア用品が揃っていた。

テント、飯ごう、米、水…、

非常食的な缶詰とかもあったな。



こうして、巫女さんに

町外れの野原に連れてこられ、


「まずはここでスキルを使って

自活されるようにとのことです。


ところで申し遅れましたが

私はアーヤ=ヒローナと申します」


「アーヤさんですね。

俺はタクミ=テヅカです。」


「ではまた明日~」




と言われて放置される。

まずはホームセンターの物資を手に入れないと…。


と思った瞬間、死んだ記憶が蘇った時と同じ

記憶のジェットコースターのような感覚が襲ってきた。

今度は、死の瞬間じゃなくて、

女神からスキルのチュートリアルを

教わった記憶だった。



真っ白な空間に、自分と女神だけがいる。

女神が言う。


『ホームセンターの物を取り出すには、

慣れるまでは瞑想が必要なんですよ』


瞑想?


『そう。まずは目を閉じて、

自分がホームセンターにいるイメージを

思い浮かべてください。

そして、そのイメージがしっかりと確信に変わったら、

売り場を回って必要なものを取るのです。

商品が多いときはカゴに入れてもいいですよ』


なんか、普通の買い物みたいだな。


『神力で単純化されているとはいえ、

物体の転送を行うのに必要な手順

というのがありましてね笑、

慣れれば小さめの物であれば

一瞬で取り出せるようになりますよ』


なるほど。

ドラえもんの道具みたいな便利スキルだけど、

スキルだから慣れもあるわけね。


『そういうことです』


『あと買い物に使える残高は

タクミさんの貯金の200万までしか

使えないことと、私の神力アップで

残高がちょっと増えます』


そこ、微妙にリアルなんだ笑


『そうなんです。

無限に使えたらもっと便利なんですけどね。

神力とは言え、元の世界の因果律的な制約を受けます。

お金は血と汗の結晶ということですね。

当面は心配無いと思いますが、

無駄遣いもできません、

ということでお願いします』


承知しました。




野原に座り込み、目を閉じる。

ライフデポの店内をイメージしてみる。


すると、イメージというよりは、

実際にコーシンに転送されたような感覚を覚え、

目を開けると、本当にライフデポ店内にいた。


これがスキルか。

でも、ちょっと楽しいな。


誰もいない店内で、

ソロキャンプの道具を物色する。


入口付近にあった大きめのカートを引き寄せ、

アウトドアコーナーへ向かう。


まずは少し広めの一人用テント、

飯ごう、炭、チューブ燃料、ライター、寝袋、

クッションマット、キャンプ用の椅子も欲しいな。


そして食料品コーナーに向かい、

一番小さい2キロの米、水、サバ缶、

野菜ジュースをカートに入れる。




そして再び目を閉じ、

元の場所に戻るイメージをする。

現実に戻る感覚を味わいながら目を開けると、

野原に戻り、目の前にはカートに入れた物資があった。


スキルすげえ!ちょっと感動するわ。

ゲットした物はめっちゃ普通だけど…笑




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