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1.ハードモードであっても

いつものルーティンで、

ホームセンター「ライフデポ」にふらりと寄った。


先日80万円で買ったボロ物件の

リフォーム資材を買うために。


ライフデポの店舗の中でも、

この店はかなり品ぞろえが良い大型店舗だ。


外壁材、H形鋼など他の店には無い

本格的な建設資材もそろえており、

見ているだけでも様々なDIYアイデアが湧いてくる。


今は一人でボロ1軒家を

ユーチューブ等を参考にしながら

チマチマリフォームしているが、

もっと収入が増えたら何人も職人さんを雇って

理想の家をリフォームで作り直したり、

20部屋くらいあるアパートを

全面リフォームするのが当面の目標だ。


そんなことを考え店に入る 

ーと、違和感しか無い。


この時間のこの店に、人がいない。


店員すらいない。

郊外とはいえ50万人が住む市内の

そこそこでかいホームセンター。


土曜日の午後2時に、

人がいないなんて異常すぎる。


と、思っていたら目の前に

霧のような白いモヤが現れ、

やがて人の姿になった。

ホームセンターの制服を着た女だ。

長い黒髪、整った顔立ちの美人だが、

惹かれるというよりは

朧気でつかみどころが無いような。

そもそも人なのかすら怪しい。

幽霊?妖怪?


「こんにちは。テヅカタクミさん」




俺の名前を呼ぶ。

あまりの異常さに頭が真っ白になり

うまく答えられない。


そもそもなぜ俺の名前を知ってる?


「…」


社会人とはいえ、

基本自宅でwebライティングやDIYで

ショボい1軒家を直して賃してる自営業で

仕事でも人付き合いは最低限。


そのうえ友達と会うのも

1年に数回程度しかない。


喋るの自体久しぶりで、

気の利いた答えなんか出るはずもない。


「固まるのも無理は無いですよね。

私は異世界の神です。初めまして。

さすがに制服はおかしかったですか?」


ニコリとしながら言う。


一瞬、何言ってんのやべー奴?


と考えたが、

状況の方がはるかにヤバいので

信じるしかない。


「…みたいですね。俺みたいな凡人に何か?」


「はい、用事があります。

悪い話でも無いと思いますが…。

単刀直入に言うと、

異世界のある国を救ってほしいのです。

と、言うかですね。

貴方、もう死んでます」


「え」



記憶のジェットコースター のような?

一瞬で記憶が蘇り流れた。


ホームセンターに来る途中、

俺はバイクに乗っていて

センターラインをはみ出した

白い軽自動車が目について、


「コレやば」


と思うと同時に

その車と正面衝突したのだ。


「まあそういう訳でして、

彷徨う魂の有効活用というか、

第二の人生いかがでしょうか?」


「…そっか。俺死んだんですね。

まあ人生やり直せるなら

悪い話ではないんですけど」


「ありがとうございます!

では早速転送しますね!」


「いやいやちょっと待ってくださいよ!

次どんな世界でとか、

あとこういうのって神スキルを

与えてくれるとか無いんですか?

異世界転生ものの定番っていうか」


「もちろんあります!

あなたにピッタリの特別なスキル!

その名も、”ホームセンター”」


「ホームセンター??」


ぜんぜん神スキルっぽくないけども?

ホームセンター??


「いつでもホームセンターライフデポの

物資を使える神スキルですよ!

……す、すごいでしょう?」


いやあんたも外れスキルと思ってない?

あと強引に話進めようとしてない?


「なんかしょぼくないですか?

全てを切り裂く聖剣とか

不死のスキルとか、

異世界で無双できる神スキル

選べたりできないんですか?」


「……漫画の読み過ぎでは?」


「否定はできないですけども。

ていうかホムセンの物資だけで

国を救うとかハードモードでは?」


「だって…神力が足りないというか。

そんなん付与できる力あったら

私を信仰してくれる国が

ピンチになってませんし…」


女神が申し訳なさそうに

人差し指突き合わしながら

ションボリ言う。


「神力不足なんだ…。

あとその世界の文明度とか

どうなってます?

スマホとか無いですよね?」


「地球で言う中世とかなんで無いですね」


「……ちょっと考えさせてもらえません?」


転生したら無双どころか

日本よりハードモードとか

行きたくねえよ。


「……行ってもらう国の人って基本、

日本人に近い顔立ちなんですけど

美人率高いですよ。

乃木丘とか日向丘みたいな

感じの日本だとアイドルに

なれるような子も珍しくないn-」


「やります」


何を迷うことがあっただろうか。

ハードモードであっても

乃木丘とか日向丘とかハ●カンが

ゴロゴロいるならそれは

スイートモードでしかない。


「乃木丘の推しみたいな子と

付き合えるならば!

一日100キロ走れと言われれば

走れますよ俺は!」


「ありがとうございます!

それでは転送しますね!」


「了解しましたあ!!!」


「それでは、行ってらっしゃいませ!!」




こうして、俺は異世界転生をしたのだった。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。


ひとまず1話。

定番の事故死→転生です。



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