怒りの再燃‼
今まで俺がダンジョン内で戦力を増やしている間に起こった、出来事を教えてもらった。
なんでも俺が転移魔法で悪魔が眠っている部屋まで飛ばされてから、半年ほどたったころ、
アメリカの東海岸近くにあった謎の大陸(ダンジョン発生時と同時に出現)が何らかの魔法道具で世界中に宣戦布告をした。
その後、急遽現れた不審な大陸に恐怖を抱いた、アメリカ大統領が軍事行動に移ったが報復され1月後に敗戦した。
各国の対応は様々で日本はアメリカの敗戦後の占領統治の状態を把握し、第四身分としての地位を確保するために、協力的に立ち回った。
一方、ロシアは敵国であるアメリカが簡単に負けてしまった事に浮かれ、核戦力を用いれば勝てるのではないかと考え、核ミサイルを大陸に向けて発射。結果は何者かの能力なのか、発射されたミサイルが反転してモスクワに着弾。
中国は交戦には否定的だったが、アメリカからの情報でロシアとの関係性状、危険だと判断し中国全土の10分の3が消失するほどの魔法攻撃が行われた。この魔法攻撃はあらゆる媒体で世界に生中継され、多くの国が降伏を余儀なくされた。
と、思ったよりヘビーな内容で正直ドン引きである。
因みに先の大戦ですぐさま降伏を受け入れた日本の扱いは、ほかの国と比べてかなり緩い対応だった。他国では人権を失い、奴隷制が導入されるなど中世ヨーロッパの様相をていしていた。
各国との戦争が終了してから大陸国家の名前が知られることになる。(レスティア帝国)アフリカ大陸の二分の一ほどの大きさだ。
厳格な身分制度があり、皇帝→皇族→貴族→平民→地球の統治に協力した国々→敗戦国の国民
と、分けられているらしい。
「ココア…すごくビックリしたけど、教えてくれてありがと…あの件はそのまま進めておいてね…」
「もったいなきお言葉でございます。完璧な準備をさせていただきます。…冒険者ギルドですが、近くには無いようなので近くの都市で登録いただければと思います。ご不便をおかけしてしまい申し訳ございません!」
「気にしないでいいよ!またね…」
カチャッ…
「って事で、二人共…母さんが心配だから、会いに行くよ。…一緒に手をつないでね。」
「わかりましたわ!…ギュッ…」
「では、手を繋がせて頂きますぞ!…ギュッ…」
スライムとはいえ、渋めのおじさんとお手々繋いでる!…初めての体験だった。冗談は置いといて、恥ずかしい呪文を詠唱する。
「大地の深淵、天の高み、万象を超えて道を紡げ。
―――転送せよ、次元の彼方へ(ディメンション・スライド)!」
俺の目の前には焼け落ちた実家の姿が写った。おかしい…こんなのおかしいじゃないか⁉
何で町自体は残ってるのに、俺の家だけが消し炭になってるんだ!
少し中に入ると、母さんが大切にしていた亡くなった父からもらったネックレスがそばに落ちていた。母さんは…生きてるよな…?勝手に死ぬなんてないよな…俺はあるはずのない希望にすがりたくなっていた。状況で分かっているが感情がそれを邪魔をする。
「ご主人様…」
「主様…」
「どうして…どうしてこんなことに…」
「誰であろうと許さない!…必ず……必ず、敵を討ってやる……!必ず見つけ出して、生まれてきたことを後悔させてやる‼」
俺の瞳に宿るのは、決して消えることのない憤怒の炎だった。こぶしを握り締め、血がにじむほど力を込める。炎のように燃え上がる魔力が体を包み込み、空気がゆがみ、周囲を焼き尽くした。
2,3分後…
トゥルルッ…ルルッ…
「はる様!…お電話ありがとうございます。ど、どうされましたか?」
「アリシア……頼みたいことがあんだ!…俺の母さんが殺されていたみたいなんだ…君ならその犯人、捜せるよね?」
「はる様…私の全力をかけて探し出して見せますわ!」
「アリシア……任せるよ。」
俺にとって母さんは、たった一人の肉親だった。確かに親孝行なんて全くできなかったけど、俺が辛いときにそっとしてくれた優くて大切な存在なんだ。
楽園でココア達が仲間になり、家族の大切さに気付かせてもらった。だから、この痛みを決して忘れることはないだろう。
「二人ともごめんね、怖がらせちゃったよね…」
「ご主人様、私も楽園のお友達に何かあったら、同じようになると思いますわ!」
「リリア嬢の言う通りじゃよ。じゃが、これから行く協会ではさっきのように殺気は出さないようにして欲しいんじゃ。」
「二人ともありがとう…じゃ、行こっか!」
恥ずかしくて、顔が赤くなるが、呪文を唱える。
「空間を裂き、時を歪め。ここに新たなる道を作らん!
――虚空を渡れ(ヴォイド・クロス)!」
俺達は、近くの都市の渋谷にやってきた。目の前にはスクランブル交差点があるのだが、その中央に巨大な白い塔があった。
「あ、あれは…!」
一瞬で分かった、これはダンジョンだ。周囲から魔力が溢れ続けているからである。
建物から魔力があふれ出るという状況は通常考えられないが、ダンジョンであれば話は別である。
ダンジョンは内部のモンスターが倒されると余分な魔力を外部に出す能力を所有する一種のモンスターなのである。
「直人様、私達の目的通り探索者協会に行きますわよ~」
「そうじゃったな。わしもリリア嬢に賛成ですぞ…直人殿!」
「そうだったね…僕がしっかりしないといけないよね。じゃ、そこにいるおじさんに協会の場所聞いてくるね…ゴブ蔵さん達も周りの人とかにギルドのこと聞いといて…」
トコトコトコ…
「すみません…お兄さん!聞きたいことがあるのですが、『探索者協会』ってどこにあるんですか?」
「あ~…協会だったな。…あそこの道を真っ直ぐに進んで右手に『ヒカリエ』があるんだが、そこに入ったらわかると思うぞ…」
「ありがとうございます!…今から登録しに行くんですけど、必要なモノとかってわかったりしますか?」
「探索者登録するなら今はやめといたほうがいいぞ!…さっきから治安維持隊のやつらが獲物を狙ってやがる。…もし行くんだったら飲み物とタオルは持って行った方がいいぞ!」
「ご忠告ありがとうございます!…失礼します…」
トコトコトコ…
「僕の方はギルドの場所を教えてもらえたよ!…みんなどうだったかな?」
「私の方も収穫がございましたわ~治安維持隊っていう、日本総督府直属の機関があるみたいですの~なんでも、治安維持を名目に一般人から略奪を働くような方達らしいですわ~」
「そういえば。俺もさっきのおじさんに治安維持隊がどうのって言われたよ。…ゴブ蔵さんはどうだったのかな?」
「わしは、胸のふくよかな女子がおったから、声をかけてみたんじゃが…どうやらレスティア帝国とやらに統治されるようになって、市街よりダンジョン内の方が安全なレベルに治安が悪化しているらしいですぞ!」
「そうだったんだな…確かに、道路とかも至る所にヒビ割れがあるし、日本とは思えない悪臭が漂ってるもんね…リリアは大丈夫?…体調とか…」
「心配してくれて嬉しいですわ!ご主人様。…私はなるべくなら早めに違う場所に行きたいですわ~」
「それもそうだな。じゃあ、ヒカリエに向かおっか…」
「ここを変えたらもっと良くなる!」
「続きが気になる、読みたい!」
「展開が気になる!」
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