傲慢貴族との遭遇!
その頃、はる達は50階層を探索していた。通常は階段を探す時間がかかるのだ。
だが、はる達は探索魔法を広範囲に展開し壁を壊して進んでいる。これによって通常では考えられない探索スピードになっている。
「直人様、子爵の方ってどんな方なんでしょうかね~」
「わしが聞いた話だと、悪趣味な性格をしているようですぞ!」
「どんな感じのやつなの~?…っていうかいつそんなの聞いたの?」
「けさ方、ホテルの近所に住んでるご婦人に聞いたんじゃが、人間をモンスターの餌にするのが趣味らしいですぞ!」
「想像はしていたが、軽く超えてきやがったな。…これで、何の遠慮もなく手が下せるな!」
「直人様…かっこいいですわ~」
「地上の話では、50階層ぐらいにいるって話だったけど、今はどのぐらいの階層にいるのかな~?」
「わたくしが聞いたところによると、一日で早い方でも5階層の探索が限界らしいですわ~」
「そうだったんだ…。じゃあ、もしかして俺たちってペース早すぎだよな…!」
軽く話していると、先の方から明かりが見えてきた。どうやら、誰かが野営をしているようだ。
「直人様!…わたくしが先行して見て参りますわ~」
「リリアだったら大丈夫だと思うけど、無理しないでね!」
「嬉しいですわ!…ご主人様の為に頑張って偵察しますの‼」
『トコトコトコ』…彼女が相手方に分かるように足音を立てながら歩いていくと、目の前には豪華な絨毯がひいてあった。そこには女の子の上に覆いかぶさるように寝ている、小太りな男がいた。
「だ、だれかいるのか⁉…」
リリアの気配に気づいたのか、冒険者の男が暗闇に向かって声を掛けた。リリアもわざわざ分かるように足音を立てていたので、名乗りを上げる。
「失礼いたしますわ、わたくし冒険者のリリアと申しますわ~」
「何の用でこちらに近寄ったのだ!…」
「警戒されるのは、理解できます。…わたくし達もそろそろ野営をしようかと思って、安全地帯を探していたんですの。」
「そういうことか…そうだな、実はここにはお偉方の護衛できているから野営のスペースを共有は出来ないんだ!」
「そうだったんですのね!…では、わたくし達はここから少し離れた場所で野営いたしますわ。」
「すまない!…協力感謝する。」
こうして俺達はハゲメット達から10mほど離れた地点で野営をする事になった。本当はもう少し近くから色々としたいことも有ったが、ここは妥協しよう。…リリアが帰ってきてから少し話し合いをした。
「リリア、面倒なことを受けてくれてありがとな!」
「もったいないお言葉ですわ」
「この後は、どうするんじゃ。主様!」
「先ずは、情報収集が必要だろうから俺が諜報してみるよ!…こういう時のためにアリシアとりんかに特殊魔法教えてもらってたんだ。」
自信満々に答えた俺は、魔法準備のために詠唱を口ずさむ。
「我が声に応えよ、古き知識の精霊たちよ。時間と空間を超え、隠された真実を我が前に示せ…闇に秘められし謎を暴き、失われた声を我に届けよ。万象の記憶、我が知識となれ…
…『インフォ―マリス・インテリジェンス』」
詠唱が終わると同時に、手のひらから光の糸が放たれ、周囲の空間に蜘蛛の巣のように広がっていく。そして、数秒ほどして俺の周りには光の文字や映像が、次々と現れた。これは、指定した範囲で一定期間起こったあらゆる事象を映像として収集する魔法である。
「ングッ…こ、こんな量が一気に入ってくるなんて…!」
俺は、初めて実戦で使った魔法の情報量に吐き気を感じる。
「ご主人様!」
「主様!」
「大丈夫だ。……少しビックリしただけさ…。どうやら、あいつらの護衛対象はダンジョン内でも、かなり好き勝手やってるみたいだな。流石にさっきの魔法でもあいつの頭の中まで覗けるわけじゃないから、拉致ってアリシアかココアに任せることにしよっか…」
「だが、どうするんじゃ?…寝込みを襲うのかの?」
「そんな必要ないよ。きっと近づいてたらあっちから罠に引っ掛かってくれるさ…!」
俺達は、野営の準備を始める。絨毯にはエメラルドグリーンの金色の刺繡が施されていている。野営場の中央には黒曜石で作られた豪華絢爛な焚き火が置かれ、その周りにはトロピカルフルーツや新鮮な肉が串刺しにされ、香ばしい香りが漂う。
後は、獲物が引っ掛かるのを待つだけだ。普通こんな罠に引っ掛かるやつは居ないが、さっき見た彼らの記憶から間違いない方法だと思った。
「おい!そこのお前ら‼…その場所を俺によこせ、お前たちが使うより高貴な私が使ってこそ意味があるのだ!…」
「申し訳ございませんが、先程…そちらの方達から一緒に野営はできないと言われたので、こちらに拠点を置かせて頂きましたの。ですから、こちらの場所を提供をすることは出来ませんわ~」
「黙れ、小娘!私が渡せと言ったら渡すのが、平民であるお前ら底辺の奴らの最低限の義務だ。そんな事も分からんとはこれだから、下民は!…だが、顔だけは無駄にいいみたいだから私の奴隷にしてやる‼…喜べ、下民!」
自分の言ってることが絶対であるハゲメットはズカズカと俺達の拠点に入ってくる。そして、了承なく肉の串焼きを手に取りかぶりつく。まるで、血に飢えた獣のようだ。
「ここまで礼儀のない奴だとはびっくりしたよ!…バカも休み休みにしてくれ…。」
俺の発言でその場が凍り付いた。貴族側の冒険者は絶望的な表情を作り体を震わせている。執事は我関せずと言いたげなそぶりで距離をとる。
「貴様‼…貴様ごときが、私をあなどるとは何事か!この私は子爵家、次期当主の『ハゲメット。グレイナル』だぞ!」
彼の声は怒りで震え、周囲の空気を一層張りつめさせた。
「取り合えず、うざいからさ…その口、閉じてくんないかなー。」
「下級市民の分際で私に指図するとは、よっぽど躾けられたいのだな!……今ここで、その傲慢さを思い知らせてやる‼…」
明らかに自分に帰ってくるブーメラン発言に苦笑してしまう。それが、ハゲメットのプライドを傷つけたのだろうか、手に持つレイピアで威嚇のポーズを取る。
「どうした?…来ないのか…言葉だけ達者な愚者だったかw」
「黙れ‼…フェニックス・スラッシュー!」
普通の振りに痛い名前を付けたようだ。可哀想に…俺にもそういう時期があったよ…。
俺はすべての攻撃をかわす。息遣いが荒くなったハゲメットの吐息がこだまする。
「そんなに興奮してどうしたんだ!…もっと頑張れよ。お貴族様の意地とやらを見せてくれるんだろw」
俺の剣がハゲメットの鎧に触れると、金属が鋭い音を立てて鳴り響き、体をよろめかせた。
「な、なぜだ!こんなのおかしいじゃないか‼…き、貴様などに私が劣勢になどなるなど、ないはずなんだ!…ルルッ!…こいつを殺せー‼…」
自分で倒せないと悟ったようだな。にしてもルルって誰だ…?
「バシンッ!…」
「面白かった!」
「この後気になっちゃう!」
「リリア嬢可愛い!」
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