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疾ばしや瞬
戦後間もなく、姥偉通で働く歩荷瞬は俊足を活かして、生活物資を港町から山々の集落まで運んでいた。
病弱な母のため、やむなく重労働に励む瞬。
そんなある日瞬は、町の一角を取り仕切るヤクザ者で、毎日彼の自宅の地上げに来る男:山さんから一攫千金のゲームを勧められる。
それは、異邦から密輸入されたコモドオオトカゲ:鄭竜に山中で追われるというものであった。
提案は勝利すれば山さんは、土地の地上げについては諦める上に賞金の一部を渡すというもの。
参加することを決意した瞬は準備と称して、血が滴る肉を腹に巻きつけられる。
薬を打たれて興奮した鄭竜はそんな瞬を餌として追うのであった。
距離は丁度500メートル。
他の参加者が次々と命を落とす中、瞬は辛くも勝利する。
がしかし、瞬は山さんに射殺され命を落とす。
彼の死は事故として処理され彼の母は一人自宅で息を引き取るのだった。
彼の自宅は競売にかけられ、山さんが町から買い取り、家は取り壊され大規模な道路が建設されるのだった。
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