第1話 美少女発見
影山澄人、23歳独身彼女なしでフリーター、そして、ナンパ師。これが俺の肩書きだ。
ナンパ師とは再現性があるノウハウを使い、街で女の子をナンパしてそのままお持ち帰りを狙うという、まぁ何ともゲスな連中である。
生まれて20年全く女子に縁が無かった俺は大学中退と共に一念発起してナンパを開始。今では99人の女の子を抱くまでに至った。
今日は平成31年4月30日、つまり平成最後の日だ。
平成最後の今日、俺は100人目の女の子をゲットして本物の男になる!そう誓い、練馬区にある家を出た。
電車に揺られ30分、新宿歌舞伎町に着いた。
俺はよくここでナンパをしている。今日もネオンが眩しい。
スカウトマンやキャッチにさえ気を付けていれば、こんなに良いナンパスポットはない。
キャバクラや風俗等の夜職をしている女子に巡り会えるからだ。
「こんばんは!」「こんばんはぁ〜」「こんばんわに〜」
早速無雑作に声をかける。ナンパは運ゲーだ。とにかく声をかけないと始まらない。無視なんて当たり前。そうして声をかけていると、見覚えのある人が近付いてきて話しかけてきた。
「ん〜平成最後の日だってのに反応渋いね〜。スミ君は今日調子どう?」
俺に話しかけてくれたのはケンジさん。歌舞伎町でナンパをしていて知り合った。普段何をしているかは知らないが、人柄は優しい。優しすぎて、あまりモテない。ケンジさんは今日も街に出ていた。名前は勿論偽名だ。
スミ「今日も駄目ですね〜。最近調子悪くて。でも今日ゲット出来れば通算100人になるので、何としてでもゲットしますよ!」
自分を奮い立たせながら俺は言った。
ケンジ「お!スミくん元気あっていいね!そうか通算100人かー。僕の方が歴長いのに、いつの間にか抜かされちゃったな〜。」
ケンジさんは俺のことを褒めつつも、何処か少し悔しそうだ。
ケンジ「でも今日はいけるでしょ!服装もいい感じだし、ヘアセットもいつもより決まってるじゃない?テンションもいい感じだし...ってアレ?」
ケンジさんは急に遠くを見て、俺の後ろを指で指した。
ケンジ「あの女の子変わった服装だけどコスプレイヤーかな?それに周りをキョロキョロ見てる。歌舞伎町に来たのは初めてなのかな?」
見るとそこには青いワンピース、というよりはドレス?を着た女の子がいた。
スミ「なんだあの子!なんのアニメのコスプレなんだ!?でも、可愛い・・・。」
その女の子は確かに変わった服装をしていた。だがそれと同時に可愛かった。どれくらい可愛いかというと、今までナンパしてきた中でも見たことがない可愛さだった。
ケンジ「スミくん!あの子は行くしかないでしょ!スミくんの100人目に相応しい子なんじゃないのかい!?」
スミ「そうですね!でも、先に見つけたのはケンジさんなのにいいんですか?」
ケンジ「そりゃ僕も行きたいよ!でもいいんだよ、今日は特別な日だからさ!あの子が何処かに行かない内にほら行った行った!」
ケンジさんはそう言いながら、俺の身体を女の子のいる方向へと押した。
スミ」「ありがとうケンジさん!上手くいったら、今度テキーラ奢るよ!」
ケンジ「ははは!僕がお酒弱いの知ってるくせに!頑張ってきな~。」
ケンジさんにお礼を言い、僕は駆け出した。