実験、スケルトンを女体化する?
まずは布団を取り出し、リッチにその上に横になるよう指示する。
ダンジョンマスターである俺の配下なリッチは絶対服従。
女神であるエターナルより俺の指示を優先するくらいだ、素直に従ってくれる。
「ユージ、どうするつもりなの?」
エターナルは怪訝そうだ。
リッチは上位種とはいえスケルトン。ぶっちゃけただのガイコツ。
ガイコツに通販で買ったメイド衣装を着せるつもりじゃないでしょうね、くらいに思っているだろう。
エターナルの発想ではそれが限界。
女神といっても、しょせんは異世界人ということだろう。
だが俺は日本人転生者。
異世界人の斜め上を発想する。
すなわち女体化知識チートである。
「ふっふっふ。俺はこのためにリッチに指令して第二層のゾンビを討伐してもらっていたのだ」
結果、第二層はすっかり片ずいている。
さすがはボスモンスターである、リッチ。
思いだして欲しい。
第一層のボス、ワイバーンを討伐したことで俺はワイバーン……の能力のみを召喚可能となった。その力=重力操作で異世界マンションに機動力を与え、不動戦士<プチ機動戦士へと進化を遂げた。
であるならばゾンビを討伐した後は、ゾンビの能力だけを召喚させることが出来る道理である。
「まさかユージさん、あれをやるつもりでは?」
上級神は察したようだ。
中級のエターナルより転生前の日本文化に知見が深いらしい。
そうなのだ。
ゾンビの能力+知識チートによる女体化……その方法が、これだ!
こねこね……
ゾンビの肉を粘土状に加工し召喚!
美少女フィギュアを作る要領で骨人間であるリッチの骨格に盛り付ける!
「なんだかオリエント工業のラブドールみたいだよ。ユージさん!」
「まあ。身もふたもなく言えばそうかもしれん」
頭に?マークを飛ばしているエターナルにわかりやすく説明するため、実際にオリエント工業のウェブサイトに飛ぶ。
こんな感じと説明した。
今時のダッチワイフすごすぎね?
ふむふむ、と頷くエターナルが、さすがね、なんてことはまるでなくジト目で……冷ややかに俺を見つめる。
「すごいよユージさん。手つきがプロっぽい!」
ま~な。
生前の俺は独身のおっさん。若いころは美少女フィギュアを自作してみたりしたこともあるんだ。
プロレベルにはとても及ばないが趣味レベルなら、何とかなる。
具体的には……服はまったく作れないが、全裸なら何とか!?
「……。」
エターナルが冷たい目で見つめるのは、俺だけではなく妙にノリノリな上級神に対してでもある。
よかった。
これで視線が分散される。
俺一人だけを変態を見るような目で眺められたら、心が折れるところだった。
言い訳をしておく。
「というがなエターナル。じゃあ、男の体を作るのかってことだ? はじめてリアルの体を得たエターナルの目の前で、チンチンのついたボディを創ったら、それこそセクハラだろう?」
エターナルの立場上、イケメンの方がよかったとは言えないはずである。
じゃあイケメンボディになったリッチと獣姦したいのってことである。
現状のエターナルではそうなったら快楽堕ち必死だ。
悪人につかまった対魔忍のように感度数千倍ボディが、んほ~りゃめ~感じすぎちゃう~♡になることは必定。
ご飯を食べるだけでエクスタシーに至ってしまう現状なのだ。
ならば同性である女性の体にリッチを造形するのが安全!
「そう、これはエターナルのためでもあるのだ」
「その割にユージはノリノリだけどね(あと上級神も)」
目線を合わせないように上級神と二人、こねこねに集中する。
「ユージさん、ごめん。上級神の立場上、手伝うことが出来ない」
「気にするな。神界ルール的にセーフだと確認できるだけで、安心してエロフィギュア作りに専念できるというものだ」
あ。エロフィギュアって言っちゃった。
ごまかさないと……
「それにだ、エターナル。リッチの女体化は人間社会への侵入を考えても合理的なんだ」
美少女な姿となったリッチが冒険者ギルドに登録に→当然絡まれる→討伐
美少女なリッチが腐敗貴族に手籠めにされそうに→成敗
「と、このような段取りで、収入を得る(悪人の財産を分捕る)ことが可能に!」
エターナルが考えこみはじめた。
そうなんである。
一見ふざけているように見えるリッチの女体化だが、これはこれで収入を得るには手っ取り早いんである。
「例えば。一月当たりの食費を仮に1000万円とする(日本からネット通販で食材を調達すれば、10万×100倍でそうなる)、年間当り1億2000万円。それだけの収入を得る冒険者は?」
上級神が俺の振りに応えてくれる。
「1億円年収クラスは地方都市で10人がせいぜいだと思う。これが各国の王都のような大都市となれば、その10倍の10億円クラスの年収を得る冒険者が同じく10人ほど。ただし、このクラスになると人間社会に知れ渡るのはさけられない。われわれがいきなり10億円年収クラスとなるのはいささか、現在の世界への過剰介入だ」
「うむむ」
エターナルが考え込んだ。
異世界:エターナルに過剰な干渉は避けるべき。
となるとわれわれの冒険者活動は慎重に。
=地方都市でmax年収1億程度。
だがしかしすべてをネット通販に使うならば、体感では100万円がせいぜい。
正直、贅沢せずコストを切り詰めてもギリギリである。
もうちょっと欲しい。
だがしかし10億クラスのメジャー冒険者になるのは避けたい。
となれば……
「あえて女体化し美少女となったリッチを餌にすれば悪人をあぶりだせる→悪人の討伐は世直し!」
「た、たしかに世直しをしてもらうのは、私がユージを召喚した目的にも合致する……のかしら?」
「悪人を成敗し世直しする過程で『合法的に没収し』得た金銭をわれわれが使うのは、すごく当然なんだ」
「そう、なのかしら?」
エターナルは食いしん坊。
この計画なら食費をそれなりに贅沢に使える程度の収入は得られる計算。
エターナルの食いしん坊さを考えればこの計画に飛びつくはず、あと一押し!
俺はアイコンタクトで、上級神に援護を頼んだ!
「エターナルさん。あなたの管理する世界が平和になり民度が上がれば、あなたの上級神への昇格も近ずくでしょう。これは実に考えられた八方が丸く収まる、よい計画なのではないでしょうか?」
「じょ上級神様がそういうなら、そうなのかしら?」
ちょっとノリノリな上級神に引く。
そういえば俺の部屋の中では彼も生身。
普段はスキルで抑えている状態異常を抑えきれないのかも。
そのへんは神様も心は人間ってことなのかなあ?
ともかくうやむやに話がまとまったところで。
こねこね♪
とゾンビ粘土をこねる。
思った以上に上手にできている!
このへんはダンジョンマスターになった成果か、人間時代のフィギュア制作よりはるかにハイクオリティだ。
ゾンビたちの素体になった元の人間たちには当然女性もいるのだろう、そのデータを元に体内の臓器を作るようリッチに指示する。
召喚自体は俺が行うが、リッチ自身の意志で体を形成できるように。
元々、俺とリッチは意思疎通が出来ている。
俺が頭に思い浮かべるデータを念話スキルで伝える。
と。
ただの粘土状だったボディの下に生きてる人間のような血管が浮き出てくるのがわかった。
せっかくなのでただの人間+エターナルのような女神がかった美貌テイストもプラスしたい。
さっきからチラチラ見え隠れする女神肢体はかなりの痴態で正直、気になって仕方がない。
せっかくなので完コピといくとしよう。
こねこね、終了。
結局、大雑把な形を削りだした後は、リッチに丸投げとなった。
さすがに顔の造形は難しい。
生前に美少女フィギュア造りをした時は、売っているフィギュアの顔だけ首ちょんぱして、裸の首から下だけ作っていたのを思い出す。
そうだった。
顔が作れるならもはやプロ、素人にはそれが限界だった。
当時は頑張ったんだけどねえ……そんなことしてるから前世が生涯独身に終わったんじゃないかという気もするが、考えないようにしておこう。
今は未来に向かって、だ。
さあ、リッチ、変身だ!
というか美少女メイドに変身よ!
アンデットなリッチとゾンビの冥途の力でメイドさんに生まれ変わるんだ!
で、生まれ変わったリッチ……なのだが、
「ユージさんこれ」
「うむ。想像以上に……アレだ」
実際に女体が完成すると照れてしまうものである。
さすがにマン筋やその内部のマン肉は作っていなかったのだが、リッチ自身が自作はじめてるし。
ちょっと目線を送れない。
慌てて、メイド服を着せる。
というか、いったんアイテムボックスに収納し、直接、ぽふん方式でリッチの全裸ボディにまとわせた。ガチで変身シーンみたいである、美少女ヒロインの。
顔だちは……やはりエターナルに似ているような気がする。
髪の毛もある。
最初は、コスプレ用ウィッグ(かつら)を通販で買わなければか、とも思ったのだが問題ないようだ。
「これ、草原ウルフの毛を利用したウィッグか?」
「……ハイ。ご主人様ノお心のいめーじ、オ再現してみたのですガ……」
「なるほど。そういうことか?」
ゾンビのみならずグラスウルフも討伐したリッチがウィッグを自作したようだ。
銀髪と言うのかな?
モデルになった前世日本の美少女キャラの髪色に似ている。
顔立ちはちょっと違うが(当たり前だ。あっちは二次元の絵なんだから)、メイド服を買う時、コスプレ衣装を購入したんである。
安いのは一式1500円くらいからあったんだがさすがにしょぼ過ぎだろう、ということでキャラクターものにしたのだ。
具体的には十六夜咲夜さん、モデル。
東方プロジェクトの完全で瀟洒なメイドさん、だ。
それでも一万五千円、本格的な衣装に比べたらクオリティは知れているんだが、キャラクターものとあれば、自分の中で納得がいく。
コスパを考えると今はこんなところだろう。
髪型と色が咲夜さんモデルになったエターナルといった感じだろうか。
胸は若干、小さめにしてあります(そこはエターナルがキレないように気を使いました)。
「問題アリマセン。衣装の改良、ボディの性能向上は可能デス。いましばらくお時間をいただきますが」
おお。
予想以上に従順、というか俺の気持ちを組んでくれるリッチは、メイドさんにふさわしいのだった。
発声が可能な口元を得ることで、これまで何となくで察していたリッチの忠誠心が実感できるようだ。
声もだんだんクリアーに。
無表情だった表情も次第に紅味を増して、潤んだようになっているではないか。
リッチは俺にこんな風に告げるのだった。
「この女肉の一片までもご主人様のものでございます。何なりとお好きなようにお命じ下さいませ。いかなるご奉仕もさせていただきたく……ご主人様をお慕いして、私は♡」
あ、ヤベこれガチだ。
軽い気持ちでリッチを女体化させたが、考えてみれば当然か?
異世界ものにお約束の治癒魔法と、この状況は同じ事だからである。
傷ついたり身体欠損をもった奴隷をご主人様が治癒、その奇跡に感動した奴隷が(元々は美少女だったりするのはお約束だ)→ご主人様ステキ抱いて♡ となるのは人の心の必定だろう。
ましてやリッチときたら身体欠損どころか全身丸々である。
お約束の、奴隷を治癒魔法で治癒してご主人様ステキ抱いてのゆうに100倍はステキ抱いて効果が望めるのではないだろうか?
ていうかキタコレ!
じゃなくて、いやいや……この状況は結果オーライであくまで、決して狙ってやったことでは、いやいや……
「ふ~ん、そうなんだ、ふ~ん……」
エターナルのジト目をうやむやにごまかすためには、俺は、どれほどの美食を用意すればいいんだろう?