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引っ越し祝い、女神を観察する?

 さて。

 エターナルと上級神を招いての引っ越し祝いだ。

 準備は完了。

もっとも準備中もインターフォン越しにポンコツ女神のやつがギャーギャーわめいていたんだけれど。

 ちょうどインターフォンがキッチンの真横にあるんである。

 めっちゃうるさくて料理の気が散る。


 気が散る理由が、もう一つある。




 上級神が情報をくれていたんである……エターナルについて。




 う~ん。その情報の件についてはひとまず保留だ。

 他人の心の中についてなんてわからんし、上級神の意見はあくまでエターナルの心情に対する推測だ。

 状況証拠はアリアリ……かもしれなかったがな。

 ま。

 いずれわかるっしょ。



 

 ほい。料理完成!



「ユージ、来たよ~」


「おう」



 インターフォンの調子が変わる。

 何となくだがエターナルの声が普段と違うのがわかった。

 右から左に聞き流していたギャーギャー声とは違う。見るとエターナルの後ろの背景が、うちのマンションの玄関に変わっていた。

 いつもは背景は謎空間だったからな。

 どうやら女神様御一行の到着のよう。

 魔力が回復したんで異世界マンションを一層に浮上させていたんである。

 ゾンビの群れもいなくなり、訪問とあいなったわけだ。

 オートロックのカギを開ける。


 ガチャ×ガチャ。



「あれ。締まってる? なんで~?」


「ちゃんと開けたぞ。もう一回扉開けてみれ」



 ガチャ×ガチャ。


 二回目のガチャは、ポンコツ女神が案の上扉を開けそこなっておる音だ。アハハ。さすがのポンコツぶり。

 ぐぬぬという顔になっている。

 それでもコツはすでに発見済み。

 焦らずに引くだけでよいのだ。

 手は添えるだけ。

 せっかちな性格にはそれが難しいんだが(俺も他人のことは言えない)。

 何とか開け、後ろの上級神を集ってエレベーターへ。

 ちょっとした冒険だな。まるで。



『うん。実際そうかもね。この空間は僕ら神にとっても異質』


「そうなのか?」



 上級神が念話で伝えてきた。



『うん。このマンション内では神の能力も制限される。この廊下でユージさんと顔を合わせても例えばユージさんを僕らが攻撃することは不可能……といった制限が働くみたいだ」



 そうらしい。

 なるほどある種のプライベート空間なんだろうか?

 マンション外のオートロックフィールドは物理的なバリアー。

 内部の廊下は魔法制限。

 そして……



『自室の中ともなれば……』



 そのへんは上級神が教えてくれた情報とも関係あるんだが。

 さすが上級神は上級だけあって中級のエターナルに気ずかれず魔力行使が出来るようで料理中も色々話していたんである。

 それによると、その上級神でさえこの異世界マンション内では俺を害する魔法行使が出来なくなってしまうらしい。

 さらに部屋の中に入ればもう一段階オートロックのレベルが……その仮説は確認しておきたい。

 考えがあってドアの外で二人を待つ。

 ドアマンのように室内へいざなうつもり。

 というのも。



「きたよ~ユージ~♡」


「おう」


「ここがユージの部屋ね♡」


「いらっしゃい」



 ドアマンと化す俺を当然とばかりに背に、我が家に侵入しようとするエターナルがいたからだ。

 後ろには上級神が苦笑いだ。

 さてどうなりますやら……



「きゃああ」



 

 案の定だった。

 なんて悲鳴を上げるエターナルである。

 上級神が、ほらね、なんてドヤ顔。

 う~む。

 やはり……?


 一人合点していてもはじまらん。解説しよう。





 ぷりんっ♡





 としたエターナルのお尻が俺の眼前にあった。

 そう。

 室内に侵入したエターナルが全裸になっていたんである、

 上級神の解説。



『僕ら神の纏う神衣装はようは魔力で作った実体のないかりそめだからねえ。ユージさんのプライベート空間の中では維持できない」


「そうみたいだな。上級神の推理通りというわけか」



 内緒念話で話していた内容と言うのが実は、これ。

 おそらく俺の部屋の中に入ると魔力衣装が引っぺがされ全裸となる。

 というか、エターナルの体自体が再構築される。


 仕組みはこう。


 そもそもこのダンジョンがある異世界:エターナルは女神ちゅうきゅうしんエターナルの魔力で作られている。

 俺も転生する際、エターナルの魔力で再構築された。

 この世界の物質はすべてエターナルの所有物というわけだ、本来なら。

 だが異世界マンションは俺の装備として所有権が譲渡されている。

 自分の世界でありながら唯一自分のものでない空間が、この異世界マンションの俺の部屋。



『その空間ユージさんのへやの中だけではエターナルは受肉し人間の体を持つ=魔力行使も不可能となり神衣装が消えてしまう=全裸に、というわけ』


「俺の部屋に入る際にプチ転生して女神→人間に生まれ変わっているというわけだな」



 仕組み自体はつじつまが合って納得がいく。

 問題は……エターナル自身が、この状況を認知していたかどうかなんだ。

 要は、


①まさか全裸になるなんて……と深く考えていなかった


 エターナルの魔力行使は天然だ。理論ずけてやってるわけではない、何とかなるっしょくらいに考えていた可能性。俺は普通にこっちだと思っているのだが、上級神が、もう一つのケースを押しているのだ。


②エターナルがすべてわかったうえであえて脱いでいる、見せてんのよ、なケース。


 その場合、動機は俺を誘惑するということになるだろう。



『僕はやはりユージさんを誘惑したいんだと思う』


「そうかねえ」


『実際、女神が自分の世界の生物に恋して肉欲に溺れるケースは多々』



 俺は考えすぎだと思うんだが、上級神の講義してくれた知識によると、よくある話なんだそうな。

 例えばだが女神が受肉し、自分の管理世界の魔物=触手ニュルニュルなやつとかとHなことをして、んほ~しゅごい~りゃめぇ~♡ なR18禁展開になることは日常だというのだ。

 むしろそうなる、ならない、が中級神と上級神の境目だとかないとか。

 マジかよ。



『神は受肉する際に、快楽を感じやすい体に自分を再構築する。僕なんか、ユージさんの部屋に招待されるにあたって神の舌先を持った体に受肉、日本の美味しい食べ物の繊細な味覚を余さず味合わせてもらうつもりだからね』



 それでも上級神は引っ越し祝いが終わり神界に帰れば強い意志で、食欲を我慢できるそうだ。

 ダイエットの食事制限のように。

 意志の強さというよりスキルで状態異常おいしいものたべたいを回避するかのように。

 それが出来てこその上級神。

 一方、中級の食いしん坊女神エターナルは我慢できずに、俺の部屋に入り浸るだろう、と上級神は予測する。

 根拠となるのが中級神の日頃の行い。

 中級神はエターナル以外にもいっぱいいるそうでそれこそ無限に広がる神世界があるそうなんだ。



『ユージさんの場合は、日本食材を通販できるというメリットもあるが、ない現地生物と女神が契りを持つことも多々。その場合どうなるか想像つくよね?」



 食事以外の人間の楽しみといえば、そりゃあれだ。

 Hなことだ。

 食通のセンスを持って受肉する代わりに、Hな行為にすごく感じる体になるのが主流なんだって。

 

 対魔忍アサギの感度数千倍設定のようなものだろうか?

 それで触手ニュルニュルや、オークに「クッ殺せ♡」な、んほ~♡系R18展開と言うわけですね。

 けしからん、いいぞもっとやれ、である。

 ただし俺以外なら。

 Hな小説で読むなら、だが。



 というのもそうして快楽堕ちした女神は罰を与えられる。

 神界の法律は厳しい。

 日本製品の密輸でさえ、あんなに厳しいのだ。

 快楽堕ちして世界の管理を怠った世界は荒れる、なにせ管理する女神が、んほ~♡っていては暴走し放題。

 なので罰として世界ごと女神リセットされるんだって。



『中級神自体は不死だ』


「だろうな。何せ異世界人の俺を転生させられるんだ。むしろ死刑になるくらいで死んだらおかしい』


『なので快楽堕ちしてリセットかけられても、寝坊して怒られちゃったテヘペロくらいで神自身は気にしない。また本人も気持ちを改めて業務に精を出す」


「ただし、そのうちまた快楽堕ちすると。ガチでポンコツなんだな中級神」


『そうなんだよ~』



 それを管理するのが上級神の仕事というわけで上級神がぼやくのはもっともなのだ。

 そんなありがちな展開でエターナルが俺と恋仲になりSEXするのは別に普通なんだって。

 そういうわけで、本来ならいいぞもっとやれなR18展開が、俺とエターナルの間に降りかかるのは微妙なのだ。

 女神本人はリセットでも生き返れるが、巻き込まれた俺は死ぬ。

 せっかく生き返ったのにそれはあんまりだろう。

 上級神の予測では、貯金を貢がされ残金0になったあたりで今度は性に溺れる→美食に親しんだ中級女神ポンコツが快楽を我慢できるはずがない→精を吸われ干からびる→放置されたエターナル世界爆発→リセットだそうな。

 やばいことこの上ない。

 これまでの話で、神にとって、人間である俺も触手ニュルニュルも神にとっては大差ないとサラっと言っちゃってるに等しいからな。

 悪気なく天然で消されかねない、それこそテヘペロ感覚で。

 そんな事態は避けなければ。

 上級神が助け舟をくれたのは、自分も地球食材が欲しいからだろう。


 薄氷の上を歩くような、今はそんな平和なのだった。





 ぷりんぷりんっ♡




 なエターナルの美尻をあまさず眺め舐めまわし見ながら、俺はそんなことを考察していたわけだ。

 エターナルの手を取る。


 ぐい。



「あん♡どこ触ってるのよ~ユージのスケベッ」


「ちげーよ」



 断じて違う。

 一瞬、あ柔らか、なんて俺は思っていない。

 単にエターナルを部屋の玄関から廊下に引っ張り出しただけだ。

 瞬時に神衣装に戻る、エターナル。



「全裸はまずいだろう。さすがにメシを食う余裕もなくなる」


「まあ、そう……そうかもね(ポ♡)」



 顔を赤らめるエターナル。

 天然なのか誘惑なのか。

 上級神の推理は後者だ。



「もともと転生対象に神が好意を持つのは当然だ。気に入らない相手を転生させたりしないし」


 

 確かに。



「それにユージさんは若返っている。理由がなければ転生者を若返らせる必要がない。それも異性の」



 確かに。……そうなのかなあ。

 これまでスルーしていたが40ぎの独身のおっさんだった俺は、若いころ(20歳前くらい?)に戻っているのだ。

 髪の毛だってふさふさだし。

 中年の俺を襲った生え際の交代や中央部のクレーターなどまったくない、ふさふさ。

 てっきり生前の善行の結果、ふさふさに生え戻ったばかりだと思っていたんだが、う~む。

 そんな事情もありそう……なのか?


 ちなみにエターナルのアソコはふさふさどころかツルツルのパイパンマンコだった。


 髪の毛ならぬ神の陰毛はなかった。

 毛ってないと残念なところとない方が嬉しいところがあるのは何故なんだろうね?

 そんな生前の苦行も特訓と換算され転生ポイントになってるんだろうか、やれやれである。


 毛の話はやめよう。鬱、入る。


 やばくね?

 俺、誘惑されてね?

 な。気分を断ち切り、さも全然気にしてないかのように装い、段取りを進める。



「ほれ、選べ」


「あんまり可愛くない~」


「仕方ないだろう。おっさんの私物なんだから」



 ぽふん、と廊下に出現したのは、ありったけの生前の持ち服だ。

 エターナルの着れそうなのはセーターくらいか?

 男物のセーター、女のエターナルならワンピース代わりになりそうな大きさだ、当面は裸セーターで我慢してもらう算段なんである。

 女ものの下着なんてものはない。



「もっと可愛い服が欲しい~」



 物欲全開なポンコツ女神は、大方スマホでネット通販サイトでも見たんだろう。

 今は現金がないので買えない。

 来月になったら管理費、修繕積立金、駐車場代が入るはず。我慢して。

 無理やりセーターをかぶせた。

 神衣装の上からだ。

 ぽふん、の際に清掃済みなので汚くはない。

 というか前世世界からそのまま持ってくる際にホコリや汚れは持ってこれない(そっちは俺の財産にカウントされないので当然だ)、結果オーライで清潔な状態の服となるわけだ。

 エターナルにセーターとももひき(黒ストッキングに見えないこともない)を着せる。

 ノーパンだが、セーターが長いので、マン筋が丸見えということもない。

 何とか隠せている。

 上級神はジャージだ。


 これで何とか準備はOK。

 部屋に入って全裸化しても上から着こんでりゃ問題ないという寸法である。


 ふう。やれやれ、な俺にいや~んなことを伝えてくる上級神。



『ユージさん。彼女エターナルにトイレやお風呂の使い方を教えてやって。自分の体を持つのが始めてだから、おしっこもうんちもはじめて。当然、一人でトイレはできないし、お風呂のお湯にびっくりしてきっとひっくり返る』


「マジすか」



 例えば風呂でひっくり返り頭をぶつけたエターナルが死ねば(受肉中なので死ねる)、自動リセットになってしまうそうな。

 本人は生き返れるが、俺は死ぬし、この世界も一回、消える。


 ポンコツどころか赤ちゃん同然の女神のお世話は俺に託されたのだった。

 この世界の命運とともに。

 




 

R18構想では全裸になる流れでHなのですがマンション設定がどっか行くので、非エロ展開を維持してこうしてみました。

その分、リッチの女体化や人間社会で女の子いっぱい出す展開をやってからR18プロットを練り直すつもりです。


とはいっても結局、女の子に夢中になってマンションどっか行ったら、ご容赦w

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