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16-NOと言えない俺達は勧誘を断れない

『アグリコラ』がわからない方は検索してみてください!

「文化部って言っても同好会とか結構あるね」


「そうですね。迷ってしまいます」


放課後、俺と可憐(かれん)は図書室で何部の見学に行くかを話し合っていた。

テーブルにはPTA作成の部活動紹介広報が広げられている。


うちの高校は運動部が盛んなため文化部の印象はそこまでなかったのだが、こうしてみてみると結構多い。

入学してからもう2ヶ月が立つのに知らないことばかりだ。


「ん? アグリコラ同好会って何だろ?」


気になる名前の同好会を見つけた。


「聞いたことないですね。気になります」


可憐も気になるようだったのでまずはスマホで

『アグリコラ』と検索してみる。




〈アグリコラとは〉


ドイツ発祥のボードゲーム。このゲームは未開拓の農場を開拓したり、畑を耕作したり、作物を育てたりし、ゲーム終了時に最もバランスのとれた農場を作った者が勝利するゲームである。


〈プレイ人数〉

1~5人


〈ルール〉

~以下略~




「つまり、勝ち負けのあるボードゲーム版の農場育成シミュレーションゲームみたいなものですね」


うん、率直な感想を言おう。

知らねぇ。


「マイナー過ぎるでしょ!」


よく学校側が許可したな。


「でもこれ見てください。世界大会とかあるみたいですよ」


「え? ちょっと待って、世界中で遊ばれてるの? これ」


日本でも一部で割と有名らしい。


「ボードゲームにしては珍しく一人でもできるみたいですね。 ソロプレイでも楽しいってこのサイトにありますよ。 何でも一人でアグリコラをすることを『ヒトリコラ』というみたいです」


「一人でやるのは……流石にキツそうだな。精神的に」


ヒトリコラ派の人には申し訳ないが、

俺はまだアグリコラをやったことすらないのに想像しただけで何だか虚しい気持ちになった。


「純也さん。私、見学だけでも行ってみたいです」


「え、本気?」


彼女の額には真っ赤なニコニコマークがいつもと変わらず浮かんでいる。

アグリコラに興味がわいてしまったようだ。


「じゃあ、見学だけなら……」


こうして俺達は可憐に押し切られる形でアグリコラ同好会へ見学に行くことになった。








アグリコラ同好会は第1棟の3階の教室で活動していると広報には書いてあった。


うちの高校は第1~4棟と体育館、旧校舎で構成されている。


第1棟は職員室と科学室や物理室などの実験室やコンピュータールームなどがある建物だ。


ちなみに普段授業を受ける教室は第2~第4棟で学年別に分かれている。


「この先の教室ですね!」


可憐の声は少しだけ弾んでいる。

入院生活が長かった彼女は当然部活に入ったことがないため、見学が楽しみなのだろう。


とやかく言う俺も実は少しだけ楽しみだ。

可憐に押し切られる形になってしまったが、アグリコラ同好会に興味がないわけではない。


だって気になるじゃん! アグリコラ。

マイナーな感じが好奇心を沸き立たせる。


だが、教室の前に来ると違和感というか嫌な予感がした。

誰の声も聞こえないのだ。


コンコンコン


「失礼しま――」


三回ノックをしてから教室の扉を開けると、そこには床に座り込んでアグリコラのボードと思われる物を()()()見つめる男子生徒がいた。

しかもなんかブツブツつぶやいている。


怖っ!!


「――した」


俺は見てはいけない物を見た気がして勢いよく扉を閉めた。


「さて、次は何処の見学へ行こうか?」


『ちょおっとまったぁぁぁ』


教室からドタバタと音がしてヒトリコラをしていた男子生徒が廊下に飛び出して来る。


「君達見学に来たの? だったらちょっとやっていかない?」


「いや、教室を間違えてしまって……」


そう言って誤魔化そうとしたのだが


「純也さん。まだ第一印象で決めてはいけませんよ」


可憐にそう言われてしまい退路を断たれる。


「案外いけるかもしれません」


そう言う彼女の額を見るとニコニコマークは()()()になっていた。


「無理しなくても大丈夫だよ?」


バレないように小声で可憐に話しかけたが


「大丈夫です。無理してないです」


と目をそらしながら言われてしまった。


明らかに動揺してるし。

君は何と戦ってるんだ。


俺はNoと言える日本人になりたいと心からに思ったのだった。




ここまで読んで頂き、ありがとうございます!


少しでも面白いと思って頂ければ、是非ブクマ、評価、感想等よろしくお願いします!

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