14-人気のある可憐にストーカーがいない訳がない
まだまだ勉強中なので至らない部分が多いと思いますが、温かい目で読んで頂けると嬉しいです。
「純也さん? どうかしましたか?」
可憐が尋ねる。
テストが終わり、一段落ついたため俺と可憐は図書室での勉強会を再開していた。
うちの高校は今時珍しく、テストの順位が廊下に張り出される。
学年310人中、上位20位までの人の名前と点数張り出されたのだが、俺はなんとか1位をキープできた。
だが、2位との差はわずか1点。
奈々ちゃん先生のプレッシャーがなければ危なかった。
ちなみに香織は赤点は回避したものの、平均的な点数だったためランキング圏外。
優人は4位だった。
優人め、何が『俺、現文赤点かも』だ。88点も取りやがって。
可憐は13位。
入院生活で中学時代にまともに勉強ができていなかったというハンデを負いながらこの順位は彼女の努力の賜物だろう。
だが可憐は『次のテストの目標は学年1桁です!』と言っていたので、俺もそれまで勉強に付き合うことになった。
そこで今までのように図書室で勉強をしていたのだが、どうやら可憐のマークに気を取られてぼうっとしてしまっていたらしい。
「へ? 俺? 俺は大丈夫だけど。可憐こそ何かあったの? 元気ないけど」
そう答えながらも俺の視線はマークに行ってしまう。
可憐は満面の笑みを浮かべてはいるが、いつも可憐の額に浮かんでいる真っ赤なニコニコマークは真っ青になっていたからだ。
「!?」
ビクリと可憐が肩を震わせた。
そこまで言ってから俺ははっと気づく。
しまった……
最近はマークが見えることに慣れたせいで感情が見えることに抵抗がなくなってしまっていた。
「純也さんは鋭いですね。顔には出さないように気を付けていたのですが」
よかった。どうやら怪しまれている訳では無いようだ。
今後は気を付けなくてはいけないな。
こんな力があると知られたら、気味悪がられてせっかくできた友達がいなくなってしまう。
誰でも友達にだって1つや2つ隠し事はするものだ。
この力がバレた日には優人や香織、楓にも避けられてしまうかもしれない。
バレる可能性は少ないかもしれないが、その確率はできるだけ低くしたい。
「やっぱり? 何となくだったんだけどね」
そう言って曖昧に誤魔化す。
彼女は普段は感情が顔に出やすいが、今回はマークが見えなければまったくわからなかった。
それほど隠したかった事を聞くのは無粋だと思ったが、ここまで聞いてしまえば後には引けない。
「俺でよければ相談に乗るよ。まあ、言いにくいことだったら無理しなくて大丈夫だから」
「ありがとうございます。 実は3週間ほど前から下校中に誰かに後を付けられているような気がしまして」
3週間前と言ったら可憐と水族館へ行った辺りだ。
「それってまさかストーカー?!」
「かもしれないです」
可憐のストーカーと聞いてまず最初に思い浮かんだのは優人の顔だった。
ごめんよ優人。
「それは本気でまずいよ。警察には通報した?」
「いえ、まだです。確信があるわけではありませんし、警察は実際に被害に遭ってからではないと動いてくれないとよく聞くので」
「マジか。両親は知ってるの?」
「はい。相談をして駅から家までは車で迎えに来て貰っています。駅から家までの道中に後をつけられている感じがしたので」
可憐の家はうちの高校の最寄りの駅から3駅の所にあると、この前に聞いたのだが高校から最寄りの駅までは距離が微妙にある。
バスも通っていないため徒歩しか移動手段がない。
「よかったら学校から駅まで送っていくよ」
「いいんですか? でも、純也さんの家は駅と逆方向なのでは?」
確かに駅と俺の家の方向は逆方向だったため、今までは校門の前で別れていた。
だが、そんな話を聞いたら誰だって心配になるだろう。
「俺は家が近いから大丈夫だよ」
「ありがとうございます! 実はかなり心細かったので」
学校から駅までの道では後をつけられていないとはいえ、いつまた出てくるか分からない。
彼女は相当不安だっただろう。
「今日は早めに切り上げてもう帰ろうか」
時刻は7時。
日が延びてきたため、まだ少し空が明るい。
まだ図書室は空いているが、完全に暗くなる前に帰りたかった。
「ありがとうございます。では帰りましょうか」
こうして俺達は毎日駅までは一緒に帰る事になった。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます!
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