学校
僕が先生を失ってからの学校は意外といつも通りだった。
怖がれつつも何も協調することのない僕はどちらかと言えば弱者でパシリ扱いをされないだけマシというものだ。
例え勉強が出来てもスポーツができてもお洒落さんでモテモテでも弱い虫たちは何時自分の番が来るかとビクビク怯えて学校生活を送っている。
全ては喧嘩で始まり喧嘩で終わる。武力行使が当たり前なのだ。
僕は喧嘩が嫌いで血を見るのも人が戦い合うのも見ることが出来ない。人の目も怖くて見れない。従うか黙るしか脳がないのが僕。先生はそんな僕を例え餌としてめんどくを見ていたとしても怯える僕を優しく包み込んでくれた恩師だ。
そんな先生がいない今、逆らうことも出来ない僕は居るだけで番犬として使える。弱みを握っておけばこちらのものだとみんなの怯える虐めグループのリーダーにガッツリ拘束されて学校にいる間は自由がない。
授業休憩も昼休みもぜんぶ。
『数年前までは存在していた異能力も消えたこの世界でいま、もっとも必要とされるのは【武力】まさに、私たちが勝ち組み。そして、あなたを手に入れ最強な私たちにかなうものは無い』
ぼくの背中の刻印と目つきに恐れ殺されたくないと必死に乞うパシリたち。いっその事こんな学校やめてしまいたい……。
そう思ってた。そんなときだった。リムの愛からわずの無鉄砲すぎる声を聞いたのは。『たのもうす~!』凡人たちからみるとどこかの兵隊さんのコスプレかなんて思う姿をしているリムの服装はリムが来た途端変人扱いを受けて笑われてしまった。
リム『黒上ソラ君をお迎えに来ました。黒上くん行きますよ?』
リムは着々と僕の手を引っ張り失礼しましたと退出のドアまで向かった。しかし、簡単に帰されるほど甘くないのが現実。『勝手にうちの犬をとらないでくれる?』と帰り道を阻止された。しかし、女同士の火花が散ってるようにどちらも譲らない。
リム『魔王候補たちが黒上くんを狙ってるので転校手続きを行い迎えに来たので問題はありませんよね?』
『魔王?何のことよ。とにかく魔王か悪魔だか知らないけど渡せない。悪魔で言うところのケロベロスなのよ。私しかダメなのよ』
リム『ケロベロスですか……ケロベロスは正式には悪魔ではありません。霊魂なので。』
『そっそうなの?……』
リム『はい。霊魂が形をなしたのがケロベロスと言われるものなので……』
『……へーってあんたね!私をまんまと』
リム『時間が無いので私はこれで失礼しますね。お世話になりました。えーと…………まっいいや。あなたたちが私たちをいくら探そうと無意味です。私達にはあなたたちは会えませんから。』
ソラ『どう言う……?』
リム『アオ君と同じあの中央区域にある大きな特殊な学園で過ごすんですよ。アオ君もまだかまだかと待ってます』
ソラ『アオが?……』
リム『そうです』
ソラ『じゃぁ……うーん。ここには用がないのか。ふむ』
知り合いのリムが来たことによっていつもの調子に戻ったためなのかソラは手首をコキコキと鳴らし、その後いままでに溜め込んでいたものをドカンっと晴らした。
リム『殴ったり血を見るのは嫌いなのでは?』
ソラ『例外もあるってことだよ』
リム『そうですか。まぁ……あの人たちはやりすぎていましたからね。』
ソラ『僕が行く学校っていじめとかあったりするのかな……』
リム『基本的にはいじめなどはないです。変人ばかり集ってますよ。因みにソラさんみたいな珍しくも危険な方は極希ながらも強制的に生徒会役員となってもらうことになってます。』
ソラ『そりゃ……またなんで』
リム『生徒会の方に身を置くことによって同時に監視も兼ねて居るということですね』
ソラ『そうか……って事は……アオも?』
リム『アオ君は年齢的には幼稚園児なので行くも行かないも自由だったのでアオ君は余り行っていなかったんですけど、黒上くんが行く事を話したら行く気になって…………。なのでアオ君の面倒はいままで通り宜しくお願いしますね。』
ソラ『あっ分かってる……、』