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枕の下に 希望の上に(6)

年末秘密基地

その場所が

僕等にとって

一番

守られている

外側の空気も

内側の面倒も

立ち入る事が出来ない




その場所を

僕等は

桃源郷なんて

読んでいたけれど

無くなってしまった

何かを自覚して

何かに捕らわれる

そうして

失くしてしまうのだ

大切だったと

過去形になって

大切な物が出来たと

現在進行形になって

落ち葉と枯れ草で

覆い隠される




そんなつもりは無かった

自らの気持ちで

素直に選んできた

そうやって言ってみた所で

無くなった物は確実にある

そんな現実だ

それが現在だ

怒る程

後悔はしていないけれど

涙を流す程

悲しくもないけれど

どうしてだろう

勝手に何処かが

動いている




変わるのは

駄目な事では無いが

認めていた人間の変貌は

受け入れるかどうかの

関所を通ってしまう

注がれたビールを飲む

蛍光ペンで線を引く為に




あの場所で

笑っていた僕等は

これまでを

苦し紛れに生きてきて

今みたいに

整理整頓されている

寂しい髭面や

伊達眼鏡の中にある目

作り上げた物と

捨ててきた物の差は

誰かの笑い声で

有耶無耶にされた

優しさとは違う

奇妙な感情で




そんなつもりは無かった

どうしても

こうやるしか無かった

そうやって言ってみた所で

現実が変わる訳ではない

そんな人間だ

こんな存在だ

笑えない程

駄目では無いけれど

楽しめない程

侘しくも無いけれど

どうしてだろう

勝手に何処かが

動いている




大晦日

昼の十二時に

明けましておめでとう

なんて

送り合っては

飲み会の約束をしてた

変わらない雰囲気だけが

残っているだけで

背中にある物は

変わってしまった

馬鹿笑いしてた

あの日の秘密基地は

今も何処かにあるのか

捨ててしまった僕等は

勝手に何処かが

動いている

いつか

捨てた物を

拾えるように

その「いつか」が

必ず来る事を願って


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