孤児院後編
「なんかすいません。子ども達が」
「いえいえ僕たちは子ども好きですからお気になさらず」
「ありがとうございます。こちらの部屋でお話させていただきます。」
と言われ案内された部屋は質素な感じの応接室だった。座るように促され座ると職員の人は話始めた。
「こんなことが起こりだしたのはこの地区が王都の再開発地区に選ばれてからなんです。それからというものここから立ち退くよう圧力がかり最初は支援金が減らされ、それでも立ち退きに同意しない私達に業を煮やし先ほどのような実力行使にでてきたのです。それでさすがにまずいと思い仲のよかったアリシアさんに相談したわけです。」
「役所には抗議したのですか?」
「もちろんしました。ただ職員の人の話だと貴族が関わっていて平の自分達ではどうしようもないと言われてしまって」
なるほど。だから姉上は僕を派遣したのか。ギルドは政治に不介入が暗黙の了解だからな。僕なら正式なギルド員ではないし、貴族の爵位を持ってるから問題視されないしな。
「下っ端は僕達が、役所の内部は父上に動いてもらいましょう。」
「え???公爵様にですか?本当によろしいのですか?」
「構いません貴族は民あってのもの。それがわからぬバカには退場してもらわなければならないので」
「ありがとうございます」
職員の人は安心したのか泣き出してしまった。
「じゃあ僕は子ども達の所にいきますね転移」
運動場に転移するとエルは子ども達にもみくちゃにされていた。
「エル大丈夫?」
「ユリス見てないで手伝ってよ」
「あ、お兄ちゃんだ~よしお兄ちゃんに突撃だ」
子ども達がものすごいスピードでこちらに駆け寄ってきた。
「ど~んつかまえた。お兄ちゃんあそぼ」
「おにいちゃんだっこ」
「はいはいちょっと待って皆今遊具作ってあげるから」
「おにいちゃんゆうぐてなあに?」
「遊ぶための道具だよ」
「え?なにそれほしい」
「早くつくっておにいちゃん」
「わかった。皆おにいちゃんのそば離れちゃあだめだよ」
「「「はぁい」」」
滑り台 ブランコ うんてい 鉄棒 シーソウ ターザンロープ など公園でおなじみの遊具を創りだして運動場に固定していった。
「うわーすごいなにもないところからものがでてきた」
「なにあれ」
「おにいちゃんあれであそんできていい?」
「早くあそびたい」
子ども達はものすごく興奮していた。
そんな子どもたちに注意事項とルールを話し遊ぶ許可を出すと子ども達はそれぞれお目当ての遊具までものすごい速さで走っていった。
「子ども達のパワーはすごいな」
「だね(笑)」
ふと入り口の方を見ると驚き固まっている先ほどの職員がいた。
「大丈夫ですか?」
「は!!この遊具はどういうことですか?」
「僕が造ったんですけどまずかったですか?」
「いえ、子ども達がこんなに喜んでるので問題ないですが、それにしてもこんな見たこともない遊具をどうやって?」
「それは秘密で」
「はぁ、わかりました。でもこんなにはしゃぐ子ども達始めて見ました。本当にありがとうございます」
「いえ喜んでいただけたならそれで僕も満足なので」
と話していたら追跡に出していたサクラが帰ってきて念話で話かけてきた。
「ご主人様お話があるのでですがよろしいですか?」
「わかった」
「すいません。今日のことを父上に報告しに行かなければならないのでそろそろ失礼します」
「あ、わかりました。皆お兄さん達帰るみたいだからちゃんとお礼いいなさい」
「ありがとう。おにいちゃん」
「またあそびにきてね」
「バイバイおにいちゃんまたあそんでね」
「「うんまたくるね」」
と答え入り口の門をくぐり外に出た。
「どうするエル?最後までくる?」
「うん。僕としても気になるからユリスさえよければ最後までいたいかな」
「わかった。なら一度家に戻ろう。転移」
こうして僕たちは家に戻った。