プロローグ
ーー時すでに遅し。
この言葉を考えた奴を褒めてやりたいと思うくらい、
今の自分にそれは当てはまっていた。
「嘘だろベイビー...」
少年はかすれた声で茶化すようにそう言った。
だが茶化せるような状況ではない。これは。
少年の右横腹は半円を描き見事になくなっているのだから。
少年は倒れた。
「まだ立てる?反撃してくる?」
近づいてきた少女がそう言う。
14歳ぐらいだろうか。
ちょうど成長期の終わった女子中学生ぐらいの子だ。
「ちょっとオツムの血の巡りが悪りぃんじゃねぇの?...こんな純粋な男子高校生が...女子中学生に手ェ出して傷つかないとでもォ?...今の時代児童ポルノとか厳し...」
少年が喋っているところで少女は攻撃した。
だがおかしい。一連の動きが一切見えなかった。
残るのは少年の体に残る攻撃の結果だけだ。
少女は少年の休む暇なく攻撃してくる。
ヤバイ。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
次攻撃されたら死ぬんじゃないか。
なぜ打撃で横腹をえぐる事が出来るのか。
避けようとしなかったら一撃で死ぬんじゃないのか。
とゆうか出血量的に何もしなくても死ぬんじゃないのか。
今歩けるのか。
難病申請は効くのか。
頭の中に走馬灯の様に浮かぶ疑問の中に、一つだけ答えが浮かぶものがあった。
難病申請は効かないんだった。
そう、俺は死んだんだ。
法的な意味で。
それが「少年」の思い残した最後の言葉だった。