初めてのおつかい
「サイフは持ったかー?忘れ物はないかの」
「だいじょーぶー」
じいさんに元気良く返事をすると、キューは眩しい光に包まれた。
やがて光が収まると、そこには美しい白銀のドラゴンが鎮座していた。
「キューー!!……グルアアアアアア!」
そうだよね。
そんな図体だったらもうそういう鳴き声よね。
その方がよっぽど似つかわしいのだが、少女姿の時の可愛らしさとのギャップに少しガックリきた。
キューはあれから毎日順調すぎるほど順調に成長し、さらに立派なドラゴンへと変貌を遂げていた。
人間形態は可愛い美少女のままなんだけどね。
逞しいドラゴンにつられて逞しくならなくて本当に良かった。
ところで話は変わるが、今日はじいさんに買い出しを頼まれたのだ。
この世界を知るためにも、桃源郷の外に出て情報を得る事は肝心だ。
ここに突然飛ばされてきてからはや三ヶ月。
じいさんに色々と教えてもらってはいるが、もともとの引きこもり体質が災いし、桃源郷から出ていないのだ。
お外は怖いが、恐れていては何もつかめないのである!
そんな訳で、俺はキューを連れて近くの街までお買い物に行くことになったのだった。
俺がドラゴン形態のキューの背中に乗ると、キューはゆったりとした動作で羽ばたきを何度か繰り返した後、一気に加速して上空へと飛び立った。
みるみる小さくなるじいさんと掘っ建て小屋……
ちょ、ちょっと待って!
は、はや……
「いやあああああ!!!!!」
「キュー♪」
「『キュー♪』じゃねええええええ!!」
更新が滞ってしまい申し訳ありません。
週一ペースくらいでボチボチ再開できたらと思っています。