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部活動の選択って大切だよね・中ノ下

その日の夜、俺は西谷先輩が指定した時間の15分前に学園に到着した。俺はそのまま天文同好会の部室に向かっていた。

何事もなく部室に到着したが部室には誰も居なく、黒板には"屋上にこい!!"とだけ書かれていた。俺は指示に従い屋上に続く階段を登った。

屋上に出るドアの前まで到着すると、狐火とスズがこちらに手を振っていた。


「先に来てたんだな、ドア開けないのか?」

「かーくんはせっかちさんだなー。折角『3人集まってからにしよう』って提案して待っててあげたのにー」

「あ、そうだったのか。ごめんな2人とも待たせてしまって…」

「私は気にしてませんよ。それじゃあ行きますか?」


狐火はそう言いながらドアノブを手に持ち、早く開けたそうにそわそわとしていた。スズも待ちきれんとばかりにドアを見つめていた。すごく申し訳ない気持ちになる、今度2人に何か奢ってやろう


「そ、それじゃあ行くか!」

「待ってましたー!」

「それでは開けますね」


そうして開いたドアの先には、待ってましたと言わんばかりの表情の先輩と、何故かえりちゃんこと熊谷先生が待っていた。


「えりちゃん?なんでここに…?」

「なんでってそりゃ私はこの同好会の顧問だから、こんな時間に生徒だけで屋上に行かせるのは危ないってことで付き添いだよ。それと先生を付けて呼びなさい」


熊谷先生が顧問だったことに少し驚きながらも俺は先輩のいる所まで足を運んだ


「よし!3人ともいるな。見ての通り雲ひとつとない最高のコンディション!昼のこともあるし折角体験入部に来てくれたんだ、天体観測をしようじゃないか!!」


西谷(にしや)先輩がそう言い切ると共に、後ろにいた神崎(かんざき)先輩と橋咲(はしざき)先輩が何かに掛けてあった黒い布を持ち上げた。そしてその下から出てきたものは望遠鏡であった


「先輩たちから受け継いできた望遠鏡だ!ピントとかはもう合わせてあるから自由に覗き込んでみな!」


西谷先輩はそう言いながら俺の手を引っ張り、望遠鏡の前に立たせた。


「で…では…」


俺は言葉を失った。望遠鏡から見た星々は何度も見てきたソレとは比べ物にならないほど綺麗だったのだ。もちろん星に関して詳しいわけでもなければ夜空を好んで眺めてたわけでもない、それだけ星に興味を示してこなかったような俺でも一瞬で引き込まれそうなほどの光景がそこには広がっていた


「どうだ?言葉も出ないか?」


西谷先輩の一言で我に返った俺は、望遠鏡から目を離して夜空に見上げた


「夜空ってこんなに綺麗だったんですね」

「その感想、去年の俺と全く同じだな」

「去年……?」

「いや、なんでもねーよ。ささ、狐火と新兎(あらうさ)も見てみな」


俺の奇妙な反応を不思議そうに見ていた2人は、西谷先輩と神崎先輩に連れられて望遠鏡を覗き込み始めた。


俺は少し落ち着くために、設置されているベンチに腰掛けた。すると、それを見たのか今度は橋咲先輩が俺の座っているベンチまで来て腰掛けた。そして優しい声で俺に会話を持ちかけてきた。


「あの様子だと初めて望遠鏡から星を見たみたいだけど、どうだった?」

「えっと……言葉にできないくらい綺麗って感じですかね…?」


俺がそう答えると、橋咲先輩はくすくすと笑いだした


「ど、どうして笑うんですか?」

「ふふっ…ごめんね。あまりにも同じようなことを言うものだからつい」

「同じ?誰とですか?」

「去年の光星くんだよ。じつは去年わたしたち3人がこの部活に体験入部をしに来た時も今日みたいなことをしてもらったの。その時に光星くんも初めて望遠鏡で星を見んだけど今の君と同じような感想を言ってたんだよ」

「だから西谷先輩も感想が同じって言ってたんですね」

「きっと光星くんは夕方の罪滅ぼしもあるけど、こうやって同じ体験をさせてあげたかったのかもしれないね」


橋咲先輩は、話を終えると望遠鏡で夜空を見ているみんなの元に戻り、俺はもう一度夜空を見上げて「綺麗だな……」と、呟いた

今回は中ノ下、次のお話で部活動編は完結予定です!あくまでも予定です。実際ここまで長引くとは思ってなかったですw


ではでは!また来週お会いしましょー!


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