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零也の日常。  作者: 忍者
7/8

第七話 殺人車椅子!!ちなみに被害者は俺。



point of view 【神崎 零也】



ピピピピピピピピピピピピ

「う〜ん。」


いつもと変わらぬ朝。

ケータイのアラームで起きる。たまにマナーモードにしたままでアラームが鳴らないことがあるが、今日はそんなことはない。故に気持ちの良い朝っつーわけよ。わかる?


ベッドから降りてハンガーに掛けてある制服に着替える。急ぐ必要はない。朝はゆっくりしたい。とはいえ、遅刻はしたくない。と二つの条件をクリアするためにしている早起きのおかげだ。早起きは辛いが目が冴えてしまえばこっちのモンだ。


「お兄ちゃん。おはよう。」

「んぁ、おはよう。」


朝ということで、ボーッとしていたため変な声を出してしまった。あー恥ずかし。


「“んぁ”ってお兄ちゃんたら、だらしないなぁ。そんなお兄ちゃんのために可愛い妹から目覚めのキスを……」

「いらんわい!!」


こういった義妹とのセクハラまがいな会話もいつものこと。かわらない。


「って、志織お前日直って言ってなかった?行かなくていいの?」

「あ!!ホントだ!もう行くね!いってきまーす!!戸締まり忘れないでねー。」

「あいよー。」


志織は急いで玄関を飛び出していった。

日直じゃない俺は急ぐ必要がないから家を出るまで15分もの暇な時間ができる。俺はこの微妙な長さの空き時間が好きだ。そりゃ、ながい空き時間の方が楽だし良いに決まってるが、それとは違って説明しづらいんだけどな。何かするには短くて何もしないには長い時間。


「ニュースでも見てるかな。」



◆◇◆◇◆◇



高校まで歩いて40分程度。自転車を使えばもっと早くいけるのだが、昔転んで痛かったので自転車はあまり好きじゃない。それに一人でゆっくり歩いてるこの時間が好きだ。俺は意外と一人でボーッと考え事するのが好きみたいだ。



「う〜〜。どうしよ〜。」


俺がいつも通り歩いて登校していると車椅子に乗った女の子が困った様子でいる。誰かに押してもらってる訳じゃないみたいだ。一人でいるから。

俺は鬼じゃないので、いやむしろ天使。そう、エンジェルなので……

ゴホンゴホン!!話が反れた。

困っていそうな女の子に話しかける。


「どうした?困ってそうだけど。」

「えっ?その……えっと……。」


急に話しかけたの失敗だったな。ビビられてるやん俺。


「タイヤが段差にひっかかてしまって動けないんです。」


あー。なるほど。

そりゃ、大変だな。車椅子を自ら運転するとなると大変そうだな。


「待ってろよ。ちょびっと持ち上げるから横んとこ持ってろよ。」

「え……。あっ、はい!」

俺は女の子の乗った車椅子を持ち上げる。持ち上げるといっても所詮10センチぐらいの段差を昇るだけなので辛くもなんとも思わない。


「どっこいしょ!!これでオッケイ!って遅刻するぞ?ク○ラ。」


「私は『ク○ラが立った!』で有名な少女じゃないです。車椅子に乗ってるってだけでへんなあだ名をつけないでくださいよ。」


落ち着いた子だがノリが良いみたい。ツッコミは俺の方がうまいけど。

てか時間がヤバい。遅刻する。ま、俺には作戦があるからいいけどな。でもその作戦を実行するには、この子の協力が必要だ。


「なぁ、頼みがあるんだけどさぁ。聞いてくんねぇかな?」

「え?はい、何ですか?……

と、その前に自己紹介を。姫野(ひめの)真紀(まき)です。」


あ、忘れてた。俺もしなきゃな。テヘッ。

キモいって言うな。文字数稼ぎだ。


「神崎零也だ。よろしくっ!!呼び方は『お兄ちゃん』で。」

「あっ、はい。分かりました。お兄ちゃん。」

「あー、ギャグだ。マジで言うとは思わなかった。」「もうっ!!神崎さんのイジワルっ!!」


あははははっ。

可愛いなぁ。姫野は……。って何メロメロにされてんじゃ俺は。


「っで、頼みがあるんだよ。」

「あ、はい。何ですか。」


「俺、お前のこと……。」


point of view 【姫野 真紀】



「俺、お前のこと……。」


え?告白?

そ、そんなぁさっき出会ったばかりのなのに。恥ずかしいよ……。

でも、さっき助けてくれた……。

優しいし、面白いし、素敵な人……。

私も好きになっちゃったかも……。

告白ってどんなのなんだろう?

きっと………。



《 真紀の妄想 零也の告白ver. 》


「俺、お前のこと……。」

「え?」

「真紀のことが好きだ。愛してる。」

「ほんとに……?証拠は?」

「証拠はコレだよ。」

「ん……。キスなんて恥ずかしいです。」

「ごめん。真紀に対する気持ちが大きすぎて抑えきれないんだ。」

「零也さん……。」

「真紀……。愛してる……。」

「零也さん……。私もです。」


《 真紀の妄想 零也の告白ver.【終】 》


いやーん。

零也さんたらーっ!!



point of view 【神崎 零也】



おい……。

なんでコイツはイヤンイヤン言いながらクネクネしてるんだ?

ぶっちゃけ、気持ち悪いぞ。

っとイカン!!目的を忘れるれるトコだった。



「俺、お前のこと……。」


「運んでいいかな?」



「へ?」


「あー。運ぶっていうのはつまり、車椅子押すってこと。」

「え?」


「もうこの時間遅刻決定じゃん?だからさ、人助けしてました〜っていうと先生も許してくれるかなと……。」


プルプル

おい。姫野なんか震えてるぞ。


「零也さんのばか。」


「へ?」


「零也さんのばかぁぁ!!!!!」


「グハァ!!!」


姫野はなぜか車椅子で俺に突撃してきた。要するに引かれたわけだ、車椅子に。せつないな……。


「もう零也さんなんて知らないっ!!!!」


俺を吹っ飛ばし、その勢いを止めず学校の方へ。

そのスピードは車道を走る車に並ぶほど……。

……車に並ぶ……


速っ!!


あっ!!車位のスピードが出る椅子から『車椅子』って言うのか……。

納得……


……するかーいっ!!!!

はぁはぁ。あぶねぇ。意味わかんねぇ方向に自己解決しちまうトコだったぜ。

『車椅子』は椅子に車輪がついてるから『車椅子』だろうがっ!!



「……って、やべぇ!!時間がねぇ!!急げ!!

疲れない程度に。」


というわけで、いつものペースでゆっくり歩きましたとな。




教室で痛い目に合うと知らずにな!!




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