第二話 アキレスケン池田と落書き
point of view 【神崎 零也】
「ぅーし、転校生きたぞ。仲良くしろよー」
綾香に職員室の場所を聞き、無事職員室にたどり着いた俺は、これからお世話になる担任の紹介を受けた。それで教室に案内してもらった
今、俺は廊下で待っている。先生が軽く俺の説明してるからだ。その先生は美人で若いんだが、しゃべり方がやけに男っぽい。
「せんせー!その子は男の子ですかー?女の子ですかー?」
女の子が質問しているらしい。クラスのテンションは上がりまくっている。
「なー、男子だ。つーか、めんどうだから入ってもらお。」
オイオイ、やけにアバウトな性格してんなぁ。と思いつつ、教室に入る。
「ども、神崎零也です。これから、よろしくおねがいします。」
適当な挨拶をし、拍手をうける。このクラスの人達はみんな良い人そうだ。どっから見てもヤンキーって人もいない。
「じゃあ、あの窓側の空いてる席にすわれ。質問タイムは作らんから、空き時間に勝手にしろ。」
俺は先生に言われた通り、窓側の空いた席に座る。
風が当たって気持ちいい。結構いい席だと思う。
「お前、零也か?」
「ああ、そうだけど?」
急に前の席の男子に名前を確認される。さっき自己紹介したばっかだろ、と思いながらも普通に返事をする。
「久しぶりだな、レイ。」
「へ?」
急にレイと呼ばれて、ビックリする俺。俺の事をレイと呼ぶのは昔よく遊んでた親友の“アイツ”しかいない。しかも、俺の前の席のコイツは“アイツ”によく似てる。
ってことは…。
「何だよ!思い出せねぇのかよ?俺だよ!さいと…」「わかってるよ。『アキレスケン池田』だろ?」
「そうそう。俺の体の主成分はアキレスケンで出来ていて、残りは池と田んぼなのさ。
・・・ってそんなわけあるかーい!!
アキレスケンでも池でも田んぼでもねぇよ。
俺の名前はさいと…」
「冗談だよ。斎藤建人。親友だろ?」
目の前にいる建人は急に立ち上がり涙と鼻水をズーズー出し、「親友よ〜」と言い抱き付こうとしてきたが俺はそれをかわしケツを蹴り飛ばす。
「レイ…お前…親友じゃなかったのか?」
「スキンシップだ。」
「なるほど…これで俺も安心して死ねる…。グフッ!あば…よ。」
建人の上手すぎる演技のせいで周りの人は沈黙し奇異の目で見てくる。
建人が死んでいるフリをしている間に筆箱から油性のマジックを取り出し、建人の顔に落書きをする。もちろん建人が気付かないように。
「おい建人!そろそろ授業はじまるぞ!起きろ!」
「おっ、わりぃなレイ。」
「あぁ、それよりトイレで顔洗ってこい。鏡見ながらな。涙やら鼻水やらでスゲエ汚いぞ」
「分かった」
「じゃあ始めるぞぉ!」
建人がトイレに行った瞬間に授業がはじまった。黒板の内容をノートに写そうとしたら…。
『なんじゃこりゃ〜〜!!』
建人の叫びが聞こえた。
零也 お、今回はコメディ入ってるな。
作者 前回まったく入ってなかったからな。
零也 でもラブがないぞ。一応ラブコメだろ。
作者 ノーコメントで。
零也 逃げんなっ