秘密の世界
「秘密の世界」
悪戯心に任せて始めたはいいが
あんな言葉を口にするべきではなかった
舌が滑るにゆだねて好き勝手に方便を繰り返し
今も僕の横顔に切り刻まれるのは汚名と後悔
幸運と不運が訪れては去っていく
骨と血肉自体に罪はない
吹きすさぶ風の行方にも、気紛れな天運にも
僕は灰色の大地に木乃伊となって横たわる
残るのは、ただ君の柔肌の残り香
好奇心に任せて調べたはいいが
あんな事実を耳にするべきではなかった
目移りするがままにして好き放題に探訪を繰り返し
今も僕の碧眼に刻まれているのは悪夢と残根
死神と女神が訪れては去っていく
事実と答え自体に罪はない
吹き荒れる風の行方にも、移り気な天使にも
僕は褐色の大地に骸となって目を閉じる
残るのは、ただ君の艶やかな唇
「秘密は痛みを伴い闇の中へと閉ざされる」
君はそう望むだろう
だけど全てが明らかになった世界の終わりでは
最早、秘密も嘘も神秘も等価の売買品だ
ただ人々の欲望の赴くまま僕らは暴かれて
君と僕の純粋さは冥府へと落ちて行く
幸福と災禍が訪れては去っていく
爪と体自体に罪はない
荒れ狂う波の所業にも、移り行く運命にも
僕は錆びついた大地に木乃伊となって横たわる
残るのは、ただ君の柔らかい艶姿