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Public Star~目指せ若隠居への道~  作者: 黛紫水
第三章 成長期の章
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第四十六話 花祭り二

ルシド達との戦が終わり、町は犠牲者の鎮魂をし喪に服した。

破壊された町は住民の手で建て直され、少しずつだが街に活気が戻いき、そして復興の熱気の中マタイオスとベルハーラは民衆に祝福され結ばれた。

マタイオスとベルハーラは町の民衆から慕われ、希望と復興の中心人物として持て囃されることになった。

街に活気が戻ってくるにつれ、マタイオス達の街の周辺で破壊にあった町からあの力の噂を聞きつけて人々が集まってくる。

マタイオス達はそんな人々を無条件で受け入れ、仲間とした。

またエルトウェリオンが生まれたことで精霊たちも彼の周りに集まり、街に更なる発展を齎すことになる。

精霊が集まる土地は豊かになり、豊かさを聞いた遠くの町からも難民が押し寄せた。

エルトウェリオンが少年の年齢になる頃には、すでに以前の町の数倍の規模まで膨れ上がっていた。


町の規模が大きくなるにつれて、ベルハーラとエルトウェリオンは危険が付き纏っていった。

あの力を手に入れまいと母子を攫う計画する輩や、実行する者も現れる始末。

だがエルトウェリオンは周りに見守られ元気に成長していった。


マタイオス達の町が春を謳歌するに連れて、他の町の有力者たちは面白くなかった。

マタイオスの町が繁栄すると同時に住民が減っていった周辺の町は見る見ると衰退していったのだ。

他の街の有力者達は自分達の町がどんどんと力を落としていくのをただ黙って見ていられず、有力者たちはどうにかしてマタイオス達がいる街を落としたい、あの力と精霊の力を我が物にしたいと願った。


ある者は最初間諜を送り込んだ。

しかし有力なネタは手に入らず、間諜は逆にマタイオス達の町の華やかさに誘われてマタイオス達の町の住民へとなっていった。

ある者は母子を誘拐し力を手に入れようとした。

だがウェリオン達の周りの精霊が知らせて母子は難を逃れ、誘拐の実行犯は原因のわからない体調不良によって寝込み使い物にならなくなった。

ある者は直接母子を殺そうとした。

しかし精霊たちの怒りに触れ、僅かながらの精霊の恩恵も受けられず、その町は一層に衰退の道を歩んでいった。


だがそれでも他の町の有力者は諦めきれなかった。

ある時周辺の衰退する街の有力者達が、一緒にマタイオス達の町を攻め落とそうと秘密裏に会合を開いたこともあったが、それも精霊たちがウェリオン達に知らせてしまった。

次第にマタイオス達の町の住民は、そんな周辺の町に不満を抱きマタイオスに逆に攻め落とそうと相談を持ちかける。


「マタイオス、俺等は我慢できない。あいつらは俺等の町がこんなに栄えているのが我慢できないんだ。攻められるのならいっそこちらから攻めよう。非はあちらのほうにあるんだ。俺達は今までずっとガマンしてきたんだぞ」


そんな住民にマタイオスは反論する。


「いや、駄目だ。出来るだけ穏便に済ませたほうが良い」

「そんなことを言っている間にあいつ等が俺達の町を滅ぼそうとしているんだぞ!俺は女房も子供も親や親戚、友達を失いたくはない!あの戦の二の前は嫌なんだ!」

「そうだ!俺はあの戦いで義兄弟と慕っていた親友を失った!」

「俺は父を殺されたんだ!お前だってそうだろうマタイオス!」

「駄目だ!憎しみでは先は生まない!」

「お前の女房や子供はあの力があるだろう!あの力を使ってこの町を助けてくれ!ウェリオンならそうした!あいつは勇敢だった!」

「そしてベルハーラとエルトウェリオンに死ねと言うのか!!エルトウェリオンはまだ子供だぞ!!俺は確かにあの戦いで父と親友をなくした!だがこれ以上戦いで大事な宝物を失いたくは無いんだ!それは相手の町だって同じだ!まずは話し合いを─」

「そんな悠長な事を言っている場合か!!!」

「そうだそうだ」


飛び交う不平不満の罵声。

話はいつも堂々巡りで終わる。

だがその話を陰で聞いていた者がいた。マタイオスの息子エルトウェリオンだ。

その夜、エルトウェリオンはマタイオスに戦う意思を告げた。


「父さん!俺は戦うよ!だって俺はこの町が、この町の人たちが大好きだから」

「何を言っているんだ!お前が戦うことはない!お前はまだ子供だぞ!」

「そうよ、何を言っているの!あなたが死んでしまったらお母さんもお父さんも生きてはいけないわ!」

「もういっそのことこの町を出て行こうか」

「そんな!この土地には兄さんやお義父さんだって眠っているのよ!」

「………だがそうするしかないかもしれん。俺だけではこれ以上彼らを押さえつけることはできない」

「俺は出ていかない!父さんは臆病者だ!」


戦の足音はその日からどんどんと大きくなっていった。

街の住民はいつ攻められ戦になるのではないかと皆怯え、マタイオスも町の有力者を集め話し合いをしたが毎度良い結果は出ではこない。

他の町の有力者とも話そうとしたが、その有力者達も耳を貸してもくれもせず、まさに堂々巡りの様相であった。


そんな中、動きがあった。

マタイオスが誰かに殺されてしまったのだ。


「あなた!マタイオス!私を置いていかないで!」

「父さん!そんな………誰が父さんを殺したんだ!許さない!!殺してやる!!!」

「駄目よエルトウェリオン!復讐をしてもマタイオスは喜ばないわ!憎しみに心を染めては駄目!!」

「それでも俺は許さない!絶対に許さない!」


その日からエルトウェリオンは人が変わった。

粗暴になり町の有力者や他の町を恐怖で縛り付けるようになる。


「反乱が起これば力で屈服させれば良い。また俺の命を狙う者がいたのなら皆殺してやる。俺から大事なものを奪う奴は全てを滅ぼしてやる!」


エルトウェリオンは町の住民からも恐れられる存在になっていった。

仲の良かった友人も街の有力者達も、誰もエルトウェリオンには逆らえなかった。

逆らえばあの力によって殺されはしないもののきつく罰されたからだ。

そんなエルトウェリオンをベルハーラは何度も諫めたが、エルトウェリオンは聞く耳を持ちはしなかった。


「ああ…マタイオス…兄さん、エルトさん…私はどうしたらいいのでしょう…精霊様、どうかあの子を、エルトウェリオンをお救いください」


エルトウェリオンは見る見る変わり果て、心は闇の黒で深く染まり荒んで行った。

そしていつも聞こえ呼びかけてくれていた精霊の声は、いつしか聞こえなくなってしまった。

だがエルトウェリオンはそれを悲しいとは思わなかった。

心の闇に素直になれば自然と幸せな気分になれたから。


やがてエルトウェリオンが実効支配をし始めた町は衰退していった。

住民たちがエルトウェリオンの恐怖から逃げるために町を出て行き始めたのだ。

そしてエルトウェリオンも廃れていく町に見切りをつけて町を出て行こうとする。

そこで夫や兄たちの墓場の周辺に花を植えていた母のベルハーラにこう切り出した。


「母さん俺はこ町を出ていく。母さんも一緒に行こう」

「いいえ。私はここに残るわ。だってここにはマタイオスも兄さんもエルトさんも眠っているもの。私の居場所はここよ」

「母さんも俺を捨てる気か!母さんだけは味方だと思っていたのに!!」

「エルトウェリオン、私は今でもあなたの味方よ。どんな時もそれは変わることはないわ。でも今あなたの心は汚れているわ。そしてあなたは今とても苦しそうに見える。大切なものを、愛し愛せるものを探しなさい。そうすればあなたは自然と癒される。あなたはそれができる子よ。そうすれば皆あなたを慕ってくれるはず」

「何を戯言を!もう良い!母さんなんて大嫌いだ!!勝手にしろ!俺は出て行く!!!」


その後エルトウェリオンは町を出て放浪の生活を送ることになる。

行く先々で父を殺したものを探して復讐をし、自分の意思に従わない周辺の町を滅ぼしていった。

そんな生活を送っているうちに、エルトウェリオンはすっかり大人と呼ばれる年齢になっていた。


放浪を続けるうちに面白い人たちにも出会うこともあった。

エルトウェリオンはそんな人を仲間へと引き込み、輪を大きくしていった。

探していたのだ。

あの時母から言われたものを。

あの力は持たなくとも自分の夢に賛同してくれる者達、また自分と同じような夢を語る者、馬鹿をして一緒に笑ってくれる者達を。

だがエルトウェリオンはそんな仲間を気の置けないような仲には出来ず、心の中でずっと嘲笑っていた。

あの力も持たず夢だけで突き進み俺がいないと何も出来ない馬鹿でウスノロな奴等だと。


エルトウェリオンが仲間達と放浪し続けてから数年後。

ある時仲間達がふたつの派閥に分かれ、エルトウェリオンに自分たちの考えを訴えた。


「なぁ、あの大きな町を攻め落として俺たちの町を作ろうぜ。周辺の町も飲み込んで国を作れば世の中が平和になる。お前が考えた思想と夢を実現させるんだ。お前が王になれ、それで全てが上手く行く。俺達は今までどおりお前を陰から支えてやる」


一つの派閥は訴えかけ。


「エルトウェリオン。お前は各地を見て回り人々の憂いを取り除け。民に心の平穏と笑顔を齎せ。君にはそれが出来るはずだ。きっと君の力はそのために託された力。それが君の使命であり運命だ」


もう一つの派閥はそうエルトウェリオンに諭すように語り掛けた。


「「どっちにつく!!?」」


エルトウェリオンは悩んだ。


(俺の国?俺が王?そうか!俺が王になれば今まで争っていた奴等を屈服させ、無能な奴等を統治する事が出来る。だが今まで町を攻め落としても住民たちは逃げる一方だったじゃないか。だが俺に従わずに逃げていった無能者達を力で押さえつけて逃げられないようにしたらどうか……いや、そんな事をしてもきりが無い)


悩みに悩んだ。


(人々の憂いを取り除けだと?今更何を言っているんだ。俺は俺さえ良ければそれで良い。個人の意見なんて聞いても無駄なだけだ。ああ…でも何故だ。何故ここで昔捨てた母さんの悲しそうな顔が頭から離れないんだ。母さんは俺が人を助け愛する事を望んでいた。だけどそう言う風に生きた父さんは…)


そしてエルトウェリオンを答えを出す。


「俺の父さんは人々の憂いを取り除こうとして殺された…世の中が乱れているから俺は全てを失ったんだ…俺が…俺が国を作り王として民を支配し平和な世の中にしてやる!」


エルトウェリオンの心の中の闇はより一層大きくなっていった。


「そうだ、やろうぜ。俺達ならそれができる」


嬉しそうに囃し立てる派閥。


「エルトウェリオン……何を言っているんだ。力の支配では憎しみしか生まないぞ。君には失望したよ」


明らかに失望したと言う派閥。

こうなるとどちらかの派閥を切り捨てなければならない。

こうして仲間の半数はエルトウェリオンの傍を離れていった。


それから10数年の月日が流れ、エルトウェリオンと仲間達は周辺の町を攻め落として併合を繰り返した。

勇敢に抵抗する者は殺し、泣き叫び情けなく媚び諂う者は生かし重用した。

殺しては支配し、押さえつけては無慈悲に踏みつけて、いつのまにかエルトウェリオン達の立つ場所は国の体をなし、周辺の国まで攻め落としていった。

そしてエルトウェリオンの国は大きくなった。

周りを見渡しても比べることが出来ない程に。


エルトウェリオンの国は安定しているように見えたが国が大きくなると腐敗が進む。

その腐敗はエルトウェリオンの一番近い場所からであった。

エルトウェリオンの知らないうちにいつの間にか仲間達も不正を繰り返し、気付いた時には国内の疲弊は手の付けられない状態になっていたのだ。

やがて国は斜陽へと向かっていく。


怒り狂うエルトウェリオンに捕らえられた仲間達は醜い顔をしてこう言った。


「ハハハ!最初からそのために近づいたのさ!俺達はお前が生まれた町の住人だったんだよ。俺達のことなんてお前は知らなかったようだが俺達はずっとお前を知っていた!お前が妬ましかった!お前は眩しすぎたんだ!おい!お前の親父を殺した奴を教えてやるよ!そいつはお前が生まれ俺達が暮らした町の有力者達だ!お前の母の美しいベルハーラとお前を傀儡にして利用するためにな!ベルハーラは靡かなかったがお前は俺達の思惑通り動いてくれたよ!昔眩しかったお前の姿はどうだ!?傑作だ!!お前の今の姿をマタイオスとベルハーラに見せてやりたいぜ!!お前は馬鹿だな!誰からも信用されず!誰からも必要とされず!誰からも信頼されず!誰からも愛されることもなくなった!!お前を愛してくれる奴なんて誰一人いやしない!!!」


エルトウェリオンは彼らを処刑した。

かつて仲間だった者達をその手で。


「ああ、あいつらの言うとおり…俺は馬鹿だ…」


ぽっかりと開いた心の穴とひび割れた心の隙間は誰も塞いではくれず、ドロドロとした感情がヘドロのように湧き出てくる。

流れ出たドロドロのヘドロはエルトウェリオンの心の闇を現す様な汚い感情。

悲しみと怒りは沼に溜まる汚泥のように心の闇に抱かれて大きくなるばかり。

そんな姿を恐る恐る見つめる側近達と恐怖に縛られた国民達。

何もかもが恐怖と疑心の閉塞感で満たす中、それでもエルトウェリオンは国を維持し続けた。

冷血王と呼ばれようともドロドロに流れ出るヘドロを自らの氷で塞き止めて。


それから少しずつ疲弊した国は回復していくが、それに比例するようにエルトウェリオンの心と体は磨り減っていった。


そんなある日、少しの暇ができた。

そしてふと頭に風景がよぎった。

壊れる寸前のエルトウェリオンの脳内に故郷の街の風景が広がり、抑え切ることのできない郷愁に駆られ故郷の様子を見に行こうと決意し、国をそれなりに信用できる家臣に任せ故郷へと旅するために馬を駆った。

もう国などどうでも良かった。

ただただ故郷に戻りたかった。


旅をすること数週間。故郷は酷く廃れていた。

廃墟が立ち並び、人の姿は見当たらず、自らの意思によって動くモノは動物だけ。


「母さんは…?母さんはどうしているのだろうか…」


自分の家のあった場所へと向かうと、そこには朽ちてはいたが見覚えのある建物が建っていた。

家の中へと入り人を探すが誰もおらず、母がいそうな場所を思い浮かべるとある場所が頭に浮かんだ。


「………母さん」


父の墓を訪れると3つの並んだ墓石の前に老婆が一人立っていた。

昔見た母とはまるで違う顔。

2周りほど小さくなったように感じられる体。

服もみすぼらしく所々破けて粗布のよう。

それでもエルトウェリオンはそれが母のベルハーラだと確信できた。


「エルトウェリオン…おかえりなさい」


昔と変わらない自愛の篭った母の声。

エルトウェリオンの自ら心に張った氷が溶けていく。


「ああ、母さん俺が間違っていたよ。確かに憎しみは何も生まなかった。俺は国を作り平和を願った。だが誰も俺を愛してはくれない、誰も俺を必要としてくれない。誰も俺を認めてくれない」

「誠実でありなさい。あなたのお父さんも伯父さんもお爺さんも誠実だった。真面目でありなさい。全てを愛しなさい。そうすれば必ず自分に返ってくるわ」

「駄目だよ。もう俺は誰からも必要とされない、愛してくれる人なんて誰一人もいない」

「私はあなたを愛してるわ。ずっとずっと愛している。あなたは私とマタイオスの子だもの。大事な大事な子よ」

「……ああ…母さん。母さん」

「愛しているわ。あなたが生まれた時あなたを祝福しなかった人なんていなかった。あなたは愛されて生まれた子なのよ。愛する人を見つけなさい」

「俺にもそんな人が出来る?」

「作るのよ。あなたなら出来るわ。必ず誰かが答えてくれる。この景色のようにね」


そう言い残しベルハーラはエルトウェリオンのかいなに抱かれ永遠の眠りについた。

エルトウェリオンは母の亡骸を抱き、泣き腫らした目で周りを見てみると、そこには広大な花畑が広がっていた。

ベルハーラはずっと愛する人達の事を思い花を植え続けていたのだ。


母を埋葬し4つの墓石が並ぶ花畑。

エルトウェリオンは墓石に向かって決意を紡ぐ。


「父さん母さん、俺は馬鹿な息子だった。だけどこれからは皆に誇られ愛されるような人間になるよ。母さんは言ったよね。俺にはそれが出来る子だって…」


エルトウェリオンの心の闇が晴れ、心の闇は嫌な叫び声を上げ光に浸食されながら消えていった。

その瞬間、エルトウェリオンにいつの間にか聞けなくなっていた精霊の声が聞こえてくる。


『苗が育つ』

『偉大なる系譜』

『愛されし若木』

『黄金に輝く土地の王』


父のマタイオスを殺された時からこの声を聞けなくなって何年経つだろうか。

母のベルハーラが植えた広大な花畑を見ると、花々が黄金色に輝きエルトウェリオンを照らしていた。


馬を駆り急いで国に帰ると、エルトウェリオンは周りから驚かれるほど誠実になった。

善政を押し進め、人々の意見を聞き入れ憂いを取り除き、国民に信頼される王になれるよう努力をした。

国土も以前より広がり、いつしかエルトウェリオンは善王と呼ばれる存在になった。

そんなエルトウェリオンの下にある者達が訪れる。


「エルトウェリオン、久しぶりだな。やっと気づいたんだね。それが本来の君の力だ。私達は昔言ったよ。君にはその力があるとね。微力ではあるが私達も君に力を貸そう。この国が輝けるように。君がこの国の太陽であり続けられるように」


エルトウェリオンに失望して離れていったかつての仲間が戻ってきたのだ。

エルトウェリオンは始めて自分が生まれ変われた気がした。


かつての仲間が力を貸すとエルトウェリオンの国はより一層力を増していき、それと同時にエルトウェリオンの心は光により一層満たされていった。

民や家臣からも必要とされ、いつしか愛し愛される人が出来た。



光射すベッドに疲れ顔の女性が生まれたばかりの赤ん坊を抱いている。

ベッドの横には赤ん坊の顔を覗き込む幼い男の子と、涙ながらに女を労わるエルトウェリオンの姿があった。

女性から赤ん坊を受け取り恐る恐る抱き上げたエルトウェリオンは、今は亡き母親に語りかける。


「母さんあなたは全て知っていたんですね。あなたの言っていた事は全て本当でした。こうして大切な人が出来ました。愛する息子も生まれ、そして今愛する娘も生まれました。愛しい我が子、我が娘よ。精霊達よ聞いておくれ、この子の名前はシルヴィア…シルヴィアだ!!!」


これより15年後、シルヴィアは一人の男と出会う。

そして恋に落ち、男と共に現在にも続く偉大なる家を創設するのであった。

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