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Public Star~目指せ若隠居への道~  作者: 黛紫水
第三章 成長期の章
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第三十三話 壁

「そういえばセボリー、その指輪って魔石は吸収しないの?」

「あ~、そういえば試したこと無かったな。試してみるか」


この謎の指輪が俺の指について早5年強、今では全く違和感も感じなくなったから存在自体スルーしていたが、そういえばこの指輪って精霊石を吸収することができるんだったな。

一回試してみる価値はありそうだ。


「と言うわけで魔石のストックも無かったし、迷宮に潜りにきましたよ」

「誰に話しかけてるんだ?」

「セボリーが変な事言うのはいつものことだから放っておけよ!それより早く行こうぜ!!」

「そういえばこの頃ちょっとばたばたしてて迷宮の攻略も進んでなかったもんね」

「5階層目で止まったままだしな、この階層から敵が強くなっていくのだったか」

「アシャンティさん達のことを信じるんだったらそうだね」


アシャンティさんとは前にティグレオ兄さんのパーティメンバーで俺達に「行き送れたらよろしく」と言っていた女性である。

彼女はその後本当に俺達の商会へ来店し、割引価格で護符アミュレットを買っていった。

ついでに大量生産品のセーラー服も購入していったことは敢えて触れないで置く。


「そういえば、この前の隠し部屋のこと迷宮ギルドに報告したら報奨金がもらえたよ。報奨金は平等に皆の口座に振り込んでおいたからね」

「お、ありがとさん」

「報告すると報奨金もらえるのか!?」

「未発見のものに限るけど、ちゃんと報告すれば報奨金がでるよ。試しの迷宮で隠し部屋が新発見されたのは約2百年ぶりらしいから凄い驚かれたよ」

「そうか、じゃーいくか」


1階層のクリスタル前には何チームもの冒険者がおり、各々好きな時間を過ごしている。

俺達はそんな人達を横目にクリスタルに触れて5階層へ向かった。

5階層を探索し始めると早速今までの階層とは明らかに違うことに気が付いた。今まではレンガにタイル張りだった風景が、地面は泥水になり、壁には太い茨が伝っていた。

茨を識別してみると棘に毒があり、致死性ではないがどんどんと体力を奪っていくものらしい。


「この茨危ないから触るな。棘に体力を奪う毒があるらしい」

「フェディが喜びそうな植物だね」

「お土産として持って帰るか?」

「じゃー、俺が取るよ。毒無効持ってるし」

「ああ、頼む」


************************************

セボリオン・サンティアスLV6 性別:男

年齢:12歳 状態:健康

職業:魔術士・テイマー


HP: 244/250

MP:648/656


体力:36(27+9)

筋力:35(3510)

耐久:35(26+9)

速度:36(25+11)

器用:55(45+10)

精神:54(45+9)

知力:56(43+13)

魔力:65(53+12)


スキル:土魔術LV78・土魔法LV56・水魔術LV29・水魔法LV12・付与魔法LV77・錬金術LV21・毒魔術9・ハムハムLV53・識別LV49・悪食LV21

加護:精霊の祝福4・公星の信頼

契約:魂の使い魔契約

使い魔:公星

************************************


久しぶりにステータスをお見せするが、追加されたものが何個かある。

まずは職業だろう。

これは初等部高学年の時にいつの間にか出たもので、最初は『魔術使い』であったが初等部卒業間際に『魔術士』にかわったのだ。

識別で調べてみると


************************************

魔術使い:魔術を使える者。初級の証。魔法を使うためのステータスを底上げする

************************************


だそうだ。

魔術士は魔術使いの強化版らしく底上げも強化されているらしい。

調べてみたが魔法系の職業はかなりあるが、まずは魔術使いから始まるのが一般的らしい。

一番メジャーな魔法系職業の移り変わりはこうだ。


魔術使い→魔術士→魔法使い→大魔法使い→→魔法士→大魔法士→魔導師


こんな感じだそうだ。

派生でなれる職業もあるが皆狙ってはなれないらしく、方法も発見されていないらしい。


テイマーもいつの間にかなれていた、これは公星がいるおかげだろう。

ついでに言うとテイマーの上位職がサモナーらしい。

本来は様々な動物やモンスターを呼べるらしいが、俺はハムハムで縛りプレイされている状態なので呼べるのはピケット種だけだ、畜生。

まぁ、俺も公星以外と契約するつもりは無かったから良いけどな。

本当に契約するつもりは無かったぞ。ちょっとは良いなぁっとか思ったけどさ…

後スキルも色々追加された。

いつの間にか水系統の魔術が使えるようになっていたのだ。

これは公星より俺のほうが先に発現したスキルで、暫くしたら公星も使えるようになっていた。

この前の公星が体を洗い流したのを見て、こんな使い方もあるのかと気づいたのはつい最近だがな。

水魔法といえば水鉄砲だろうとやってみたが、10センチほどの水の弾しか出てこず涙した。

たがどうやら俺の水系統はどちらかと言うと戦闘向きではないらしく、回復系や防御系で力を発揮した。

そのため俺は中衛の後方支援係として位置づけが決定しましたよ。

土魔法で攻撃は出来るが、土魔法ってあまり攻撃的な系統ではないのでちょっと残念だ。

能力試験の時は時間もあったので大技を連発できたが、今の俺では実践で使うことは無理に近いだろうと試験後ラングニール先生のお宅にお邪魔した時に言われてしまったしな。

あ、そうそう。ついでにラングニール先生とプラタリーサ先生のお子さんは、プラタリーサ先生に似た2歳の女の子でとても愛くるしかったです、将来は美人になるで。

良かったね、お父さんに似ないで!


そして錬金術と悪食だ。

錬金術は調べによると土魔法と水魔法が一定のレベルになり尚且つ器用値が高いと稀に発生するスキルだそうで、俺の精霊聖典レメゲトンの作成の時には本当にお世話になりました。

これが無かったら何時まで経っても完成なんて夢のまた夢に終わるところだった。

学園の先生に聞いてみると有名な魔道具マジックアイテム製作者は殆どこのスキルを所持しているらしく、先生からも羨ましがられましたよ。


悪食は毒耐性がLV50になった途端に雑食と統合されたスキルだ。

調べてみると食物以外のものも食べれますとなっており、それを見た瞬間公星を円盤投げの要領で飛ばしてしまったのは良い思い出だ。

思い切って精霊石を食べてみたが、硬いわ全く味が無いわで全然美味しくなかった。いつかは役に…立つ予感が全くしない。

ハムハムのレベルが何故か高いことは放っておきます、マジでこのスキル役に立ってるのか知らん…


茨の棘を採取して無限収納鞄マジックポーチにしまって歩き出すと公星が警戒をし始める。

皆慎重に角を曲がると大きなトカゲが2匹そろって歩いているのを見つけた。

前世で言うコモドドラゴンのようだが圧倒的に違うところがある。

それは大きさだ。全長4メートル高さ1・3メートル程もある巨体だ。

識別で調べてみるとブラックアーマーリザードと出ており、硬くて魔法もとうしにくい皮膚に巨体には似合わない俊敏性を持ち合わせているようだ。

俺は早速精霊経典レメゲトンを開いて皆へ防御系の支援エンチャントをかける。

この数回の探索でルピシーは無闇に前に出ることを控えだし、相手の様子を伺うことをやっと覚えてくれた。

シエルの根気強い脅しが功を奏したな。

この成長振りに皆嬉しがったが、結局最初に突撃するのはルピシーの役目であった。


「うぉぉおおおお!!!」

火炎の矢フレイムアロー


ルピシーの剣が敵に当たる前にヤンがけん制のため火炎の矢を放つ。

当たった瞬間に弾けずに抉れるように改良した魔法らしく、そのままトカゲの皮膚をえぐるが殆どダメージを受けていないように見受けられる。

公星も風魔法を放っているが殆どダメージを通していないようだ。


「スピリットブライトウィスプ!」


そこでシエルが肉体的ではなく精神的にダメージを与える光魔法を使い攻撃すると、トカゲは苦しそうにのた打ち回り怒りの鼻息を上げて「プシュープシュー」と鳴いた。


造水クリエイトアクア、公星頼む!」


俺はここでただ水を作る魔法を使い、公星にその水を風魔法で空中に固定してもらいトカゲの顔全体に覆わせた。

トカゲは当然振り払おうとするが全く意味を成さない。

そのうち水がトカゲの肺にまで達したのか、もがき苦しみそして事切れた。


「これは思っていたよりきついぞ。魔法を強化しないと全く通じない」

「俺もそうだ。剣自体の強化も必要だが、おれ自身の強化はもっと必要だと感じた…」

「精神系の魔法は一気に魔力を消費するからそんなにバンバン使えないしね…」

「とりあえず相談は解体しながらやろう。これは守護符タリスマンの解析と製作を急がないとまずいな」


解体したトカゲの肉と魔石を回収し、俺は実験に入った。

MPを消費しているはずなのに吸収するそぶりも無い。


「駄目だ。魔石は吸収しないらしい。何が違うんだか…」

「これからどうしようか?」

「俺はまだ探索したいと言いたいところだけど、さっきのあれじゃーちょっとな」

「クリスタルの付近で探索をしよう、そうしたほうが安全だ。今日はその戦略で狩って、次からの戦略を練るとしよう」

「そうだな、そうしよう」

「そうだね。僕も術の開発とか改良をしておきたいし、何よりも武器を完成させたい」

「あー、精霊聖典レメゲトンも今の段階で全力出すと、MP全部吸われて動けない状態になるからな……まだまだ改良が必要だわ」

「モキュー」

「お、食い終わったか?」

「モキュキュー」


※解体して売れそうも無い残骸は公星スタッフが美味しく頂きました。


「それじゃーいこうか」


俺達は戦力強化を行うために暫く5階層で狩を続けることにした。


その日は実験の口実で潜っていたため半日で地上へ戻り、フェディに茨をお土産に渡したら物凄く喜んでくれた。

その後フェディがその茨を染色に使うと色落ちを防ぐ効果と防虫効果を発見し、皆がドン引きするほどゴンドリアが喜んでいた。

防虫効果はすでに知られていたらしいが、色落ち防止の論文をフェディとゴンドリアの両名義で学園にレポートを出し特許を取得したところ、他の商会からも引き合いが舞い込み大忙しの状態になるようになった。

そして今までは商会の事務所の一部スペースで服販売をやっていた『メゾンドリアード』は、これを機に大量生産型の服を売るための店舗を事務所近くに借り、従業員を雇うことになるのであった。

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