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Public Star~目指せ若隠居への道~  作者: 黛紫水
第三章 成長期の章
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第二十四話 能力試験二

実技試験は一人一人行われるらしい。

待合室に向かいながらラングニール先生について話をしていた。


「ほお、あの試験管の男性は高等部で剣術の指南をやっていたのか。すごいな」

「ラングニール先生は凄いんだぜ!何せ魔法と剣術両方使えるからな!!」

「そういえば俺ラングニール先生が魔法使ってる所見たこと無いわ、属性は何だ?」

「確か炎だったぞ」

「炎か、勉強になるかもな」

「まぁ、とにかく実技試験をちゃっちゃと合格しようよ」

「お!シエルが復活した!!」

「いや、早くノエルの様子を見に行きたくてね」

「…全然復活してなかった」

「しかしあのでかい体から繰り出される剣は凄いだろうな」


そんな話をしながら時間を潰していると33番のルピシーが呼ばれる。

ルピシーは「行って来るぜ!!」と明るい声を上げながら部屋を出て行った。

それから10分ほどして34番のヤンが呼ばれ、俺とシエルが残った。


「ねぇ」


俺達以外ほぼ誰もいない控え室の隅で準備体操をする俺にシエルが問いかけてくる。

その顔はシスコン全開の逝っている顔ではなく普段の顔だった。


「セボリーはさ、何で迷宮冒険者になろうとしたの?君はアイディアマンだから僕達の商会で稼いでいた方が性に合ってるんじゃないの?」


シエルの言った事は的を得ている。

実際俺も商会の仕事だけに専念しようと思っていた。

だがこの数年間のうちに俺の中で狂いではないが、ある気持ちがふつふつと湧き上がってきたのだ。


「これ言っちゃうと物凄く俗っぽいんだけど俺はさ、金持ちになりたいんだ。若いうちに金を稼いで将来困ることの無い金がほしいんだよ」


そう、金だ。

金がほしい。

だが今はそれだけじゃない。


「そういえば始めて会った時にルピシーが君の夢は若隠居って言っていたね」

「良く覚えてるなそんなこと」

「記憶力は良いからね」


俺とシエルはお互い見つめあいながら苦笑した。

そして俺はシエルに俺の中で何処か満たされない思いを口にする。


「俺はサンティアスの養い子だ。物心ついた時から生きることに不自由な事は無かった」

「うん、僕も生活には不自由したことは無いよ」

「まぁ、そうだろうな。でもな、人間ってのは欲求が尽きない存在なんだよ。欲しいものがたくさんあるし、やりたいことがたくさん出来る」

「なんとなく分かるよ。僕も君達と生活していたら、面白いことがたくさん出来て毎日楽しかったからね。まぁ、君達と一緒にいればこれからも面白いことがたくさん出来るだろうけど」

「俺もシエル達と一緒だと毎日面白い」

「それは良かった」

「実はな……商会はいつかはと思っていたんだ…でもこんな早く興すつもりじゃなかった。唯でさえ早く組んだ人生プランが加速ヘイストを掛けたかの如くだ」

「僕が会頭にされちゃったけどね、成人したら君にこの席を譲るよ。僕もヤンみたいに実家に戻るつもりだしね」

「そうか…やっぱり帰るのか」

「うん。僕が家を継ぐことが無くても、もし継ぐかもしれない弟妹達を支えてあげたいんだ」

「うわぁ、嫌な小舅だな」

「酷いな、こんなに素敵なお兄様なのに」

「ハハ」


俺はここで少しひと呼吸入れる。

そして心のうちを吐露し始めた。


「………俺達サンティアスの養い子は見方によっては籠の中の鳥なんだ。そう思っていない奴等もいると思うが、俺はそう思ってる」

「………」

「俺はもっと自由に生きたい。もっと自分の力で飛んでみたいんだ。確かに若隠居するのは夢だけど、その前に自分が何をどれだけ出来るか試してみたい。新しい人生なんだから」

「その言い草はまるで一回人生を全うした老人みたいだよ」


おどけて見せたシエルは次の瞬間、俺が今まで見たことも無いほど真剣な顔を俺に見せる。


「君は自分の事を籠の中の鳥と言ったけど、僕もそうだ。この国の中でずっと飼われ続けて、誰とも知らない大勢に注目されて、顔も知らないご主人様にかしずくく血統書付きの小さな鳥だ。はっきり言って僕は家を継ぎたくない。でももし選ばれてしまったら拒否権が無い。どんなに拒否しても資格と素質があると拒否なんて出来ない、そう言うものらしいんだ。なりたいと思ってもなれないし、なりたくなくても押し付けられる。だったら僕も後悔しないような生き方がしたい」


世襲貴族とはそう言う捉えかたも出来るのか。

何千年も家系ごと国に縛られ、自分の運命を正体もわからない元首に握られている籠の中の鳥。


「…確かにそうだな。籠や檻の中では食には困らないが息が詰まる。お前もしかして、ジョエル君や特にノエルちゃんの事を異常に心配していたのは…」

「父上やお爺様が言っていた。あの方にお会いするのは特上の喜びでもあるが最上の苦しみでもあると。そして歴代の鳥籠の当主の中で女性の当主は心を病むことが多いとね。僕はノエルに狂って欲しくない。あの子は優秀だ。のほほんとした顔をしてるが情に流されないし損得についても冷静に考えることが出来る。十分に当主としての資格のも質も持っている。もし、もし選ばれてしまっても出来るだけ楽しい思い出が残るようにしてやりたい。ここはそのための学園だから。今の当主たちの中で女性は7人いるが皆心は病んでないけどね」

「やっぱり当主は激務なのか?」

「そうだね、父上も殆ど休みという休みなんてないよ。領地の見回りに国会への召集、24家の会議の出席とかね。国中に移転陣が張り巡らされている関係で休んでる暇も無いらしいよ」


あ~、確かに前世ならどんなに忙しくても電車や飛行機といった移動時間で何とか休息が取れるが、移転陣は移動時間ほぼゼロだからな。それは辛い。


「お前はもし選ばれたらどうするんだ?」

「どうにも出来ないよ。選ばれたものは拒否できないからね。もし拒否するのなら聖帝国での記憶を消されて国外追放だ。でも僕は記憶を消されるのなんてまっぴらごめんだ。楽しいことも悲しいことも辛いことも全部僕の物だから。絶対に奪われたくなんてない」

「…」


そこで俺の番号の35番が呼ばれた。


「お、呼ばれたな。じゃ、行って来る」


話の途中で名残惜しいが、辛気臭い顔に両手で一発気合を入れた。


「いってらっしゃい。精々ボコボコにされてきな」

「一矢報いてやるわぃ」


控え室を離れ実技試験場の扉の前へ行くと武器の使用の有無を聞かれる。

無難に片手剣を選択して扉を開けると、ラングニール先生が模擬剣だろう2メートル近い両手剣を地面に突き刺して待っていた。


「よぉ。準備は良いか?」

「はい。使い魔と一緒に戦ってもいいんですか?」

「それは駄目だな。まず自分の力を示せ」

「分かりました。公星」

「モキュー…モッキュ!」

「ああ、がんばるよ」


公星が離れていき、準備を整えラングニール先生と約10メートルの距離から睨み合う。


「それじゃ、そろそろやるぞ。まだ後ろが詰まってるからな」

「はい。あ、そうだ。ルピシーとヤンはどうでしたか?」

「ん?なかなか骨があって面白かったぞ。ルピシーは真っ直ぐすぎる性格がそのまま出ていたがな。じゃ、始めるか。すぐに終わるんじゃねーぞ」


様子を伺っていても何も変わらない、なら先手必勝だ。


『ロックバレット!』


地面にある握りこぶし大の岩が数個浮き上がりラングニール先生に向かって高速で飛んでいく。

しかし先生は危なげもなく全て避け俺のほうへ走って向かってきた。


「おら!」

『アースニードル!』


先生が刃の付いていない両手剣の模擬剣を俺に向かって振りかぶった瞬間、先生の前に1.5メートル程の錐状の土の突起が出現する。

俺は今居る場所からすばやく移動し、先生が振りかぶった方向とは逆の方向に向かって剣を振るがすぐに避けられてしまった。


『クリエイトゴーレム!』


俺が術を発動させた瞬間、土の塊が集まり180センチほどの人型の人形ゴーレムを2体作り出す。

そして2体のゴーレムに追撃を命令し俺は先生へ向かって駆けていく。


加速ヘイスト!@ёΠτ∂ξ…』


加速ヘイストの呪文を唱えすぐとある呪文を詠唱し、ゴーレムが先生に向かって突進していくのを確認し先生の目の前に来た瞬間、俺はとある呪文を発動させた。


「!?」


先生が模擬剣をゴーレムに叩きつけようとした瞬間、ゴーレムが突然姿を消した。

そこに間髪をいれず次の呪文を詠唱する。

俺が詠唱していたとある呪文は穴掘りアースホールの呪文で、1体のゴーレムは俺が作った穴に落とされたのだ。

急にゴーレムが消え理解が追いついていない先生の隙をついてもう1体のゴーレムが攻撃を仕掛ける。

俺は唱えていた呪文を発動させ、更に呪文の詠唱をはじめた。

俺が詠唱を始めた頃、先生はもう一体のゴーレムを模擬剣の一なぎで土くれに変えていく。

まるでプリンでも掬い取るくらい何の抵抗もなく斬られたゴーレム。

そんなゴーレムに目もくれず先生は俺を見ると剣を振りかぶってくる。

だが壊されたゴーレムの後ろで俺が唱えた終え俺と先生の視線が交じり合った瞬間、俺の放ったアースアローが先生向かっていく。

しかしまた先生の剣に防がれてしまった。

先生が剣でアースアローを防いだ瞬間に、俺は先程穴に落としたゴーレムに指示を出す。

俺が作った穴から急いで這い出たゴーレムは先生に向かって体当たりをするが、これもまた壊されてしまった。


「おいおい、これで終わりか?」


先生の言葉に俺は不敵な笑みを零した。


「何笑ってんだか……ん?お前何をした…」


急に先生の顔が青くなり動きが悪くなる。


「秘密です。『強化エンチャント!!』」


次に俺が土に強化魔法を掛け指を鳴らした瞬間、先生の足元に手が出現し先生の両方の足首をがっしり掴んだ。

実は先程作ったゴーレムは2体ではなく本当は3体で、2体は地上に出してもう一体は土の中で待機させていたのだ。


『クリエイトニードルマキシマム』


俺の呪文に呼応するように強化した大地から無数の巨大な土の針が土煙を上げて飛び出してくる。


「ぬぉ!!」

「やったか!?」


土煙はすぐに晴れ先生の姿を探すが先程の場所にはいない。


「お前えげつない事するな、普通だったら死んでるぞ。おまけに毒まで仕込みやがって」


声のした方を見ると俺の背後に先生がいた。

俺は焦りを顔に出さないように苦慮しながら先生に問いかけた。


「あ、分かってたんですか」

「分かるに決まってんだろうが!」

「その割には平気そうですね」

「経験が違うからな」


実はアースホールの詠唱の後にある仕込をしていたのだ。

それは『毒池ヴェノムポンド』の呪文。

毒耐性のレベルが上がり毒魔術のスキルが派生した関係で毒関連の魔法が使えるようになり、俺なりに使い方を研究した。

その結果アースホールの中に『毒池ヴェノムポンド』を作りゴーレムにつけさせると同時に気化した毒を先生の周りに出現させるという使い方をしたのだ。


「しかしすごいですね。この毒瓶に入れて迷宮に潜ってる先輩に頼んで効果を実験していただいたんですけど、大抵のモンスターは身動きできなかったらしいですよ。最悪毒で死んだのもいるらしいですし」

「お前その毒を俺に何の躊躇もなく使うって根性ひん曲がってやがるな。流石あのおっさんのお気に入りだ。『聖炎の波紋』」


そう言って先生は自分を中心に薄く白い炎の波がを作り出し、何は波紋のように試験場に広がった。


「これで浄化完了だな」


見てみると俺が作り出した毒の池が見事に消え、気化していた毒も綺麗になくなっていた。


「…先生聖魔法も使えたんですか?」

「俺はこれでも聖職者だぞ。助祭の称号も持っている」

「はぁ?全く似合いませんね」


マジで似合わん。

ゴリラが聖職者ってなんぞ?


「ほっとけ!そんじゃ第2Rラウンドといくか」


その5分後俺の試験は終わりを告げた。

結局ボコボコにされましたよ、はい。

マジで酷いんだけど。

俺に向かって剣を横なぎしようとした先生に、ゴーレム5体を使って防御しようと作り出した瞬間にゴーレムごと素敵な893キックで吹き飛ばされました。

剣はどこにいったんだよ!!

昔ネットで見たトンファーキックじゃねーんだぞ!!

しか蹴り飛ばされた俺に瞬時に追いついて、空中で追撃を食らわすってどんな鬼畜ですか!!


「鬼!悪魔!鬼畜!変態!スケコマシ!エロオヤジ!!」

「おい!最後の3つは違うだろうが!!」

「うえーん。変態親父に汚された、もうお婿に行けない。奥さんに言いつけてやる…」

「何でだよ!!」


そんなくだらないやり取りをしていたが、本当に後が詰まっているらしく強制的に会場を後にさせられた。

クソ。まだ言い足りない。


「よぉどうだった、ってお互い酷い姿だな。」

「ねぇねぇヤン?ルピシーの頭が芸術作品になってるんだけど?」

「ああ、私もこの作品を見て危うく腹筋が壊れるところだった。こんなの初めて見た」

「ラングニール先生マジで酷いんだけど!!俺が何回か攻撃して突進してる最中に炎の壁を出したんだぜ!!信じられねーよ!!!普通出すか!!?丸焼き状態だぞ!!?」

「さっき先生がお前が真っ直ぐすぎると言ってたけどそうゆう意味だったのか。お前どうせ猪突猛進したんだろうが、少しは考えろよ。なんだそのアイロンパーマは笑わせるんじゃねーよ、今体中痛いんだから」


そう。ルピシーの髪の毛が見事なパンチの効いたパーマになっていたのだ。

しかも顔の火傷と痣でとてもファンタスティックな感じに仕上がっている。


「しかし、凄かったな。あのレベルになるまで一体どれくらい掛かるのやら…」

「ヤンはどんな試合だったんだ?」

「私は剣と火魔法をつかって挑んだんだが、全ていなされる形だったな。わざと体力を使わせられた感じだ。私達の服が護符アミュレットによって魔法耐性もあることが分かってからは遠慮が無かったしな」

「あ~なるほど。だからルピシーを火あぶりにしたのか。でもその割にはヤンはピンピンしてるな」

「そうでもない。今座っているがまだ立ち上がることができん」

「俺なんか作り出したゴーレムと一緒に蹴られて、飛んでいる間にまた蹴られてKOだったぞ」

「チクショー!あ゛ー!悔しい!!今度は絶対にラングニール先生にぎゃふんといわしてやるぜ!!!」


その15分後シエルも戻ってきた。

納得できないのはシエルは何処も汚れてはおらず傷も無い。


「やぁ、お待た…ぶはははははははは!!!ルピシー何その髪型!!セボリーも目の上にアイシャドウしてどうしたの!!?いつの間にゴンドリアにメイクを教わったんだい!?」

「アイシャドウじゃねーよボケェ!!内出血だっつーの!」

「うっせー!今俺は再戦に燃えてるんだ!!!」

「シエルはどういった試験内容だったんだ?」


怒り心頭な俺達を余所にヤンがシエルに問いかけた。


「僕は魔法で応戦したよ。火属性の攻撃を光魔法の幕で凌いでいたんだけどね、近寄られた瞬間に降参した」

「不公平だ!!!痛い思いしてないなんて!!不公平だ!!!」

「痛くなくて良かったよ。セボリー人間諦めが大事だよ。あれ?そういえばこの言葉最近使った覚えがあるな…」

「その話は置いておこう。変な扉を開かないために」

「そうだな……シエルの精神のためにも…」

「なぁ、この髪型ってどうやったら戻るんだ?」

「「「知らない」」」



ちゃんと待ってる間にシエルの回復魔法で治療はしてもらいましたよ。

流石にこのままで授業とか受けたくないし。

あ、シエルの回復魔法でもルピシーの髪形は戻らなかったことは言っておく。


全ての受験者の試験が終わり1時間ほど控え室で待っていると事務官が入室してきた。


「それでは皆さん今から合格者を発表いたします。合格者はこのままのこの部屋に残ってください。不合格者は退室願います」


事務官が指を鳴らすと部屋の空間に光の文字が現れた。

え~っと33~36っと…………

23、26、27、31、うぉ行が変わった。

えーっと、あった33・34・35・36だ。


「やったぞーーーーー!!!」


馬鹿ルピシーの雄叫びに耳を塞ぐ。


「「「ルピシーうるさい!」」」

「これで潜れるぞ!!!」

「話聞けやーーー!!!」


迷惑顔の周りの合格者に謝りまくり、ルピシーを絞めた俺達はその後説明を聞いていた。


「では説明します。まずこの資格証を紛失しますと再発行はしますがお金が掛かります。3回紛失させたら最初から試験を受け直していただきます。ただし前の試験より合格ラインが厳しくなるので注意してください。それとこのカードで学園都市内の買い物をしたい時には予め口座にお金を入れいておいてください。そうすれば自動で引き落とされますので。ああ、カードは本人しか使えません。もし盗まれても他人は使えない魔法を掛けていますので安心してください」


何この前世よりも安心安全なセキュリティ。

この世界じゃオレオレ詐欺とかもなさそうだから万全じゃん。


「さて、今この会場には何人か未成年の方がいますが、聖帝国籍の未成年はこのカードで正式な迷宮に挑むことは出来ません。その変わりに試しの迷宮と言われる迷宮に入ることは出来ます。しかし試しの迷宮も未成年では50階層までになっています。他国籍の人はどうぞどちらでも入っていただいて結構です年齢制限もございません。本日カード発行の手続きを行います。少々時間をいただく関係で即日発行はできないため、明日こちらへ取りに来るか有料になりますが発送いたします。お届けの場合後ほど受付によって住所の記入をお願いします」


それから説明会を1時間ほど受けカード発行に必要な手続きをした後、俺達は寮へは帰らずフェディやゴンドリアが待つ商会の事務所へと向かった。


「皆合格おめでと~う」

「おめでとう、うん」

「お前らは取らなくて良かったのか?」


ぶっちゃけフェディって体術だけなら俺よりも強いんですけど。

ゴンドリアはゴンドリアだから受かるのは確実だし。


「必要ないわ。だってあたしはか弱いから」

「嘘付けぇぇ!あ、さいですか。すんません。お願いですから拳鳴らさないで」

「ぼくもいらない、迷宮にだけ生える草や花はあるけど。まだ地上の研究が終わってないからね、うん」

「そんなことよりパーティしようぜ!パーティ!!!」

「それもそうだね。どこか食べに行く?」

「俺美味い店知ってるぞ!!!」

「じゃ、そこ行こう」

「ルピシーの美味しいものに関しては信用できるからね、うん」

「「「だな(ね)」」」

「俺の信用はそこだけか!!」

「「「「うん」」」」

「チキショー!!!」


最初からルピシーに勉強面や生活面は期待していない。


「店に行く前にお風呂に入りましょ」

「そうだな、汗を流したい」

「俺はこの髪型を治したい!!!」

「もう良いじゃんその髪型で。そのうち慣れるぞ」

「嫌に決まってるだろうが!!!」


汗を流して身なりを綺麗にした後、俺達は夕方の町へと繰り出した。


その後回復魔法でも直らなかったルピシーの髪型は皆の笑いを誘い、店に食べに入っても他のお客さん達が飲み物を飲めなくなると言う事件が起き、学園都市にある数多くの店から出入り禁止を食らう派目となる。

そのことで暫くの間ルピシーは食べ歩きをすることが出来無くなり、泣きはらしていたことを記述する。

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