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Public Star~目指せ若隠居への道~  作者: 黛紫水
第五章 進化への種の章
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第百九話 逝けメンの笑顔(2017.12.22修正)

「そう言えばロイズさんはどうして聖下に存在ばれたんですか?俺の場合この指輪なんですけど」


もうかれこれ六年以上の付き合いになる左手の中指に嵌る指輪をロイズさんに見せる。

この指輪、たまに光ったりするが嵌めている事さえ忘れるほど指に馴染んでいた。


「ああ、これが聖下が言ってた指輪かぁ」

「この指輪の事も聖下から聞いてたんですか?」

「そう。ぶっちゃけその指輪嵌めてると聖下に情報駄々漏れだよ。作った本人が言ってたから間違いない」

「…なんかもう色々諦めました………ロイズさんは何で聖下に見つかったんですか?」

「僕の場合は実験とかしてたら精霊経由で知らされちゃったんだよねぇ」

「実験?」


どうやらロイズさんは俺より記憶の覚醒が早かったらしく、聖育院じっかの頃から魔法の事など色々な事を調べまくっていたらしい。

しかも俺と同じく生まれた時から魔力が多く、精霊に好かれる体質だったため実験を繰り返している最中に今の帝佐さんから目を付けられたそうだ。


「いやぁ。あの時はまずったと思ったよ。精霊を介して色々実験してたからさ、絶対怒られると思ったんだよね。ところが色々質問された後で逆に褒められちゃってさ。その後夢枕に聖下が出てきて直接精霊の愛し子認定受けて、導き手も付けられちゃったんだよねぇ。最初は導き手なんて迷惑極まりなかったけどフレイおじさんおちょくるの面白くてどうでも良くなってさぁ。香玉を貰ったのは界座を拾ってから半年もしなかった頃だったかな?」


ホーエンハイム公爵、本当に…本当にご愁傷様です。

初等部入学前に知り合ってるのか……じゃあ本当にホーエンハイム公爵は親戚のおじさんみたいな感じなんだろうけど、しっかりこの腹黒に遊ばれた公爵が可哀そうだ…

つかその実験の内容が凄く気になるんですけど……


「……所でどんな実験してたんですか?」

「精霊にお願いしてこの世界の情報かき集めようとしたりとか、精霊に手伝ってもらってちょっと可愛い悪戯を仕掛ける実験とかかな?他にもたくさんやったけどたくさんありすぎて忘れちゃった」

「………それ絶対悪い事に使ってますよね?」

「やだなぁ。そんなの規制する法律自体無いんだから悪くは無いよ。精霊に害をなす行為は罪になるけど、精霊達もかなりノリノリだったからねぇ」


この人絶対に悪い事に使ってるわ…

さっき言ってた24家当主達の弱みもきっと精霊達に頼んで仕入れたものなんだろうな…

精霊達もそんなロイズさんに協力して色んな情報を教えてあげるって訳か…

この人裏の世界とかで情報屋でもやってそうだな、おい。


聖育院じっかで結構好き勝手やってた俺が言うのは何ですが、絶対に聖育院じっかでは浮いた存在だったでしょうね」

「酷い言われようだなぁ。まぁ確かに一人で居る時間のほうが長かったかもしれないけど、仲の良い子は結構いたんだよ?今でも交流あるしね。いやぁ、でもウィルと知り合って詳しく魔法構築式を教わってからは実験もはかどったよ。僕等精霊の愛し子って精霊達に好かれてるから力を貸してもらえるんだけど、魔力と魔法構築式の成り立ちを理解していないと力技でするから効率が悪くなるんだよねぇ」

「魔導陣は消費魔力が少ないですが」

「そうだね。漢字はこの世界には存在しなかった文字だからね。精霊達が物珍しがって力を分けてくれているんだ。日本語詠唱も聞いたことの無い言葉だから力を分けてくれるんだと思うよ。だから自分の魔力があまり削られない。それに漢字ってそれ自体が強い力を成しているからね。それ自体が陣のようなものなんだから強力な魔法が発動できるんじゃないかな?」


ああ、成る程。アルゲア語は英語のアルファベットと同じくその文字自体に意味は無い。

しかし漢字は一個の文字でその文字の意味を表すことができる。

つまり魔法構築式の基礎文字と装飾文字カリグラフィーを一気に表すことができる文字なんだな。


「但し、魔導陣は漢字とその意味を理解していないと発動する事が出来ない」

「え?でも公星は魔導陣発動できますよ?」

「それは君と魂が繋がっているからだと思うよ。あと精霊に好かれているかも関係あるかもしれないね。実際界座も使えるし」


と言うことは精霊に好かれる体質の人が漢字の意味を理解できたら魔導陣を発動できると言う事か?

ロイズさんはもしかしたらそれを実験した事があるのかな?


「実験した事あるのかって顔してるね」

「…分りやすいですか?」

「うん、凄く分りやすい。結論から言えばイエスでありノーでもある。発動できた人はいる、だけど発動できたのはひとりだけだった。ああ、ウィルじゃない事は分ってるでしょ?僕はあいつには日本語教えたこと無いから」

「……………聖下ですか?」

「正解。そのあと帝佐閣下に説明して実験しても発動しなかった。他にも聖帝家の使用人の人に試してもらっても全く発動しないって結果だったよ。まぁ、あの人は特別すぎるからこの結果はノーカンで実質ゼロだと思ってるけど」


やっぱり聖下か。あれ?なんか引っかかる…何に引っかかっているんだ俺は…

……!!……そうか。俺は心のどこかで聖下は元日本人の転生者だと思っていた節があったのかもしれない。

だってあの手紙には日本語が書かれていたからな。

日本語が書けるのなら転生者なのは決まりだと思っていたんだ。


「……聖下は転生者ではないんですか?」

「僕も昔その質問をした事があるけど違うって言われたよ。昔面白い奴に教えてもらったって言ってたね」


面白い奴?誰だ?

でも聖下が昔と言ってるんだから相当昔のことだな。

と言うことは俺達が生まれるずっと前の転生者が聖下に日本語と漢字を教えたんだろう。

そして指輪を通して俺が日本からの転生者だと知って手紙の一部に日本語を使ったんだな。


「僕から詳しく聖下の事を話すのはこれで打ち止め。聖下からもそう言われてるしね。会うの楽しみにしてるってよ」

「…俺にしては死刑宣告に近いんですが…………でもやっぱりロイズさん、結構なペースで聖下とお会いになってる様子ですね」

「多い時で月一回はあってるかな?少なくて半年に一回だね。今回ウィルの苗木剪定の儀を受けさすために拉致って来た件は聖下もいっちょ噛みしてるからねぇ。僕が出来るだけウィルにプレッシャー与えてくれって頼んだら楽しそうに頷いてたし」

「…………………」

「ウィルの事は僕がいつも聖下に聞かせてたし、昔から良く魔道具マジックアイテムでウィルの事見せてたから多分…いや、絶対に直ぐに叙爵されると思うよ。ああ、これからが楽しみだ。ウィルの慌てふためく姿を見れるって思うと笑いが止まらなくなる…」


うわぁ…ドン引きですわ。メッチャ悪い顔して笑ってますやん。

でもイケメンだから悪い顔してても様になるのがなんともかな…

いや、これはもはや逝けメンだ。


「…………とにかく、ロイズさんに関わる人に心の平穏と幸あらんことを…」


悪い顔をして笑うロイズさんを見て俺はウィルさんをはじめ24家当主達に同情を送った。


ウィルさん、諦めな。この人に友達認定受けたのがそもそもの間違いだったんだよ。

だって、この人魔王だもん…


この時俺はウィルさんが叙爵したら少しは心の余裕が出来るだろうから慰めてやろうと思ったのだが、叙爵してから直ぐにまたウィルさんに不幸と幸福が降りかかることになるとは夢にも思っていなかった。

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