フィナーレ
どうして、という思い
くやしい、という思い
かなしい、という思い
ありがとう、という思い
ごめんなさい、という思い
行かないでください、という願い
終わらないで欲しい、という願い
思いは渦を巻いてのぼり
瞳のそこかしこを濡らしてゆく
頬も顎もこぼれた思いに濡れてゆく
日頃の薄情は棚に置き
身勝手な悪あがき
振り返るばかりの情けなさ
あることが当たり前の
ひたすらの明るさに
恵まれていたのだと
今更の気づきに笑う
笑った分だけ
渦は増してこみあげてくる
三十二年間打ち上げられた大輪の花火
最後の満開にしばらく見とれた