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ヒスティマ Ⅴ  作者: 長谷川 レン
第五章 黒い風
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パトロール

ようやく……ようやく解放された……。

待たせていた皆様、申し訳ありません!!




 中央通りはそれなりに広く、車が三台は並べられる。そこを行き交う人たちはほとんど一般人で、ユミ達が守る対象なのだろう。そんな中で、幾人かの人々は各々、剣などの武器を所持している。


「ミユさん。あの人たちは……?」

「あぁ、傭兵とか旅をしている人だよ。全部が全部。私たちで対処はできないからね。人数も少ないし」


 主な理由としてはそのようで、どうやらこの電光王国では傭兵ギルドなるものがあり、手が回らない仕事はそちらにお願いしているようだ。


「えっと、じゃあさっきのお城にいる人たちの仕事って……」

「そっ。慈善事業のようなものかな? 他の国から頼まれることも多々あるからお金には困ってないんだよね」


 慈善事業をしているからだろうか、町を歩いているといろんな人から声を掛けられる。主にかけられるのはミユの方だが、付き添いでいるボクに向かってもちょくちょく話しかけられる。

 しっかりとパトロールしながら中央通りを抜け、今度は東通りを周り始めた。こちらは中央通りほど人はいなかったがそれでもたくさんの人がいた。ほぼ全員が装備を整えた旅人だ。どうやらこちら側に宿屋がたくさん揃っているみたいだ。武器屋や防具屋などもこちらにたくさんあるようだ。


「武器とか防具を探しに来るならここらへんだね。リクちゃん、試しに防具着てみない?」

「え? ボクがですか?」


 ミユが確かに頷くと、身近な防具屋に入っていろんな防具を当てられた。

 軽装備から重装備まで当てられて見たけど、やっぱりボクには軽装備だと言う事で、革製鎧をなぜかしっかりと当てられてミユが真剣に眺めていた。


「あと…………。そうそう。それで……。あぁ、そうや……」

「ほぉ……。ですが…………。だけど…………。これくらい……」

「へぃへぃ。だが、残りの……」

「わかってるよ。はぁ……、あと三…………」


 何やら二人、ミユとその顎鬚(あごひげ)のすごいお爺さんが内緒話をしている。

 特に関係ないかと思って近くに置いてある鏡に体を移すと、そう言えば、指輪つけたままだった事を思い出した。

 だけど、今ここで外したら何事かと思われる事だろう。

 外したら煙とか光が出るんだから。

 はぁ。何で朝外さなかったんだろ……。


「それじゃあ、またね」

「はぁい、毎度あり~」


 毎度、とは言われてもボクは一回目だし何も買っていないのだが。

 お爺さんに見送られてミユとボクは外へと歩きでた。


「ホントに着てみるだけでしたね……」

「あったり前じゃん。防具、欲しいの?」

「いえ、そうでは無いんですけど、なんだかミユさんが真剣に見ているように見えたので」


 だから買うのかと思ったんだが、どうやら本当に違ったみたいだ。店も適当に入ったきりだったし。

 ボク達は東通りを抜け、今度は北通りへと回った。すると、パトロールとして辺りを見ていると、道から外れた路地に、うずくまる小さな人影が見てとれた。


「あの、ミユさん。あの人は……」

「おかしいね。電光王国にはホームレスはいないからうずくまる必要は無い」


 ミユはそう言うと、路地裏へと入って行き、そのうずくまる人の肩を叩く。


「もし。大丈夫ですか? どこか痛いのですか?」


 ミユが優しく声を掛ける。すると、顔をあげたのは小さな女の子。


「よしよし。親とはぐれちゃったの?」

「…………うん」

「それじゃあ、一緒に捜そうか」

「うん!」


 うずくまっていた小さな女の子の笑顔を取り戻し、手を取って歩きだした。いろんな人に聞いて回って、それが人から人に伝わったのか、遠くから走ってくる女の人が見えた。

 その女の人はその女の子の母親だったようで、ずっと探していたようだ。


「ありがとうございます! 何とお礼を言ったらいいか……」

「ただ一緒に探してあげてあげただけです。お気になさらないでください」

「ありがとうございます!! ほら、メイちゃんも」

「ありがと、おねえちゃん!」


 もう一度お礼を言われながら、ボク達は女の子と別れる。

 その後も少し困っていたり、本気で困っているような人達を助け、お礼を言われながらミユの歩みが進んでいく。ただのパトロールだと思っていたのだが、これは慈善事業の延長線なのだと、ボクはそう考えた。しかも、それが自然と出来る。自然と動く。それが電光王国の戦士たちなんだと、考えた。


「ん~。やっぱり北はややっこしぃねぇ」

「いつも北通りはそうなんですか?」


 ボクが聞くと、背伸びをしていたミユは頷いた。


「北はあまり大きな通りが無くて、ある意味迷路のようになっている。だから困る人が多くて。さっ、今度は西に行くよ」


 道を通って西通りの方へと抜けていく。

 西の方は北と同じく居住区が多いらしく、たくさんの家があるようで、人々が 暮らしている。道端で話しこんでいるお母さん達やら、今から学校へ行くのか、制服を着て走って行く遅刻っぽい少年の姿が見受けられる。って言うか、この国に学校ってあるのかな。


「あれ? またうずくまってる人がいる?」


 ミユが目ざとく見つけると、歩きながら近づいて行って、肩を叩いた。


「ねぇねぇ。どうしたの?」


 うずくまっている人影が顔をあげた。

 今度は一体どんな子なんだろう? 一体どうしたのかな? そんなふうに思っていた。



 ――その顔をあげるまでは。



「「!?」」


 ボクとミユがその場から飛び退く。瞬間、今まで立っていた場所に黒い液体のような物が地面から突き出された。


「何!?」

「わかんないですけど、とにかく人では無いんじゃないですか!?」


 顔をあげた人影。その顔は真っ黒い物体がべっとりとくっついており、それがのっそりと立ち上がるとその手は三つの触手みたいな物になっている。誰がどう見ても魔物のような形をしている。


「〈バースト〉」


 自分に強化魔法を発動してルナを腰にさして柄を握っておく。居合ならばここからでも十分に斬り裂ける。


「待ってリクちゃん。その魔物、魂を二つ持ってる」

「え? どうしてですひゃ!?」


 手から延ばされた触手が不意打ち気味に襲ってきたのを驚きながら抜いた刀で防ぎながら飛び退いた。


「これ、まさか寄生タイプの魔物? なら……〈ソウルボム〉!」


 ピンッ。指を弾く音。

 そうすることで――パァンッ!


 急に黒い物体がはじけ飛んだ。ぼとぼとと落ちていき、とうとう残された子供がゆっくりと倒れた所でボクが片手が刀でふさがっているので左手を使い、胸に受け止めた。

 普通の子供だ。どうやら黒い魔物がくっついていたようで、それが死んだために元に戻れたようだ。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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