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ヒスティマ Ⅴ  作者: 長谷川 レン
第二章 力の源
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ユニゾンレイド



「さて、まずは自分の魔力を放出。その後になんでも良いから形にしてみて」


 ユミにそう言われ、ボクは一番想像しやすい丸を想像して魔力を放出。

 ボクの掌の上に透明だけど丸い球体が残された。


「今度はそれを維持したまま、もう一つなんでもいいから初め出した形以外を出して」


 ボクはもう片方の手を出して、そこから魔力を放出。

 何とか形作ろうとするも、なかなか形作れず、形作れても丸い物しかできない。

そればかりか……。


 パンッ。


「ひゃ!」


 目の前で急に爆ぜた。

 見てみると、球体を作っていた魔力が爆発してしまったようだった。


「これ、結構難しくないですか?」

「これを習得しないとユニゾンレイドは使えないよ?」


 ユミにそう言われ、今日のノルマを思い出す。

 今日は三つの系統を覚え、そして同時に使う事だ。

 ボクはユミに言われた通り、決して難しいとは思わず、やればできると感じて目を瞑って左手で作った球体を維持したまま右手で三角体を作ろうと頑張る。

 だけど、二回目は球体が爆発する事は無かったが崩れるようにしてと消えてしまった。


「二回目で躓いていたらダメだよ? 本当は三回目で躓くようにするつもりだったんだけど……」


 三回目。つまりはその三とは、氷、火、風を現しているのではないだろうか。


 氷……火……風……。


 氷は氷柱。


 火は火柱。


 風は二つを包んで……。


「す、すごいじゃん! 基本を無視してここまで出来てるなんて!」

「へ?」


 ボクはユミの声を聞いて現実へと戻された。


 目をあけた瞬間、急に周りに展開していた氷と火と風が爆散する。


「ひゃぁ!?」

「あ、もしかして私が邪魔しちゃったかな?」


 ポリポリと頬をかくユミ。

 どうやらボクは無意識的にだろう、魔力をそれぞれの系統へと変化させていたようだ。


「でも、どうして……?」


 確かボクの魔力は神様と魔力を合わせる事でいろいろな属性へと変化させるような魔力が空白色の魔力だと……。


『そんなことは無いぞ? 我々神の力を使わずとも、ユミの様になんでも想像で系統属性など使えるのじゃ。リクとユミの魔力はよく似ておる。まるでユミが転生した様な感じに思えるぞ』


 頭の中でルナが説明してくれる。

 これを言うと、未来のルナに失礼だが。

 未来のルナは記憶がないからあまり頼もしくは無かったが、過去のルナはとても頼もしい。


「でも、ちょっと想像するだけで三つとも魔法が使えるなんてね。もうちょっと教える速度を速めれるかも……。でもまぁ、今日はユニゾンレイドだけにしておこうか」


 ユミが今日の方針とこれからの方針を完全に決める。


「さて。それじゃあリクちゃんもう一回」


 目を閉じる。両手を広げて、魔力を流出して火と氷を想像する。

 それだけでそれぞれの手に火と氷が作られた。

 目を瞑っていても温度差で分かるのだ。左は熱いのに右は冷たくて気持ちが良い。


 そしてそこに風を流そうとする。

 だけど、両手がふさがっているのに風などどこから出せば……?


『そんなことおもわずとも、ふつうにてからだしてはどうです?』


 手から? でも手は今塞がって……って、そうか。塞がっているなんて思うからダメなんだ。

 ボクは二つを維持したまま、最後の風を発動するために力を込める。


「そうそう。そんな感じ……」


 ユミの声が聞こえてくる。

 ボクは少しずつ入れていく魔力を込めて行って……。


 目を開いた。


 すると、ボクの周りには火、氷、風の三つが吹き荒れるように飛んでいる。


「わぁ……」


 少し綺麗だなと感じたボクは、つい声を漏らした。


「魔法を同時に発動する事は何ら問題なさそうね。これなら今日中と言わず、今すぐにでもできそう。それじゃあ、今度はその三つを組み合わせようか。私が今日の午前にやった魔法を覚えてる?」

「はい」


 忘れるはずがない。少量の魔力であれだけ大規模の魔法を放ったのだ。

 今日の午前に行われたのだし、忘れる方が無理だろう。


「それじゃあ、その手の内に魔法を放ち、そして留める。そこに別の魔法を放って留めると魔法同士が干渉し合って融合するイメージを作る。大切なのはイメージ。出来ないと思ったらそこでもう終わりだからね」


 ユミに再度そう言われ、ボクは右手を出してそこに向けて魔法を放った。


「〈アイス〉」


 一つ目の魔法を唱える。辺りを飛んでいた氷は魔法となり、ボクの右手へと飛んできた。

 ヒンヤリとはするが冷たくは無い。自分の魔力だ。


 ボクはそれを信じて次に火の魔法を放つ。一度も使った事は無いが、それでも出来るとボクは確信していた。


「〈ファイア〉」


 ボクが右手へと放つと、周りを飛んでいた火が集まってボクの右手へと接触。


「――ッ」


 ちょっと熱い思いをしながらも、ボクは何とか我慢をすると、その炎が自然と氷と混ざって行った。

 次第に熱も感じなくなり、冷え切った感覚を覚えていく。

 これで後は風を融合させれば良いはずだ。

 ボクは辺りに吹いている風を意識しながら、魔法を放った。


「〈エアロ〉!」


 ヒュォォォゥ……。と手に集めていた魔力が勝手に広がった。




 次の瞬間。



「え――」





 ――キィィィンッッ!!


 耳に響く音が聞こえたかと思ったら、辺り一面が氷で埋め尽くされてしまっていた。





「あ……」


 ただ風が吹いただけだと思ったのに、その風はまるで全てを一瞬にして凍らせるがごとく吹いた凍てつく風そのものだった。


「こ、これは危ない……。私じゃなかったら凍ってたかも……」


 気が付いたらこの部屋全体が凍っていたので、ボクは何が何だかわかっていないこの状況についていけなかった。


「……何……が?」

「魔力の暴走……ってところかな?」


 ユミが赤い衣をまとっている。

 その衣はユミを覆って凍ることなくしっかりと守っていた。



『火系統の防御魔法の〈炎の衣〉じゃな。ユミの魔力じゃと火系統が弱点の属性魔法はまず突破する事は不可能じゃろう。……その不可能と思われた衣に、ヒビを(、、、)入れる(、、、)リクの力は一体どれほど……』



 今のルナの解説に、ボクは「え?」とつい声を漏らしてユミを見た。


 すると、ピシッと音がしたかと思うと、赤い衣にヒビが入った。



「あ、あの! ご、ごめんなさい!」

「気にしない気にしない。これくらい、守れないとね。私もまだまだかぁ」


 ユミは掌を返していいよと言ってくれたが、ボクには少し自分の力を使うのに恐怖を感じずにはいられなかった。

 あんな事がまた起きてしまったら……。


『りくはすこし『ネガティブ』なところがあるようですね。あんしんしてください。あなたが『魔力』をしっかりと『コントロール』できればあんなぼうそうなどにどとおきないようになりますから』

『そうじゃそうじゃ。暴走を無理やりにでも使おうとしないと完璧に魔法が使える人は暴走を起こせないものじゃからな』


 二人がボクを励ましてくれる。


「ありがと、二人とも」

「? もしかして、中に居る神様と話してた?」

「あ、はい。ごめんなさい」

「ううん。気にしなくていいよ。さっ、もう一回発動してみよっか」


 ユミがさっきと変ることなく接してくれて、ボクは嬉しく思いながらもう一度、今度はしっかりとコントロールするんだと考えて集中を始めた。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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