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ヒスティマ Ⅴ  作者: 長谷川 レン
第一章 タイムスリップ
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失った聖地



『落ち着いたかのぅ?』

「う、うん……」


 我を無くしてルナに抱きついてしまい、反省して顔を赤くしてうつむいていた。


『まったく、大体は〝白姫〟であるシラから聞いたが……まぁ信じれぬ話ではないからのぅ。決められた運命の上で(あるじ)は過去に来ていた事は百パーセントじゃな』


 二人を体の中へと戻していたボクはお風呂から出ていた。決闘に行く前に持って行った服を着て蜜に貰ったボロボロとなった服を手に持って歩いていた。

 男湯を出ると、キリの姿はすでになく、ソウナとマナの姿も無かったので一度服を置きに行こうと思って転移陣の上に乗る。


「転移・四階」


 視界が光りで埋め尽くされ、そして階が変わった。

 階段を使わなくて良いと言う点に楽だと思う。だけど、そもそも階段なんてあるのだろうかと思う。今の所見ていない。


『それにしても、どうしてルナが急に……』

『ふむ。それはあのお風呂に残っていた神力じゃろうな』

「しんりょく?」

『神の力と書いて神力じゃ。それに触れたために主自身が我々神に近づく事が出来たのじゃろう。そのため、契約している妾が引っ張られた。といった感じかのぅ』


 ごめん、まったく意味がわからない。


「え、えぇっと、とりあえずボクの事はリクでいいよ」

『む、そうか。ならばリク。もう一人の神と契約しているようだが、すでに二つの神と契約出来ておきながら何故出来たんじゃ?』

「それは、聖地を持っていたから……」

『聖地? なんじゃそれは?』

『わたしもはじめてききましたね』


 二人が知らない? と言う事はこの時代にはまだ聖地と言う物は存在しなかった?


 とりあえずボクは客室についたのでドアを開けて中へと入った。

 電気がついているのだが、中があまりにも静かだと思うと、ベッドを見るとすでにキリが寝ていた。どうやらかなり疲れていたらしい。

 ソウナとマナはまだ戻ってきていないみたいだ。

 ボクはボロボロになった服を畳んでいると、中から指輪が落ちてきた。


「あ、これ入れたままだった」


 ボクはその指輪をズボンのポケットに入れて、畳んだ服をベットの隅の方に置いた。

 もうボロボロになっちゃって使えないだろうけど、捨てようとは思えなかった。


『それで、聖地とは何なのじゃ?』

「えっと、ボクもよくわからないんだけど、なんだか神様と何人でも契約できるみたい。だから聖地なんだって」

『む、そうか。それはまるでユミのようなものじゃのう』


 そう言えば、『古書』にユミは何人もの神様と契約している事が記されてあった。ルナが言うなら、これはきっと事実なのだろう。

 やはりユミも聖地を持っているのかもしれない。だが、それが本当に聖地かどうかは分からない。自分でも聖地をよくわかっていないのだから。


 そこでふと、ボクが戦う前に聞こえた白夜の言葉を思い出していた。



 ――……リク。……あなたの聖地、奪わせてもらう。



 ボクが気絶する前に見た景色。それは白夜がボクの胸から白い光を取り出した光景。

 あれは一体何だったんだろうか。

 もしかして、あれが〝聖地〟と言う物なのだろうか。

 ボクは分からず、ただ考えこんでしまっていた。


 ガチャとドアが開く音がする。


「良いお湯だったね~」

「そうね。まだ肌に熱が残ってるものね」


 振り向くと、そこにはネグリジェを着たソウナとパジャマ姿のマナが居た。


「あの、ソウナさん」

「何かしら?」


 ソウナは自分が選んだベッドに座り、ボクに微笑みかけてきた。


「白夜さん、ボクが気絶する前に何したんですか?」


 その微笑みが凍りついた。

 ソウナのその反応だけで何かがあった事は間違いない事を確認できた。


「最後に見た白夜さんが持っていた白い光。あれ、なんですか? ボクの中から出てきたあの白い光は」

「あ、あれは……」


 微笑んだ顔を隠して何か隠したがっている様子が良くわかる。

 少し待ってみても、ソウナは言うつもりが無いようだ。

 そのかわり。


「リク君。体は何とも無いの? 魔力が使えなくなった以外に……」

「何とも無いです、けど。ボクの体に何か関係ある事なんですか?」

「そうね……。でも、ユミさんがリク君の魂の半分は神で出来てるって聞いて、大丈夫かなって思ったけど、本当みたいね」


 安心するようにするソウナ。ボクはその言葉の真意に気づかなかった。


 だが。



「おい、それはつまりリクが〝聖地〟を失ったって事か?」



「「!?」」


 キリがいつの間にか起きてこちらを見ていた。

 聖地を、失った……?


「その反応はあってるみてぇだな」

「…………」


 ソウナは黙ったままだった。

 そのかわりと言うようにキリが話し始めた。


「これは俺の仮設だが、リクはその〝聖地〟を失ったためにこちらに来てもしばらく意識が回復しなかったのはそのため。魔力が使えなかったのはおそらく〝聖地〟の魔力を使っていたから。リク自信の魔力はまだ使っていないんだろ。なぜなら、人と神の間に生まれた子だ。リク自身は時属性が一番得意な魔力なハズだろ」


 ボクが時属性を?

 母さんが時の神だから?

 だからボクの魔力は時属性を得意とするのだろうか。


「……そうね。確かにリク君は白夜さんに奪われたわ。それは、近くに居た私が止めるべきだったのに……」

「ソウナさん。それは……ボクがあの時怒っちゃったから……」


 ソウナの声は聞こえていた。アキの逃げてと言う声も。

 だが、もう始まってしまっていたのだ。途中で白夜の剣激から逃げられはしなかった。


「だったら、もうリクは自分の魔力を探す事からだな。なんだったら、時空魔法が使えるユミに頼んでみたらどうだ?」


 シラにも言われた。ボクは頷いて、いつ話そうかと少し考える。


「あ、もう十一時過ぎてる~。ウチはもう寝るね~」

「そうだな。俺も今日は疲れたし、話はまた明日でいいか?」

「それもそうね。……ごめんなさい、リク君」

「いえ、気にしていません。それに、ボクも今日はちょっと疲れていますし……」


 三人ともベッドの布団の中に入る。

 寝付きのいいキリはもうすでにいびきを立てて寝ていた。マナも相当疲れていたようですぐさま寝てしまった。


「リク君は寝ないの?」

「えっと、ボクはちょっと用事がありますので」

「こんな時間でこんな場所で?」


 ソウナに疑うような目で見られた。


「じゃあ行って――」

「私も行くわ」


 布団から出てクローゼットからカーディガンをとってネグリジェの上に羽織った。それだけでなく、ソウナは中からもう一つのカーディガンを選んで、ボクに渡す。


「こんな夜更けじゃさすがに湯冷めして風邪ひくわ」

「ボク、シラと契約してるからあまりそう言うのは要らないですけど……」

「気分よ気分」


 ソウナにそう言われ、ボクも羽織る事にした。


「さ、行くわよ」


 靴を履いて、ドアを開けるソウナの後について行った。

 ドアの外に出て、ボクは転移陣へと歩いて行くと、ボク達が転移陣に乗る前に転移の魔法が発動されて目の前に人が現れた。

 顔をうつむけているために黒い髪で顔は見えず、服は黒と赤で統一され、マントのような物を羽織っている。食堂でこんな男は居たかと思い返していると、そう言えば寝ていた男が着ていた服と同じと思いだした。


 その男が顔を上げる。


「……ん? どこか行くのか?」


 とても重く、聞く人が聞いたらちょっと竦み上がるような声でそう言われ、ちょっと冷や汗を垂らした。

 悪い事は何もして無いはずなのに、こうまでプレッシャーを与えられる人ってそうはいないのではないだろうか。


「セルスさんに呼ばれてまして……」

「セルスに? ……そうか」


 男はそれだけ言うとそのままボクとソウナの間を抜けて歩いて行ってしまった。中央を素通りした所を見ると奥に部屋があるのだろう。


「誰かしらね」

「ちょっと気になりますね。それに、とっても強そうです。って、これじゃあキリさんみたいですね」


 ボクは苦笑してその転移陣の上に乗る。ソウナも乗ったのを確認すると、発動させる。


「転移・三階」


 階が変わる。そしてボクは驚いていた。


「ところで、そのセルス君の場所はどこ?」

「えぇっと、三階の一番奥の研究室って言っていましたけど……」


 奥ってどこだろう。

 三階は四階や五階や十階と違って目の前に見えるのは壁だった。左右に廊下が別れていたのだ。

 どうしたものかと考えていると……。


「おやおや? もしかして食堂でセルスと話してたお客人ではありませぬか♪」


 右の通路から歩いてきたとんがり帽子を被ったいかにも魔女っ娘とでも言うような服装で前かがみになって話してきた。


「あなたは?」


 ソウナが質問すると、とんがり帽の少女は前かがみになっていた姿勢を元に戻して、腰に手を当てて、胸を張ってから笑った。


「あっはっは♪ このあたしは世界一魔法の操作が上手いセレクト・マージャン! 魔法の発展が一番進んでるル・レイラから来た――」

「うるせぇ!」


 自己紹介中に白髪に似た鈍い色をした少年がセレクトと名乗った少女の頭をバットで殴った。

 ガーンと良い音が鳴ってそのバットに赤い液体が付着し、セレクトの頭からも赤い液体が流れ出てきた。


「いったぁ! レインあたし殺す気!?」

「常時魔法防御発動してるだろ」

「そうだけどっ! これみて! 血! レイン今バット握ってる手にグローブ嵌めて無いんだから魔法が強制無力化されて直に当たるんだよ!?」

「お前が夜に騒ぐからだ」

「いつもの事じゃんよー」

「もう一回いっとくか?」

「ごめんなさいもうしないのでそのバットを今すぐ閉まっていただきたいのであります」


 いつの間にかセレクトの赤い液体が消え、土下座してレインと呼ばれた少年に頭を下げていた。


「そうか。ならいい。それじゃあな。君たちも早く寝なよ」


 レインは手を振って左の通路に歩いて行った。


「ったく。見苦しい所見せたね。それじゃあセルスの部屋に案内するよ。どうせセルスの事だから右とか左とか言わなかっただろうしね」

「よ、よろしくお願いします」

「……いつの間に回復魔法を使ったのかしら……」


 お願いするボクとは間逆に、ソウナはセレクトの魔法を感じ取れなかった事を興味深く考えていた。


「それじゃあ二名様ご案内しま~す」


 先程レインと約束していた事をさっそく破っていたセレクト。すごく適当っぽい人だ。

 セレクトは右側の通路を歩いて行くので後を追って行く。

 しばらく歩いて行くと、その奥にまた通路があって、右側に『研究室』と書かれたドアがあった。


「あれ? 確か、一番奥の部屋なんじゃ……」

「そうだよ。ここは転移陣から正反対の場所。廊下が円をかいてるだけだから。だから一番奥って言うけど一番わかりやすい説明は転移陣から丁度正反対の部屋ってところ。さっ、入るよ」


 セレクトがドアを開けた。

 先行してセレクトが入った後を追って入ると、中から声が聞こえた。


「ようやく来たね。今丁度お茶入れたからゆっくりしてってよ」


 回るイスでこちらに向きながら、白衣を着たセルスがお茶を飲みながら待っていた。


誤字、脱字、修正点がれ場指摘を。

感想や質問も待ってます。

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