――夢
待たせていた読者さん、ごめんなさい(・・;
ヒスティマⅤ、始まります!*・・)ノ
どこだろう、ここは……。
何も無い。まるで今この場で大爆発が起こったような、そんな風景が見えている。
見た事がある風景?
そんなことは無い。少なくとも、大爆発が起こったような過去はボクには無い。
視線がいつもよりも更に低いことから、どうやら子供のように思える。
ボクはどういうことなのかわからないまま、まずは確認をしようと体を動かそうとした。だが体が動く気配は無い。
あろうことか、体が勝手に動く。
座りこむ。と言うよりへたりこむボク。
スカートを履いているのか、座る時にふわふわとする。
だけど、そんなのを気にする余裕の無いほど、なぜかボクの胸は冷たかった。
「……嘘……どうして……?」
ボクの声では無い、誰かの声。周りを見渡そうとしても一切体が動く気配が無いから探しようが無い。
「違うの……。私……私……村を壊そうなんて、これっぽっちも思って……」
言葉が途切れる。
胸に感じるのは零れるくらいの恐怖、悲しみ、混乱、そして罪悪感。
目から自然と涙があふれてくる。
それからだ。先程から声を出しているのはボクなのではないかと感じるようになったのは。
体は勝手に動き、声を出しているような感覚もする。つまり、自分が声を出して、涙を流している。
何故? と思うも分からない。
でも、これが夢だと言う事はわかる。
「化け物だ!」「殺せ!」「化け物を殺せ!」
何も無い地平線の向こう側から向かってくる人影が見えてきた。
その人達はそれぞれ武器を持ってこちらへとやってくる。
表情や先程の叫びから殺しにと走って来ているのだろうと考えるのは容易だった。
背中に走る悪寒。
無意識に、体が震えながらも立ちあがり、人から逃げるようにして反対方向へと走った。
走って、走って、転んで、走って。
されど、小さい体では逃げられず、とうとう人に捕まり、その武器を振り下された。
背中が斬れて血が流れる。――だが闇が傷口を覆い塞がる。
腕が斧で切り離される。――だが闇が広がって腕が繋がる。
首が縄で締められ酸素不足になる。――だが闇が縄を壊す。
足が潰されて塊となる。――だが闇が溢れてすぐに元通り。
死ぬに死ねない連鎖が繰り返され、人は気味悪がり、ボクはいくつもの死ぬ激痛や苦痛を味わいながら意識を何とか保つ事が出来た。
だけど、もはや限界だった。
「う……ぁ……あぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
内から来る何か。
その何かに、目を見開き、体を硬直させ、口を大きく開けて悲鳴をあげた。
異常な様子に気がついた人々は全員、振るっていた武器を止めて恐れながら一歩、また一歩とボクから離れる。
だけど、何もかもが遅かった。
その手が広げられると、闇が集まり、強力な魔力が集まる。
人々は慌てて逃げ始める。
強力な魔力が解放されてしまった。闇がここら一帯を覆ってしまった。
闇が逃げる人を全て飲み込み、次に闇が治まった時にはもうその場に生きている人はいなかった。
みんな壊れてしまった。
みんな死んでしまった。
先程まで自分を壊そうとしていた人々が、みんな死んでしまった。
自分の意志では無い。その証拠に魔力を放った手が震えている。
「違う……の……。私……は……ただ、みんなが……ぁ……」
次の人影が見える。その人達も武器を持っている。
そう考えた瞬間、ボクはその場を走りだして逃げだした。
「助けて……誰か……助けて……」
走りながら助けを請う。
虚空へと手を伸ばす。
何も掴む事の出来ないまま、また捕まった。
そして、世界が暗転した。
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