第5話 女の子はじめました V
なるほど…PCだと()はルビになったりするのか…
それはさておき、今回は基本まひる(幼なじみ)視点です。
ラストのみ違いますが。
「あ〜椎名、ちょっといいか〜」
「はい?」
昼休み。食堂での昼食を終え、いつもの2人と並んで渡り廊下を歩いていたあたしは、体育教官室から顔を出している担任の斉藤先生に呼び止められた。
「なになに?サイトーちゃん?」
唯と璃子に先に行くように告げ、その巨体を窓からぬるっと投げ出している先生の元に寄ると、その手にあるのは見慣れたカバンがあった。
「…それ、悠希のカバンですか?」
体育の授業中に倒れたって聞いて休み時間にすぐ保健室に向かったんだけど…
扉には木戸ちゃんがもたれ掛かっていて、大丈夫だからって返されて結局顔も見れなかったんだ。
その悠希のカバンを何故サイトーちゃんが?
「あ〜…心配するほどの事はなかったらしいんだがな、大事をとって親父さんが連れて帰ったらしい」
「おじさんが…だと?」
…嫌な予感しかしないんだけど…
「ま、まぁ木戸先生が言うことだから間違いはないだろう!」
「…また木戸ちゃんがらみか」
大方、木戸ちゃんに押し付け…もとい、頼まれたんだろう。
となるとこれ以上サイトーちゃんに何を言っても同じか。
頑張るなーサイトーちゃん…
どう見ても脈はないと思うんだけどねー。
「はぁ……で?あたしに何を?」
「お?おう…でな、お前たち仲良いだろ?カバンをな。届けて欲しいんだ」
まぁそんなことだろうと思ったけど。
ていうか早退した人のカバンなんて届ける以外の選択肢が浮かばないけどね。
「別に良いですよー今日は用事もないし」
…それに様子は気になってたし、おじさんが関わってるとなるとなおさら心配だしね。
ただお見舞いに行くより理由ができてむしろ好都合だ。
「おっ!?そうか!?じゃあコレな!頼んだ!」
そう言ってサイトーちゃんに押し付けられたカバンを抱え、先に行った2人を追う。
すると、どうやらゆっくり歩いてくれていたようですぐに並ぶことができた。
「斉藤先生なんの用事だったの〜?」
「そのカバン…桜庭君のよね…大方、早退した桜庭君に届けるように頼まれた…といったところかしら」
「うん、まぁね〜」
「と、言うことはおそらく木戸先生経由ね…また桜庭君のお父様がらみかしら…」
この子なんでわかるの?
話は聞こえていないはずの唯の言葉に驚いていると、
「フッ」
…今笑われた?
「安心してまひる。あなたのことを笑った訳ではないわ。
ただ、あなたの呆けた顔があまりにも可愛らしくて、そのスポーティーな外見とのミスマッチに思わず微笑ましくなっただけよ」
「…うん?」
それって結局あたしのことを笑ってないか?
「ていうか、なんでおじさんがらみだってわかるの?」
「うふふふふ……」
相変わらずこの子はなんか恐いわー…
実のところ、我がクラスのクラス委員である唯も、悠希のおじさんに並ぶほど謎が多い。
とは言え、おじさんのように有害じゃないから皆気にしてないんだけど。
「そっか〜それじゃあ悠希くんのお見舞い行くんだよね?だったら皆誘っ…んむぅっ!?」
「?」
何かを言おうとした瞬間、璃子は羽交い締めにされ口を押さえられていた。
「何でもないわ…あまり大人数で押し掛けても迷惑でしょうから、まひる一人で行ったらどうかしら」
「そ、そう?」
おぉ!皆着いて来ちゃうかと思ったのに唯からそんな提案が出されるとは!
唯も気が利くとこあるじゃない。
「じゃ、じゃあしょうがないわね!放課後チャッチャと行ってくるわ!!」
2人に見えないように軽くガッツポーズを決めると、お見舞いの品を買うべく帰り道のお店を思い返すのだった。
「ケーキとかだとちょっとあからさま過ぎるかな…やっぱ簡単に摘まめる安いのが…」
――――
「……うふふ。璃子、皆で行くなんて野暮なこと言っちゃダメよ…そういうのはごっそり覗かなければ面白くないわ…」
な、なんか唯ちゃん眼が怖いよぅ…?
登場人物紹介
その6
名 前:椎名 まひる
年 齢:16歳(高校2年)
身 長:164cm
3サイズ:B83W58H87
◆
主人公の幼なじみ。友人B。
スポーツ万能で運動部から引く手あまたのため助っ人も行う。
しかしそれに反比例してか学業はあまりよろしくない。
ある程度仲が良い教師に対しては○○ちゃんとちゃん付けで呼ぶ。
本人は隠しているが幼少期から悠希が好き。
しかしバカなので基本バレバレである。
もちろん悠希自身は主人公補正が働くため気付いていない。
名前が某ペットな彼女に似ているが、たまたまである。
登場人物紹介
その7
名 前:斉藤 進一郎
年 齢:37歳
身 長:194cm
◆
主人公達のクラスの担任で体育教師。
ガタイがデカくコワモテだが基本いい人。
ジャージをこよなく愛する。
保険医の木戸先生に惚れているが全く相手にされていない。