第3話 女の子はじめました III
回想です。
それにしても毎日更新とかできる人スゲー
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「お兄ちゃん、おはよー」
朝、未だ覚めきらない頭で階段を降りていると、元気の良い声が、すぐ横を勢いよく追い抜いていった。
「ふぁっ…芽衣、朝から元気だなー…」
アクビを噛み殺しながら2歳下の妹の芽衣の姿を追う。
中学入学からもう1年半を経過したというのに、未だに制服に着せられている感が否めない小柄な後ろ姿。
その頭の左右からそれぞれ房になった髪。そう、ツインテール。
ぽふっ
「…お兄ちゃん、なぜ私の頭に手を置いているのかな?」
「まぁ気にするな」
大きくなるよう、おまじないだ。
まるで、その為にあるかのような頭頂部の結び目のないスペースに手をかざすのは兄の特権だと思う。
「背が伸びる邪魔〜退ーかーせー!!」
ジタバタと俺の手を退かそうとする芽衣をかわしながらリビングに入る。
妹よ。俺の腕一本あったぐらいじゃ身体の成長は阻害されないと思うぞ?さすがに。
「よう、悠希」
…珍しい顔がテーブルにいた。
朝から…どころか家で見掛けることも、いつ振りだろうか。
「父さん、珍しいね」
しかも新聞なんて読んで…この人、世間のことになんて興味あったのか。
「フッフッフ…朝から新聞なんて父親らしいだろ?ていうかこの一面のオッサンは誰だ。偉そうだな」
そのオッサンはこの国の総理大臣だ。さすがに知っとけ。
やっぱ形だけだったみたいだな。ていうかサラッと心を読むな。
「あ、おとーさんじゃん何しに来たの?」
「もう〜酷いな〜芽衣ちゅわ〜ん、お父さん悲しいゾッ」
広げていた一昨日の新聞を一瞬で放り出し、クネクネしながら妹に近寄ってくる親父(=変態)。
キモい。
毎度こんな感じなので、芽衣も慣れた手付きで廊下側へ受け流している。
「…で、今日はどうしたんだよ?」
「愚問だな。さすがは愚息といったところか」
やかましいわ。誰が愚息だ。
何事もなかったかのように席に座り直す親父を横目に冷蔵庫を開ける。
お、瓶牛乳とは珍しい。もらいっ。
「今日が何の日か…それを考えれば理由は1つしかあるまいっ!!」
「今日…」
横目で見るカレンダーの日付には大きな花丸…
しまった!先週までは覚えてたのに…!!
「そう!今日は…我が最愛の女!朱里さんの誕生日だ!!」
「あらあら」
なるほど合点がいった。
滅多に家に帰って来ない親父が朝っぱらから新聞なんて読んでる訳だ。
基本的に何を考えてるのか、何をやってるのかわからない人だが、
唯一、何を差し置いても優先させることが家族のこと、その中でも群を抜いているのが朱里…つまり、母さんに関することだ。次点は芽衣。
前に母さんが風邪をひいた時などは、どうやったのか、エジプトから2時間で文字通り飛んで帰って来た。
ちなみにその時親父がエジプトにいた事は帰って来るまで知らなかった。
何の用事だったのかは未だに知らない。
が、それは今はいいか。
「おや〜?お兄ちゃん、その顔はさては忘れてましたな〜?」
「…と、言うことは芽衣、お前は…」
「もちのろんだよ〜おかーさんも楽しみにしててね〜」
「あらあら〜」
母さんも普段よりもこころなしか一層嬉しそうだ…
まぁ他人じゃ見分けられないだろう変化だが。
ニコニコしてんのは普段からだしな。
しかし…参ったな…なんも考えてない…
「フッフッフ…案ずるな愚息よ。実はな今年の朱里さんへのプレゼントは私とお前との合同で既に用意している」
「そうなのか?」
俺聞いてないけど…
ていうか親父と合同とか、ろくな事にならない気がするんだが…
…まぁいいか。
「…じゃあ、任せていいん…だな?」
「あぁ、準備は滞りなく進んでいるよ」
不適な笑みを浮かべる親父に一抹の不安を覚えながら、飲み干した牛乳瓶を流しに置く。
やはり瓶牛乳は独特の旨味が違うな。
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………
……
…
アレかー!!orz
登場人物紹介
その2
名 前:桜庭 芽衣
年 齢:14歳(中学2年)
身 長:147cm
3サイズ:B74W53H78
◆
本人は否定しているがお兄ちゃんっこな妹。
身体は成長中である。(本人談)
お姉ちゃんになってしまったお兄ちゃんに対し、女として先輩ぶったりぶらなかったり。
弄れるので割と楽しんでいる。
登場人物紹介
その2
名 前:桜庭 甲士郎
年 齢:不明(40代)
身 長:180cm
◆
家族もよくわからない父親。
なにか事件があれば大体この人の仕業だと周囲には認識されており、実際その通りである。
基本的には全ての目的は妻を喜ばせることにあり、その為なら犠牲(主に悠希)も辞さない。
が、命に関わることをすると妻に怒られるのでそこだけは守っている…らしい。
登場人物紹介
その4
名 前:桜庭 朱里
年 齢:3●歳
身 長:160cm
3サイズ:B97H60W94
◆
とても2人の子を持つとは思えない若々しい母親。
大概のことには寛容であり、常に笑顔を絶やさず家族を見守っているが、
怒るととてつもなく恐いらしい。
ちなみに夫婦関係は良好であり、ラブラブである。