召喚術
「ホムンクルスは世界で唯一と聞いたが」
アクセルはジュリアーノに尋ねていた。
ここは砦の頂上。
見張りとしてアクセルも駆り出され、鎧(ブレストアーマーに近い)を身につけている。
「ああ、そうだよ」
ジュリアーノは一国の主と想えないほど、慈愛に満ちた表情で語りかける。
アクセルもそこは見習いたいと想うのだが、リューの顔を見るとすぐ歪むところだけは遠慮したかった。
「リューのどこがいいんだ、お前」
アクセルはわざとすねた言葉でつぶやいた。
「全部」
アクセルはジュリアーノのえげつない笑顔に、ため息をもらした。
「一生やってろ・・・・・・。でもわからんね。あいつは人造生命体で、人間じゃない」
「バカな」
ジュリアーノはさっきと、うってかわって、凛々しい、厳しい表情になる。
「俺はリューが人間だってことを認めているんだ。それはヘルギ先生が産んでくれたから、大切に育ててくれた命だから。俺も愛しい」
「ばっ、恥ずかしくねーのか、そんな台詞・・・・・・」
オレも書いててはずかしいです(汗。
「ていうかぁ、リューは美人だろぉ、ぬへへへへ」
お前はそれがなきゃ、立派だと思うよ・・・・・・。
アクセルくんの心の叫びだった。汗。
ところでヘルギ先生はどうしているのか。
例の鍵で過去へ行こうと試みたが、失敗だったようだ・・・・・・。
「おかしい、クロノスの力が弱まっているのか!?」
クロノス――時間を司る神様。
ヘルギ先生たち錬金術師や魔術師は、神々の叡智と力をいただいて、隠された能力を発揮する。
いわゆるヘルメス学の一部になるが、魔法陣や魔法円、ペンタグラムを描き、悪魔や天使を召喚する。
そして術を教わったり、この世の真理を教わるのだ。
悪魔によっては、肉体をもらうために契約させるものもあるようだが、たいていはパンとワインで契約をすます。
ヘルギ先生もパンと赤ワインで悪魔との契約を行い、どうにかクロノスの力を引き出そうとしていた。
「何度試してもダメか。おのれぇ・・・・・・」
脂汗が彼の額を流れる。
「ジュリアーノ・・・・・・リュー・・・・・・」
懐かしいものたちの笑顔が、瞼に浮かんでは消える。
鍵に涙がこぼれ落ちた。
するとまばゆい輝きに包まれ、次の瞬間、ヘルギ先生は見慣れた景色に声を上げた。
「おお、戻れたのか、あの頃に!」
ヘルギ先生は感動し、想わず大声で泣き叫ぶ。
苦労した分、ヘルギ先生は うれしかろうw
というかジュリアーノ!
お前はスケベすぎw