ミラノ領主 ジュリアーノ
「バカ野郎!」
リューに連れられ(半ば拉致られ)て、ヴィスコンティの邸にやってきたアクセルくん。
若い男の怒号が聞こえ、眉をひそめる。
「なんだよ、ケンカか?」
「リューはなぁ、おっぱいでかいから、オレは好きになったんだろうが! うへへへ」
アクセルくんは思わず膝を折って落胆した。
「いきなり何なんだ、あの拍子抜けするスケベそーな声の主は;」
「ジュリアーノよ。当代領主」
アクセルくんは頭の中が真っ白になる。
「う・・・・・・嘘だろ・・・・・・」
「嘘なもんか! 俺がこの城の主、ジュリアーノだ」
赤毛の健康そうな青年は、いきなりリューに抱きついて・・・・・・。
「今は昼間でしょ、バカ」
リューに尻をつねられる。
「いででで! 夜まで待てなぁい! ねぇ、お願いリューちゃん」
「だめよ」
アクセルくんは思わず舌を噛んだ。
「あ、あ、あのよぉ、お取り込み中悪いんだけど;」
「そーいえばきみは、いったいなんだねぇ。我々の恋路を邪魔しようと言うのか!」
「あほか、そうじゃねえよ! てめー、頭のねじ抜けてるだろ;」
「なんだ、そうなの? はっはっは、そりゃ悪かったなー。最近薄汚いヤツらがリューを狙っていてねぇ。まあ、そのへんで座ってくれ」
アクセルくんは頭をかいてイスに腰掛ける。
「薄汚いヤツって?」
「リューはホムンクルスだから、実験体にしようとしている団体が、しょっちゅう・・・・・・ね。俺の悪魔召喚じゃあ、たかが知れてるし・・・・・・」
「悪魔召喚?」
アクセルくんは眉をひそめた。
「そういや、ヘルギも使っていたが」
「なぬ!? ヘルギ先生を知っているのか」
女官が運んできた紅茶キノコをこぼし、ジュリアーノは立ち上がった。
「きみぃ、きみぃ! 先生がどこにいたのか、教えてくれよぉ」
「ぷ、プロイセンだよ、俺の国・・・・・・」
ジュリアーノはつかんでいたアクセルくんの襟首をぱっと離した。
「そいつはやばいな。何せ今、プロイセンとは戦争中だ」
「何時代だよ;」
「今? ええと、十六世紀だが・・・・・・」
「・・・・・・あん!?」
アクセルくんは汗をかいた。
「ちょっとまってくれ。俺は十八世紀の人間・・・・・・だぞ!?」
「はて」
ジュリアーノはリューと顔を見合わせた。
「するときみは、先の時代からきた、というのかね」
「十六世紀が現実ならな・・・・・・」
「うーん」
ジュリアーノは髪の毛をぐしゃぐしゃとかいて、
「まあいいか。俺、考えるの面倒だし」
といって舌を出した。
「それであんた、よくもまあ悪魔なんぞ・・・・・・」
アクセルくんも考えるのは苦手だったので、言うのはよした(汗。
「ヘルギ先生はだいぶまえに行方不明になってね。捜していたんだが、いっこうに見つからない。もし会えたらリューのことを護る方陣でもないかなー、と思ってねぇ」
「なるほど」
――ヘルギのヤツ、さっさとこっちにくればいいのに。
アクセルくんは思ったが、まだ鍵が原因で過去にやってきたことになど、いっこうに気づかなかった。
とろいんだよなー、コイツら(笑。
まったくイヤすぎる領主揃いか、この物語は^^;
イタリア対プロイセンとは・・・・・・。
ぜひみたい(笑。