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パティシエ
彼女の名前は「大場 加奈子」19歳。
将来は一人前のパティシエを目指している。
きっかけは小学校四年生の時、
おじいちゃんにケーキ屋さんに連れていってもらった時の事だった。
店内に入ると、何とも幸せな雰囲気、
隣で優しく微笑みながらケーキを選んでいる男の子、
そしておじいちゃんに買ってもらったチョコレートケーキの味にこれまでにない幸福感を感じた。
そして彼女は
「いつか私もケーキで皆を幸せにしたい」
と誓った。
それがきっかけで今、
パティシエの道を目指している。
調理師の専門学校を卒業した加奈子は、
先輩の紹介でケーキ屋で働く事を決めた。
そして無事、面接に受かり就職が決まった。
加奈子は、その事を電話で母親に話すと、
母は「やったね」と嬉しそうに言い
「じゃあ今度加奈子のために祝わなきゃね」と言った。
加奈子は涙目になり
「じゃあ今度帰るね」と言い、
ゆっくり耳から離し震える手で電話を切った。