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そらこっちのセリフ

シーーーーーーーーーーーーーーーン


周りの景色は色とりどり 

そのバックには様々な名曲が流れ

軽やかに気持ちよく世界に華を添えている。



けど、

シーーーーーーーーーーーーーーーーーン



私と葛木秋夜は超無言、だった。

えーーーーー…超気まずい…。

優香ちゃん達早く戻ってきてよぉ!!!

こんな、こんな切実に願う事もそうそうないよ…!!


足がジリジリ動いて勝手に葛木秋夜から距離をとろうとする。

よし、このままナチュラルに5歩分くらい離れれば…!

と、パークのパンフレットを見ながら画策していたら

深呼吸?の音が聞こえてきた。


思わず葛木秋夜を見上げてしまう。

(深呼吸するほど、怒りマックスなんですか?!)


怒りから吐かれた溜息か!と焦って見上げた葛木秋夜は、

怒っているようには見えなかった。


葛木秋夜は、目を閉じて顔を太陽に当て

腕を組んで、すこし、微笑んで…いる…?


え?光合成…??


いま葛木秋夜は光合成中である。と説明されたほうが

納得がいく程、太陽の光をあびて、キラキラしい男。

葛木秋夜。


私が言ってること、誰かわかります?

私も自分がなに言ってるか、よくわかんないです。

え、いや、さっきまで怒ってた??よね


いまは光合成中…?

てか、人類に光合成って、許されてましたっけ。

それ植物っていうか葉緑体をもつモノのみの特権つぅか…。


あ、またおかしな考えに突っ走ってる。

誰か私を落ち着かせて。


そう、葛木秋夜は光合成中とかじゃない

ただ、そう、ただ。


なんかあり得ないくらい今

神々しいんだ…。どうなってんだ…。人間なのか…?


私はそんな葛木秋夜を思わずガン見してしまっていた。

ぶしつけなまでに。


そのぶしつけなまでの視線でさすがに気付いてしまったのか

葛木秋夜が目を開いてこちらを見た。


しまったーーーーーーー!!!

やってもたーーーーーーーーーー!

気配、だしすぎたーーーーーー!


すいません、

三軍女子の私が唯一誇る得意スキル

「空気」発動するの、忘れてましたーーー!!!


青くなる私に、

その整いすぎた唇が紡ぐかっこいい音で、私に爆弾を落とす。


「ねぇ…。どうして、君は…いるの?」

「…………え」



ーどうして、君はいるのー


……………まじで、え?

ちょ、これ、どういう…

いや、どうしてって、アンタが誘ったんじゃないすか…!!

どうしてって、そんな、

…あ!

おもしろ半分で誘ってみたら、マジで来ちゃって

俺、ビックリしてる。

とか、そういう、こと?!


そういう…こ、と…?


悲しいのか、くやしいのか、はわからないけど

感情の爆発で目頭が熱くなってくる。


だったら誘うんじゃねーよ!!!!


とは言いたくても小心者すぎて言えないので

ジリジリ、後退する。


「…ごめ…、あの、じゃ、かえ…る…」


なんであたしが謝らないといけないんだろうとムカついたり。

こんな神々しい人にここまでピンポイントで

邪険にされるようなことをした私が悪いのかな、と、反省したり。

たった5秒くらいで

いろんな感情が爆発しだす。


キャパオーバーだ。目から感情がこぼる寸前。

ここで泣いたらダメだ。泣きたくもない。落ち着け。深呼吸だ。

もう顔が泣く寸前で歪んでる。

顔をあげられない。

俯きながら後退する。


すると、葛木秋夜の影がこちらに向かって動くのを確認した。


むりだ!これ以上、一言でもなにか会話したら、何か聞いたら

なんにせよ、泣いてしまう!!


「おーーー、おまたせー。」

「ごめんね、かつみちゃん!おまた、せ…?

 かつみ、ちゃん?」


間の悪い?のかいいのか

ダーヤマと優香ちゃんが戻ってきたようだ。


二人の声にほっとする、

けどそのほっとした気持ちで涙腺の決壊が早まる。


「ご、ご、ごめん、なんか、おなか痛いから

 あ、あたし、かえる…!!!!」


声、震えてたと思う。

二人の顔も、もちろん葛木秋夜の顔もみれなかった。

こんな状況でいきなり帰ったりしたら

カンジ悪いってのもわかってるけど。

ここで、泣くよりはいいかなって、自分を守る事で精一杯で。


とにかく、走り出す。

落ち着いたら二人に謝ろう!

ごめん!


もう、無理!!

早く、早く!走って奴の視界から自分を消したい。

モノレール乗り場まで全力疾走する。

幸いにもモノレールがタイミングよく到着してるっぽい!

走れ!!

間に合え!!


パークへ向かう人たちの流れに一人逆らいホームまで走る。

喉がひりつくけど足は止められない。


途中の階段は3つ飛ばしくらいでダンダン登る。

その勢いのまま、なんとか待ち時間ゼロでモノレールに乗り込むことに成功した。


「ぜぇっっ、ぜぇっっ…」

やっと、逃げ切った。自分を守りきれた。

あそこで泣いたりすることは

逃げる事よりもよっぽど嫌だった。

小さなプライド?てかあたしある意味負けず嫌いなのかなぁ…?


肩で息をして、顔あげた瞬間、時間が止まった。


なぜなら、そこに、同じように大きめの息でコンデションを調える

葛木秋夜がいた…。



えーーーーーーーーーーーーーーーー!!

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?


な、なんでいるの?!は

こっちのセリフだっつぅううのおおおおおお!!!


なんで、ここに、葛木秋夜がいるんですかああああああああ!!!!

まじで、なんで、いるのぉおおおおおおおお!????

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