そんなこんなで後光がさした。
どうして、、、こうなってるんでしょう。
気持ちのいい快晴。
園内には胸にぐっとくる名曲のメロディ。
異国情緒あふれる景観。
ちょっとした海外旅行のような気持ちになる。
海外、いったことないけど。
たしかにここは夢の国なんでしょう。
みんな頭にキャラクターモチーフの耳とかつけて楽しそう。
わたしだってね、そら浮かれてそういうのつけたいですよ。
けどね、状況が…全然、、、、楽しめないでしょこれ…。
そう、わたし、優香ちゃん、ダーヤマは
仲良くゲーセンへ行くはずが
どうトチ狂ったか、一軍男子、一軍女子といっしょに
夢の国に、、行く事になったのでしたーーーー!
どーーーしてこうなったーーーー?!
…………って、まぁ…あの、葛木秋夜ですよ。
あの時、私たちの目の前にきたと思ったら
「俺、君達と話した事ないんだよね!
けど俺、このクラスの皆と仲良くやっていきたいって思ってて
今週の土曜、クラス替え記念ってことでディズニーいくんだけどさ
一緒に行かない?
伯父がさ、なぜかしら沢山パスポートもらってきたんだ。
チケット沢山あるから、良ければ一緒にいこうよ」
「……………………………」
ー何をおっしゃって、いるんでしょうか…。
(あたしの心の声)
ーわたしも意味がよく分かりません。
(心の声をキャッチしてくれた優香ちゃんが目線でくれた返事)
ーえ、ウッソ、ウッソ、ウッソ、正気?正気?
(ただひたすらにパニクるダーヤマ)
それぞれ、『アリエナーイ』な反応をしつつも
ダーヤマが「は!」と持ち直してくれた!偉いぞダーヤマ!
「え、ちょ、えっと、葛木クン…?」
「葛木か秋夜って呼んでよ。皆そう呼んでるし
俺も山田ってよんでいいかな」
「え、あ、うん、それはあのいいんだけどさ…」
押されてる、しょうがないけど押されてるよダーヤマ!
頑張って…!頑張って、断って!!ありえねーっつって断ってよ!
「今週の土曜、丁度俺たち、出かける用事があって…さ
悪いんだけど…」
ナイスガーーーッツ!ナイスガッツやでダーヤマ!
その調子!と小さく拳をつくってしまったのは仕方ない事です。
だけど相手はあの「葛木秋夜」であるという事を
そのときはよくわかってなかったんです…。
「んーーーー…、そっか。じゃ来週は?」
「「「へ?」」」
思わずこれには私も優香ちゃんも声が出てしまい
「へ」の三重奏となった。
「ん?今週用があるんでしょ?
でも俺、君達とも仲良くなりたいから
ディズニーの予定君達に合わせるよ」
「「「え…っっっ!!!?」」」
斜め上の解答ーーーーーーー!!!
ーこいつ…正気か?!そこまでして俺たち誘ってどーすんのよ?!
(意味わからなーい!のダーヤマ
ーえ、ちょ?! 予定ずらしてまで合わせるとか…!ないわー!!
(意味わからなーい!の優香ちゃん
ー睨んでる、睨んでるでおい、一軍女子のみなさんが、
おめーらがくるってのもありえねーのに
おめーらに合わせて一週ずらすとか
アリエナァイって睨んでるでおい、超こわいーーーー!
(一軍女子の覇気で顔面蒼白のあたし。
(ーだが、逃げられない!)
という、RPGのボス戦のような状況を生で味わった我々は
そこまでされて頑に行かない、と言えず
「エ、、ジャ、、アノ…ワルイカラ、コンシュウ、、ディズニーイクヨ…」
と、行く事になったのです…。
三軍の私たちが一軍の王子として君臨する
葛木秋夜に逆らえる訳がなかったんだ…。
っていうかさ、ていうかさ
葛木秋夜が仲良くしたいってさ、
そらダーヤマや優香ちゃんとはさ、そうしたいかもしんないけどさ
私は?!
私の事、超嫌いじゃんね?!こわい!
未だにちょいちょい睨んできますよね?!
気付いてんだからね!!
なんだろう、パークでなにか陥れられるのかな?!
パークでハブとか?!
そういう、作戦?!
そしていま、開園前のパークのチケット売り場で
並んでる優香ちゃん、ダーヤマ、そしてあたし。
他の一軍の人たちは誰っ一人としてきてない。
かの人たちを待たせる訳にはいかない、と
約束時間8時の30分前に
私たちは現地に集まっていたんですけど…。
あーーー…これってまさか
「俺たちさ、、、場所取りとかファストパス要員なんじゃね…?」
ぽつり、とつぶやいたダーヤマ。
「「あ、あ、あ、あ、ありうるーーーーーーー」」
思わず優香ちゃんとハモった。
パークでハブよりありうるーーーーー!
要するにパシリじゃねーか!
やっぱ、葛木秋夜ってグッドマンじゃないんじゃない?!
ひどいよ!
あたしが嫌いだからって優香ちゃんや、ダーヤマまで巻き込むなんて…!
ってわなわなしてたら
優香ちゃんに後光が射した。
え、まぶし、え、なに
っておもったら発光源?は優香ちゃん後方からだった。
え、なにか、手を振って…らっしゃるのは…
葛木秋夜だーーーーーーーーーーーー!!!
なぜかしら、約束時間ぴったりに現れた…葛木秋夜だった。
てか後光と見まごうようなオーラはんぱねーーーーー…!