新しい環境、新しい友達
おお、神よ。神はいらっしゃいますか。
桜も咲いて、空気も心地よいなか
私を嫌ってるとおぼしき一軍男子と
同じクラスになってしまったんですけども
ほんとまじで勘弁してつかぁさいよ…!
このハイイケ(ハイパーイケメンの略
と同じクラスになりたがった女生徒は正直言ってめっちゃいたでしょ?!
全クラスの女子の九割九分九厘がその願望もってたんじゃないの?!
神様もその念、感じ取ったんじゃないの?!
叶えてあげてくださいよ。一人でもおおく…!
私なんて女子を組み込まずとも良かったじゃないですか…!!!
と神に盛大に文句を脳内でいいながら、
教室の端で早速ぽつーん、してた。
仲のよかった親友達は完全に別のクラス…。
こりゃ休み時間に
ビーズログ(乙女ゲー専門誌)かガルスタ(乙女ゲー専門誌)
もってどこかで親友達とおちあい盛り上がるしかあるまい…。
てか、友達このクラスで…できるかな…。
ざっと見渡すと、葛木秋夜を中心とした一軍男子の群れと
その一軍男子の側にいる事を許された一軍女子の群れが
教室の中心を陣取っていた。
(ひゃーーー…きらびやかぁ…)
だが、その周りに私同様、
どしたらええのん…
といったていでぽつん、ぽつんと
席に座って呆然としてる女の子と男の子が目に入った。
(おお、君達もはぐれ星かい…?)
と勝手にわき上がる失礼な親近感。
見た目も地味でこれまた落ち着くぞ、この二人…!
この二人となら、なれそうな気がする。
そう友達に…!
さらに観察すると、女の子の方のカバンのキーホルダーが
私が少し前にプレイし、涙した乙女ゲー「星空のロンド」の
メイン攻略キャラの『王崎 真人』ではないですか!!!!
うぉおう、絶対友達になれるわ!!
とおもって、そそっと近づいた。
(あ、私、三軍女子だけど、三軍女子同士なら人見知りせず話しかけられますから。
そこは自分から動けるんです。はい。)
いきなり目を輝かせて机の前に中腰でたたずむ私にびっくりした女の子。
メイクも当然してなくて、たれ目がちな瞳をみひらいてこっちを見てる。
はぁ、落ち着く。あの一軍女子のきらびやかな圧倒感がないって素晴らしい。
「…星空のロンド…私も好きなんだ…!」
「…!!!!」
知ってます?同類はこの一言だけで一気に壁、なくなるんですよ。
「え、うそ、王崎君派?」
途端に活き活きと返してきてくれた!
やっぱりねぇ!!
「私はね!真壁先輩派なのぉ…!」
「きゃーーー!真壁先輩も超良かった…!泣いたもん!」
「だよねだよね…!!」
もう、マブダチになれそうっすわ…!
まちがいねぇ…!
「あたし杉浦かつみ…!クラス替えで友達いなくて…、
よかったら友達になってくれない?!」
「も、もちろんだよ…!私も仲いい子達とはなれちゃって…!
私は久住優香!よ、よろしく…!」
友達、ゲットだぜ…!
そしてもう一人のポツーンとしてる男子をこっそり見やる。
つられて優香ちゃんもみる。
携帯片手に必死になにか操作してる。
完全にアプリで遊んでる感じ…。
「あの子もさ…友達とはぐれちゃった感じじゃない…?」
「うん…なんたってこのクラス、葛木君達のお友達の方が多いような構成だもんね…。」
「あ、ねぇ、ちょ、あの男の子のさ、携帯のストラップ…!あれさ
東京ゲームショーで配布されたやつだよ…多分!」
「え、うそ、ゲーマー?ゲーマーなの?」
知ってます?同類はゲーマーってわかると途端に親近感わくんですよ。
二人で見合わせて
男の子の席に近づく
びくっと、男の子の肩がはねた。
「え。な、なに…?」
ものすごく長い前髪で顔の半分が隠れちゃってるけど
オタク女子はオタク男子に寛大っていうかむしろ安心できる。
「そのさ、、ストラップ東京ゲームショーのやつ、、だよね?」
とわたしが恐る恐るきけば
髪の隙間から少しだけ覗く大きめの目が見開いてた。
「え、君もいったの?」
「いや、私も行きたかったんだけど、すごい人だってきいてたから…
けどまとめブログとかみてイベント自体はだいたい把握してる!」
「まじ…!俺は洋ゲーが好きでさ…会場限定のTシャツ目当てでいったんだけどさ…!」
おお、おおお、話しがやっぱり、あう、ぞ…!!!
「俺、山田圭。女子とこういう話しできるなんて、思ってなかったよ…!」
「いやいや、私も優香ちゃんもかなり、ゲーマー、と思ってくれていいと思う!よ…!」
(乙女ゲーだけどココはまだだまっておきましょう…!
そんな訳で、三軍・チームゲーマーがこうして結成された。
一気にディープな仲間を見つけれて、
神様は見捨ててなかったなぁ、
さっきは文句たれてすんませんでした!と謝った。
ーそんな私を相変わらずものすごい眼で睨んでる存在に、
この時は気付かなかったー