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ジャスト○○文字

俺とモヤシ<4000文字>

作者: 泰然自若

勢いで書いた。


これ元に、もう少し長くする予定はあります。

流石に粗いので……。

ある日、俺は奇妙な出会いをした。


何故か興味を持った。


軟弱でひょろひょろとした野郎で、俺に媚び諂うクソみたいに付き纏う自称舎弟どものパシリだった奴だ。


そんな野郎の存在すら俺にはどうでもよかった。


強い奴に喧嘩ふっかけて殴り飛ばして、俺が強ぇ事を証明したかっただけだ。そんな行動をしていくと次第にクソみたいなやつが慕いだす。


迷惑な時もあったが、奴らは強い奴の情報を持ってくる事ができた。だから俺は奴らを飼ってた。適当な躾は施したが、後は勝手にやらせた。


徹底させたのはてめぇのケツはてめぇで拭く事。


俺は、面倒事が嫌いだ。


そういっているのに、助けてくれと懇願する馬鹿が来る。喧嘩なら金よこせばぶっ飛ばしに行ったがな。


そんな日々を送ってた。


何故かって言われても、それが楽しかったからとしか言えない。


道場とかボクシングとか。


ガキの頃から手が出るのだけは速かった俺を親はそういったモンにいれて直そうとしたのかもしれない。


俺にとってはそれなりに楽しかったが、時期に俺より強い奴が居なくなった。世界とか全国とかそういうの目指すほど熱血してたわけでもねぇからクソつまらない日々を送ってた。


切欠は簡単なもんだ。格闘技やっているからってぇ理由で金貰って助っ人さ。


二十人相手にこっちも同数。途端に入り乱れての乱闘になった。


その時、俺の中で何かがあふれ出て全部知った。


俺は心底楽しかった。


殴り蹴り、殴られ蹴られ。相手の顔を潰し俺の鼻を折る。そんなドロドロの喧嘩っていうのが心底楽しかった。


だから、俺は今の日々に満足している。仕事しろとかも言われねぇ。かといって極道に行くわけでもねぇ。


今は今だけを考えている。どうせ俺の高校は行く所なんて決まってる。


だからこそ俺は俺の人生を。俺の高校人生を喧嘩で生きる事にした。


そんな時。そんな時だ。


そのひょろひょろしたパシリ野郎を眼に止めた。


奴は殴られてた。買ってきたモンがちげぇという理由で。殴られてた。


だが、そうじゃなかった。


思わず、笑っちまったぜ。


あのもやし野郎は殴ってもらっていたんだよ。


マゾでもなんでもねぇ。殴られるまであいつは眼をずっと開いてた。


殴る野郎がどんな軌道で何処に目掛け拳を持ってきているか。全てを見逃さないように。


「おい」


「あ、ハルヒコさん」


「こいつ借りるぞ」


「え?」


驚いたように声を洩らしやがった。叱られる餓鬼みてぇなうぜぇ顔しやがってよ。


「あぁ?」


「あ、いえ、どうぞ。おら。行けよ」


「おい、付いてこい」


俺の言葉にもやし野郎は素直に従った。


しばらく歩き、誰も居ない駐車場に入った。


奴は何処からどう見ても弱そうだった。日には焼けている。だが、素肌が見える腕は太くもなかった。


だが、どうだ。対峙してみるとコイツはぁ、面白い。動じない。物怖じしない。


「なぁ。おいてめぇ。なんであんな事してんだよ」


もやし野郎の眼が変わった。良い面構えになった。


喧嘩してきたどんな野郎よりも良い面だった。いかつい訳でも強面でもない。


普通の男だ。何処にでも居そうな野郎。


俺だって、今の今まであの場面を見るまで気にもしなかった。


もしかしたら何度か会っているかもしれねぇのによ。


「君、強いね」


開口一番!


不敵だぜぇ。ますます気に行った。面白い野郎。


「はっ! 良いねぇ。その面。やろうぜ」


「良いよ」


構えも無し。正直ムカついた。


何処か余裕のある笑みを浮かべやがったその野郎に俺は一気に踏み込んだ。


挨拶代わりのジャブを送り込む。


野郎はワンツーを綺麗に避けやがった。


続けざまにフェイントを入れる。


左フックを匂わせながら、前蹴りを腹に叩きこんでやった。


叩きこんだ。だがよ。それはねぇぜ?


「マジでやる奴いんのかよ……」


思わず本音が零れ落ちやがった。


野郎は当たると同時に後ろに跳びやがったんだ。


そうとしか考えられない。感触がそうとしかいってねぇ。


「強いよ君。だってあんな速い攻撃して、囮も一瞬の判断で入れた。凄い」


何かが切れた。ここまで余裕綽々な野郎は見たことねぇ。


俺は強い。この野郎も強いのは知っている。


だから、切れた。


「余裕かましてんじゃねぇぞ……!」


一気に間合いを詰めたのは俺のはずだった。


なのによ。どうしてだよ。


「まだまだ」


なんで俺は、空を見ているんだよ。


「強くなれるよ。君。素直すぎるからね。筋がね」


そういって、もやし野郎は良い面で笑いやがった。


これが、俺と綾瀬一人との出会いだった。


「なぁ。何やった?」


「間合いつめて投げた」


「はぁ? なんだよそれ、見えなかったわ」


「うん。姿勢を低くして、君の腕を下から掴んでそのまま勢い殺さずに」


「近藤。近藤晴彦だ」


「綾瀬。一人。「ひとり」って漢字で「かずと」っていうんだ」


「おう。カズト。てめぇ。武道やってるな」


「まぁ、ね」


テレビに出る金とか宣伝目当ての野郎どもとのギャップがひでぇと思った。


「なんでだよ」


「え?」


「なんでパシリなんてやってんだよ。てめぇ。強いだろ」


「うん」


俺は身体を起こし、胡坐で座った。そうすると一人も隣に座った。さっきまでの空気が何もなかった。


途端にこいつは別人なんじゃねぇかってほどに。


「言えねぇなら。いい。」


「修行」


「はっ?」


「だから、修行だって」


修行、修行と来たか。俺はたまらず大声で笑った。古風だな。それでいて律儀な野郎だぜ。


「笑わないで」


「いやぁ、すまん。あまりにも面白くてな!」


「必要なんだから仕方ないだろう。僕だっていじめられたくていじめられているわけじゃない。」


「理由あってか。にしてもよくやるぜ。俺なら即座に殴り飛ばしてる」


「うん。でも、耐えなきゃいけないのも修行だから」


その言葉と、カズトの顔が今でも焼きついてる。


悲しいそうな。それでも、何処か覚悟している。一本細いが、真っすぐ何かが通っている。


変な感じだった。


「なぁ。おい。一発殴らせろ」


「……良いよ」


それからだ。


俺とカズトは何かとつるむ様になった。表面上は俺の専属パシリだ。手は抜かねぇ。


だがよ。それでも俺は俺で楽しかった。カズトもカズトで楽しんでいたんだろうよ。


初めてかもしれねぇ。友達だって、思えた奴は。


喧嘩は今まで通りやった。そこにカズトも連れて行った。数合わせだとかいって。


で、カズトは殴られて蹴られてた。


痛がって、蹲って、辛そうにして、俺以外が消えるとケロッとしやがって、笑いやがる。


「ハルの方が何倍も痛かったよ」


そんな事言いやがって笑いやがる。


そんな面白い奴と出会えて暫く経って。


「どうした。お前はそれでも、一人の友ではなかったのか」


なんで、こんな所で地べた這いずりまわってんだろうな俺は。


なんのこっちゃねぇ。


カズトに修行を科してた野郎がカズトの親父で、カズトが俺とつるんでいるのがばれちまってこんな事になった。


曰く、俺は修行を阻む輩だそうだ。


だったらよ。言葉で言えや言葉で。俺が言えたもんじゃねぇけどよ。


道場連れ込んで、師範の親父様とタイマンたぁなんだこれ?


「いってぇな……」


「お前は痛めつけられる理由になるほどの事をしたんだ」


「だから話せよ。それをよ。本当に俺が悪いなら、謝ってやったんだぜ?」


もう遅い。ぜってぇぶっ殺す。


なんて、息巻いたのは本当数分前か。今はもう、身体がうごかねぇ。


何回ぶっ飛ばされたか覚えてない。


「言う必要はない」


「なぁ。おいてめぇは、何をさせてんだよ。一人によ。アイツは」


ふとした時に悲しい顔してんだよ。殴られた後も。影であいつは人を殴っている。そんな事をした後も。


決まってアイツは泣きそうな顔してやがるんだよ。


「なぁ、おい……。アイツの事を考えてやれよ。親だろうが。アイツの話聞いてやれよ」


「お前には関係ない話だ。今後、一切関わらないと」


うぜぇ。


「うぜぇ……んだよ!」


顔面をけられた。あぁ、骨やっちまったぜ。


もう痛みもないが、冷たい感触が折れた事を教えてやがる。


「てめぇよ。親だろうが。俺は、よぅ。アイツのダチだぜ……」


だから、なんだろうな。俺はカズトのダチで。だからなんだよ。


「俺はよ。俺の……たった一人のダチなんだよ。勝手に、奪おうとすんじゃねぇぞ」


そこから俺の記憶はない。


あるのは白い天井があって、俺が傷だらけで。


横でカズトが泣いてた事。


そんだけ。


「おぅカズ。なに泣いてんだよ」


「ハル。ごめん。ごめんなさい」


「おぅ。謝罪なんざ糞食らえ。おいカズ。てめぇは俺のパシリだ。俺のほしいもん買ってきな」


「ハル……。ハル! うん。待ってて、すぐ買ってくる!」


パシリが笑いながら走ってく。


変な姿だぜ。


笑うと顔が痛んだが、どうでも良かった。


あれからどうなったかは判らない。病院で寝ていても親父さまはこなかったし、カズトは何も言わなかった。


まぁ、俺が問いたださなかったのもあるかもしれねぇ。


だがよ。


あの一件以来、カズトは良い面見せて、笑うようになった。


そいつだけが、良い事だったぜ。


今でも俺はカズトをパシリに使っているし、カズトは今でも殴られている。


それでも、今までのようではなくなった。


喧嘩を吹っ掛けて来る奴をボコボコにしている。


何でそうなかったかは知らねぇし、どうでもよかった。


ただ不満といえば、カズトが強すぎるってぇ噂が出すぎて俺とカズトのコンビに喧嘩を売る野郎が消えちまった。


それだけが残念な事だったが。


俺は、今の普通っていう生活も悪くないって思っている。


だからよ。


俺は、今の生活で、満足している。


「ハル! 遊び行こう!」


「ハルヒコさん。ボーリング行きません? カズトがどうしてもスコア百以上にしたいって駄々こねて」


「絶対出す!」


「カズはもっと腕っぷし鍛えろよ。強いけど全然強くない」


「ま、確かにな。飯食ってでかくなれ」


「た、食べてますよ。」


「おう、カズトはな。牛乳2ℓも飲んでいるけど背が伸びないの!」


「ああ! なんで言っちゃうの!」


「おっしゃぁ! 今日は全員でボーリング大会といこうじゃねぇか!」


「おぉ!」


いつの間にか、俺も。


ダチが増えたもんだ。





ファンタジー物になるか。普通になるか……。

何故殴られているのかの解明で化け物と実は戦っている系統か純粋に古武術の修練で家系が厳しく。ないし家訓で決まっているとか。


むむむ。

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