スライムダンジョンと咲耶華さん
昴義兄の訓練ダンジョンで、何日か訓練した後に咲耶華さんを連れて、キンジじいちゃんのダンジョンにまたお邪魔することにした。
なんでも屋のダンジョンデビューは、スライムダンジョンと決めている。
「まいどー!なんでも屋です」
いつものようにインターホンから告げる。
「リッカ坊か、入って来い」
「お邪魔しまーす」
ほら、咲耶華さんも行くよ。
そう言って促すと、咲耶華さんは頷いて歩き出す。
「キンジじいちゃん。今日も新人のダンジョンデビューを受け入れてくれてありがとう」
「よいよい、って今日はまた別嬪さんだの!リッカ坊のお嫁さんか?」
なんでそうなるんだよ。
「違うって、姉貴の友達だよ」
「たまき嬢ちゃんの友達かの」
「はい、風谷咲耶華です。よろしくお願いします」
キンジじいちゃん?
咲耶華さんのメロン見過ぎだからな?
俺がジロリと見ていると、キンジじいちゃんは、咳払いをひとつして、
「さやか嬢ちゃんじゃな?気をつけるんじゃよ?」
「はい。ありがとうございます」
「リッカ坊、ちゃんと守ってやるんじゃぞ?」
それは当たり前だね。
「わかってるよ」
「やっぱり、リッカ坊のお嫁さんじゃろ?」
しつこいね?
「違うって言ってるじゃん。そんなこと言ったら咲耶華さんに失礼だろ?」
「私は、リッカくんなら別にいいんだけど?」
だからなんで、そういうこと言うかな?
俺のこと揶揄って楽しいのか?
「咲耶華さんもそんなことホイホイ言うなって。他の人に言って本気にされたら困るの咲耶華さんだろ?」
「こんなことリッカくんにしか言わないもん」
なんかボソボソ言ってるけど、言ってる内容は聞こえなかったな。
「そんなことより、ダンジョン行くよ?キンジじいちゃん扉開けてくれるか?」
キンジじいちゃんはなぜかため息を吐きながら、扉を開けてくれた。
なんでため息吐いた?
キンジじいちゃんは、咲耶華さんに色々ガンバレって言って送り出していた。
そりゃダンジョンに潜るんだから、頑張るよな?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ここに、スライムがいるの?」
「たくさんいるよ」
キンジじいちゃん、ダンジョンに潜ってないのかな?
たまには健康のために潜ってるって言ってたんだけどな?
そろそろ一度全階層回った方がよさそうかもな?
「あっ!見つけた!」
咲耶華さんがスライムを見つけたみたいだ。
「ゲームみたいに雫の形なのね」
「この階層はそうだな」
「他の階層は違うの!?」
「色々いるぞ」
へぇーって、咲耶華さんの視線がスライムから外れない。
雫型のスライムは半透明の水色をしている。
点が2つあって、目に見える。
本当に目なのかは知らないけどな。
「倒しても良い?」
「どうぞ」
やる気らしい。
どうするのかと見ていたら、魔力が動いたから魔法を使うようだ。
「【ファイヤーアロー】!!」
結構な勢いで、【ファイヤーアロー】で攻撃を仕掛けている。
弾け飛んだスライムに、やった!!って喜んでるけど、そんなに魔力はいらなかったと思うぞ?
「倒したわよ!どう!?」
褒めて欲しいワンコかよ。
シッポ振ってる幻影が見えるぞ。
でもな?
「魔力を込め過ぎだな。あれじゃすぐに魔力切れ起こすぞ?」
むーって不満な顔すんなや。
褒めて欲しいのはわかるけど、今言わないと忘れんだろ?
ってか、上目遣いで見んな!
なんで、ツナギの胸元のファスナーをちゃんと閉めてねぇんだよ。
谷間が見えてんだろうがっ!!
なんで中にTシャツとか着てねぇの?
姉貴の作ったツナギだろ?
なんで、ツナギなのにこんなにエロいんだよ!?
この人、俺のこと揶揄って楽しんでるよな?
絶対面白がってるだろう。
こっちは、彼女いない歴年齢だぞ!?
百戦錬磨みたいな人が、なんで俺に構うんだよ?
勘弁してくれよな…。
それから咲耶華さんは危なげなく何体かスライムを倒すことが出来ていたので、2階層へ行ってみることにする。
「ここのスライムは、たまに酸をとばしたりするからな、気をつけろよ」
「わかったわ!」
ここのスライムは、上のスライムみたいにとんがりがない。
楕円?大福みたいな感じ?
半透明の黄色っぽいスライムだな。
糸目のスライムに見えるんだよな。
「【ウインドカッター】!」
少しスライムのレベルが上がるくらいなら、問題なく倒せるみたいだな。
ただなぁ。
スライムは1体だけじゃないんだけどな?
複数同時に来たら、対応出来るか?
「咲耶華さん、複数スライムがいるんだけど、何体感知出来る?」
「ちょっと待ってね?」
咲耶華さんの魔力が薄く広がっていく。
【索敵】じゃなくて【探知】か?
咲耶華さんは何体まで探せるかな?
「5体、かな?」
5体かぁー。
「残念、8体いるぞ」
「えっ!?ウソ!?どこ!?」
どこって言われてもな?
俺は咲耶華さんがどのスライムを感知したのかわかんねぇって。
「咲耶華さんのわかった5体はどこにいる?」
なぜか咲耶華さんは俺の隣にピッタリくっついて来た。
なんでくっついた!?
「えぇーっとね」
咲耶華さんは視界の前の方の5体を指で示した。
なるほど、前だけか。
「咲耶華さん、残りの3体は後ろ側」
俺がそう言うと、咲耶華さんはメロンも揺らしながら、くるっと180度反対を向いて、魔力を広げる。
そのメロンは目の保養なのか目の毒なのか…。
「あっ、本当だ。3体いるわ」
「その状態でさっきの5体探せるか?」
「えっ!?…………ムリみたい」
咲耶華さんは、前方にしか意識がいかないタイプか?
そもそも魔力を広げる時に前にしか広がってないからか。
「咲耶華さん、魔力を薄く広げて魔物を探してるよな?」
「そうよ?」
他にどうやって探すの?と首を傾げている。
「咲耶華さんの魔力は、前側にしか広がっていってないんだよ」
「うそ!?」
残念ながら本当なんだな。
「とりあえず360度に魔力を広げられるようにしないと、後ろの魔物が無警戒になっちゃうからな」
「そうよね…でもどうやって?私、今までも全体に広げてるつもりだったのよ」
マジか。
「ちょっとさ、目を瞑って魔力を広げてみてくれないか?」
「ここで!?」
ダンジョンで目を瞑るとか怖いか?
「怖いかもしれないけど、スライムが襲ってくる前に俺が対処するから」
俺が絶対護るからとか言えたら、カッコいいのかもしれないけどなぁ。
俺にはちょっとハードルが高ぇ。
わかったわ、と咲耶華さんが目を瞑って薄く魔力を広げ始める。
あれ?
360度に広がってるじゃん!?
「咲耶華さん、全体にちゃんと広がってるよ」
「えっ!?本当!?」
「そのままスライムの数とか確認出来る?」
なんで指を閉じて開いて数えてんの?
「13体かな?」
あれ?さっきより増えてる?
どれ?
俺も【索敵】してみる。
「咲耶華さん、正解!13体いるよ。んじゃ目を開けてスライムの数確認してみて?」
一回出来たから、いけるんじゃない?
「目を開けてスライムを探せばいいのね?」
そうだよと俺が頷いてみせると、咲耶華さんは首を傾げた。
「9体しかいないみたい」
いやいや、13体いるって。
「また視界の方向だけしか感知出来てないみたいだね」
「うそぉー!?さっき出来たのに!!!」
なんでだろうな?
視界からの情報が強すぎるのか?
これだと背後からの敵に反応出来なくて危なすぎる。
「このまま他のダンジョンに潜るのは、やめた方が良さそうだな。絶対に1人で潜らないようにな?」
「それなら、リッカくんが一緒にダンジョンに入って欲しいな」
いや、まぁいいんだけど。
咲耶華さんの事を他のバイトたちに任せるのは、心許ない。
下手なヤツに咲耶華さんを任せたら、惚れてストーカーになりかねないしなぁ。
それはマズイ。
「俺は依頼も受けてるから、あまり入れないかもしれないぞ?」
「それでもリッカくんがいい」
うがぁーー。
美人さんに見つめられてのお願いなんか断れるかっつうの!
「…はぁ、わかったよ」
「ありがとう!!」
って、だから簡単に何度も抱きついてくんなや!
どんだけ俺のこと揶揄えば気が済むんだよ!?
でも困ったことに全然嫌じゃないんだけどな。
なんでなんだろうな?
メロンが当たってるからか?
あのストーカー女は視界に入るだけで寒気がしたんだけどな。
咲耶華さんと比べるのが間違ってるか。
さてと、もう少しここでスライムを感知する訓練していくからな?
何度も繰り返して、目を開けた状態でも360度に薄く魔力を広げることが、5回に1回は出来るようになった。
訓練すれば近いうちに出来るようになるだろう。
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。
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