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月日王帝物語~Requiem for the Empire~  作者: 花縫ゆりは
第一章 鳥籠の蝶は夢を見るか
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第一章 Ⅶ

いつも読んでいただきありがとうございます!

本日、第一章の最終話となります!

前話で冷徹な皇女の顔を見せたノクターン。彼女の冷たさの裏側に隠された「本音」と、この結婚に託した切実な願いが、ついに明かされます。

第一章のタイトル「鳥籠の蝶は夢を見るか」に込められた意味を感じながら、最後までお楽しみください!

自室に戻ってきて扉を開けた。

そのままベッドにダイブする。


私何してんだろ。ノクターンは部屋で自問自答を繰り返した。


「姫様、お召し物を着替えるくらいなさったらどうですか?」


「今日くらい、いいでしょう?ソフィー」


「お気持ちはわかりますが、姫様がその言葉を口にして本当に今日くらいだった試しがありませんので」


「そうかしら?」


「ええ、ご自身の行動を思い返してくださいまし」


「あー、確かにそうかもしれないね」


寝っ転がるのを止めることになったノクターン重い衣装と、きつく締め上げられたコルセットのままベットの淵に座り、苦笑いを浮かべた。

確かに過去の自分がその通り動いた試しがないような気がする。


この衣装と同じくらいに、ノクターンは自分を律することに慣れきっている。

だからこそ、気が緩むと、ソフィーに指摘されるほど滑稽な真似をしてしまう。


「自覚があるのでしたら、行動を見直してくださいませ」


「ええ、わかってるわ」


「ところで姫様、何があったのでございます?」


その言葉を聞いた瞬間頭を抱えるノクターン。

その瞬間、彼女の頭の髪飾りがカチャリ音を立てて揺れた。

彼女から醸し出される雰囲気は憂鬱そのものだった。

薄く疲労すらも浮かべるその顔色には自室を出た時の明るい顔の一欠片も残っていなかった。


「やらかしたのよ。端的にいうと」


「そうにございますか」


侍女長のソフィーは何事もないかのように部屋で寝具の準備を始める。


「そうにございますかじゃないわよ」


「私は安心しました。姫様にも人並みに恋に悩むことがあるのですね」


「ソフィー、貴女ねぇ自分に関係ないって顔してるわね」


「事実、一切合切関係ありませんので」


他人事のように淡々とソフィーはそう口にする。

事実彼女にとってこれは他人事でしかない。

興味がないから話し相手になる程度、聞きはしながらも意識の大半は仕事に向いている。

それを見て、ノクターンは少しムッとしてシーツの端を握りしめた。


「聞いてちょうだいな。ソフィー」


「なんですか?」


「今日やらかした」


「それは先ほど聞きました」


「アイザックさんの一人称につっこんじゃったのよ」


「一人称にツッコミを入れるとはどういう状況ですか?」


「だって、アイザックさんが俺って言ってたからそんな感じなのねって思って」


「状況が理解できませんが、人付き合いをしないからですよ」


「それくらいしてるわよ」


「姫様、自分の行動を見返す癖をつけた方が良いかと思われますが」


「それにあんなに笑っちゃうなんて。皇女の威厳ゼロじゃない」


「まぁ、結婚したら一人前の女ですからね。威厳はもう少しあった方が良いかもしれませんが」


「アイザックさんに変な女だって思われたと思うわ」


「大丈夫です。姫様は最初から変な女ですよ」


「ちょっとソフィー?!失礼でなくって?」


「事実を申し上げたのみでございますが?」


「貴女、私を敬う気はあるのかしら?」


「もちろんにございます。姫様は婿をとればもういつ国王になってもおかしくない立場ですから」


「主上を敬うのは当然です」


「まぁいいわ」


「それにね、今日一番やらかしたのは、アストル兄様との仕事の話よ」


「あんな一面見せるつもりじゃなかったの」


「ああ、朔望の岬の話ですか。確かに恋人に見せるような話題ではございません」


「殿下は政略結婚の道具として見られてると思っているのでは?」


「で、でしょう?!私は彼を傷つけたかったわけじゃないの」


「もっと可愛らしいところを見せたかったのに。どうせ冷たい女だって思われたわよ」


彼女はそう口にしながら鏡台をに目線をずらした。

自分はこの程度でいいのだろうか。

自問自答にキリはない。

ノクターンは思考を止めた。


窓の外の月光が、豪華な絨毯の上に細い線として差し込んでいた。

彼女が目を逸らした部屋の隅に置かれた大きな鏡には、今にも泣き出しそうな頼りない皇女の顔が映っていた。


「姫様、泣き言を言っている場合ではないでしょう?」


「姫様はもう一人前の女性です。夢をかなえるんでしょう?」


「エクリプスとの和平を叶えてくださいまし」


その言葉を聞いてノクターンは微笑んだ。

笑みが解けたノクターンの顔にはもうさっきまでの頼りない表情は残っていなかった。


「ええ、そうね」

第一章の最終話までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

鳥籠の蝶、ノクターンが抱いた「和平」という夢。 その夢を叶えるために、彼女が今後どんな「国王の顔」を見せるのか、次章にご期待ください。

明日からは、いよいよ第二章に突入です!

ぜひ引き続き、ブックマーク・評価で応援いただけると嬉しいです。

次章もどうぞよろしくお願いします!

活動報告の方で次章のタイトル先行公開をします。

知りたくない方もいると思うので、知りたい方は活動報告の最新投稿を見て見てください!

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