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月日王帝物語~Requiem for the Empire~  作者: 花縫ゆりは
蘇る詛の終着点で月を見る
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第二章 Ⅵ

皆様、いつもお読みくださりありがとうございます!


今話はいつもより文字数が少なめになっています。すみません!

ここのところ風邪をひいてしまい浮上ができませんでしたが、完全復活しましたので再び毎日投稿をさせていただきます!


それでは、本編へどうぞ!

「ここ金烏玉兎の間は、月の魔女と太陽王についてを保存する部屋よ」


金烏玉兎。金烏と玉兎。太陽と月を表すその言葉は、この部屋にぴったりと言えるだろう。そんなことをアイザックは呑気に考えた。

まったく思考は場の空気を読めていないアイザックとは違い、隣でノクターンが口を開いた。


「その太陽王と月の魔女について、とは具体的に何もって?定義はあるのですか」


「御伽噺以上の情報が入っているもの全てに決まっているじゃない」


レイヴンの口から吐き捨てられた冷涼を孕んだその言葉はこの部屋を満たす冷気によく馴染んでいた。

言葉を聞いて鳥肌が少したった。


「御伽噺以上?」


「ええ、不要な情報が外に漏れないようにするのよ。歴史、というものは都合よく編まれるべきものですもの」


不要な情報。投げ捨てられた冷たい言葉。その直後、静寂の中でシャラリ、という硬質な音が耳をくすぐった。

隣を見るとノクターンが微かに首を傾げている。暗がりに揺れた彼女の髪飾りが、アイザックの瞳に痛いほど、白く映った。

レイヴンの指が本の背表紙を撫でる。この冷めた沈黙すらも、彼女の手のひらの上にあるような気がしてならなかった。


「その、不要な情報とは?」


「ええ?気になる?」


「ま、ここまで言っちゃって、聞かずに帰ってくれるわけもないわよねぇ」


最初から言うつもりで話を切り出しただろうにそう言って焦らしてくる女に嫌気がさした。

前置きが長い、アイザックもノクターンもいい加減そう感じていた。

レイヴンはわざとらしく大きなため息をつき、長いまつ毛を伏せた。


「なぜ、ノクターンとサンスーンが代々お互いに嫁がせあっているのかわかるかしら?」


アイザックには見当もつかない問いだったが、それでノクターンは何かに気づいたらしい。恐る恐る口を開いた。


「月の魔女と太陽王を繰り返さないため?」


「あら、察しがいいじゃない。その通りよ」


状況がまったく掴めない。何がどうしてそうなったのか。アイザックには理解ができなかった。

それを見かねたノクターンが助け舟として説明をする。


「月の魔女と太陽王は決して結ばれることはありませんでしたわ」


「まぁ、そうですね」


「だからこそ、和平の証に結ばれなかった二人の代わりとして子孫を代々交換している。ってところだと、わたくしは見当をつけましたわ」


「その通り、アイザック殿下はこれで理解できるかしら?」


「まぁ、一応。言っていることは理解できます」


「なら、話を進めるわね」


口元に称えた笑みは底知れない艶やかさを感じる。

この女は何を知っているのか、ここまで話しているのにも関わらず、腹の底のまったく読めない女。そうアイザックは考えた。


「何故だとおもう?」


「さぁ?」


「それはね、結ばれなかった太陽王は自らの血に呪い(まじない)をかけたわ」


「もしも、月の魔女が心の底から自分を拒絶したら自国共々掻き消えるようにね」


「月の魔女も自らの血に同様の呪いをかけたわ」


「なぜだかわかる?」


わからない。これにはノクターンもお手上げのようで彼女の赤い唇が動くことはない。

それを見てレイヴンの口角がニィっと上がった。


「それはね、相手が本当に自分を嫌いだと思っていないかったから。二人とも自国が消滅するだなって全くもって思ってないなかったのよ」


「要するに名君と謳われた二人も結局アホだったってことね」


彼女の口に浮かぶ嘲笑は、果たして自分たちに向いているのか、それとも2人の名君に向いているのか。

果たしてどっちだったのだろう。

第6話お付き合いくださりありがとうございます!


アホと言われた2人の名君。徐々に紐解かれる過去は2人を果たしてどんな運命へ誘うのでしょうか?


それではまた次回お会いしましょう!

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