クォヴァディス ―滅びの剣と竜姫の誓い―

憎むべき仇か、魂が求める運命の番（つがい）か――。滅びの力を持つ少年と、すべてを奪われた女帝の、偽りの主従から始まる王道ファンタジー。

罪を背負い牢に繋がれていた少年・コウ。
彼は世界を滅ぼすと恐れられる“滅剣”の継承者として、誰からも忌避され、孤独の中で生きていた。

そんな彼の前に現れたのは、竜族の皇女ィリーリア。
冷たい瞳で見据えられた瞬間、二人の間に“運命の音”が響く。
──竜族だけが持つ宿命の力、《エンゲージ》。
それは未来を共にする者を示す、抗えぬ縁の証だった。

帝国の陰謀により暴走させられる滅剣。
自らを犠牲にしようとするコウを、ィリーリアは銀の翼で追い、抱きとめる。
「私にあなたの未来をください」
その言葉とともに、二人は命を繋ぐ《騎士の契約》を交わす。

だが、契約は新たな火種となる。
罪人である少年が、女帝の騎士──竜騎士《ドラグーン》となったことは、国の秩序を揺るがす大事件だった。
そして決まった処遇は、国立クラルス騎士養成学校への入学。

無知で無力な劣等生として嘲笑されながらも、
彼はィリーリアとの契約を胸に、仲間と共に学園での戦いと陰謀に挑んでいく。

これは――
「愛が世界を救う」ことを証明する、竜と人との契約の物語。