あんたが楽しいなら。
「ヨーコさん、鬱積した気分が身体に一番堪えるって知ってる?」石ころを蹴飛ばしながらフィリップは私に問いかけた。
「急に何。私そんな顔してる?」突然の事に私は驚いた。一旦そこに座り彼の話に耳を傾ける。
「だって、俺たちの部隊を指揮していた頃のヨーコさんはもっとキラキラを輝いてさ、なんか今のあんたとは全然印象が違うんだよなぁ。確かに戦争は人を殺めたりするから悪だけど、先陣を切って敵のど真ん中へ一気に突っ込んでいった姿。みんなヨーコさんと一緒にいると豪快で勇ましい人間として活躍してられる。だから俺たちはついて行ったんだよ。」
「二人はまた、私に飛空挺に乗って欲しいの?」
「いや、それは今の立場じゃ駄目だと思うんだ。違った環境でもあの頃のヨーコさんなんだろうなって、勝手に思い抱いてた。だって、魅力的な行動ってのは天賦の才でなかなか出逢える機会がないから。ずっとそのままの姿で城で活躍してるのかと思ってたよ。」
「もう、争いは終結する。私が身を投げてもそうさせなくてはならないの。これからの子供たちのためにも。」
「それは、今すぐできる事なの?停戦した後も攻撃される不安はまだあるんだよヨーコさん。」
「…。相手国の人たちの心情もあるから、まだ急にはできないわ。」
「この話、ヨーコさんの若さは通用しない。それは大人が話し合わないと収拾がつかないから。だから毎日俺たちに会いにきて。ここでの生活は自由だらら。」
二人のそんな思いが心に刺さる。私は、こんな事態に陥りながらもひたむきに生きる彼らに甘えていた。