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久しぶりの再会。

私は、平民に扮して城下へ出ると、活気立つ市街地へと進む。戦争が終わったというが、まだ、天空には母艦が停泊し甲高い駆動音が鳴り響いていた。

「あの、音はなんとかならないの?国民はまだ苦しんで暮らしているのに。」そう不平を側近に漏らしたものの、側近は平然をした声でこう答えた。

「今はまだこうやって艦を停泊しておかないと、この湖を狙い敵国が攻めて来る可能性がございます。停戦してまだ3年。我慢して待つしかないのです。」


透き通る晴天の中、瓦礫と化した建築物には緑が生い茂り、破壊されたビルには捨てられた人形や以前の生活用品が残されていた。

「少し、郊外へ出て様子を観てみたいわ。あなた、ついて来なさい。」そう言うと私は湖近くの集落へと歩み出した。」


転移した頃の知性が備わっていたとしても、この国を一人で再建するには、それ相応の技術を持った民に協力を仰がなくてはならない。私はちっぽけな自分の力の無さを嘆きながら先へ進む事にした。遠くから見る城は立派に建っているものの、街の整備は遅れありとあらゆる緑の覆われ生活するための機能は以前とは比較にならない。


「食糧の供給も物流もまだ不十分。学校の爆撃で壊されちゃったし、城だけ無事でもどうしようもないわ。あなたはこの状況をどう思う?」

「どうと云われましても、私の一族は代々王国にお仕えする一役人。剣で貴方様をお護りする事しか考えておりません。」

詮方(せんかた)無いと言いたいのだろうけど、これからは私を護るしかできないのであれば、あなたはクビよ。我が国の公僕は国民によって生かされてきたの。民の生活が潤わなくては、どの国も安定できはしない。よく考える事ね。」

「閣下は何処へ行かれるのでしょうか?」

「昔の仲間に力を借りに行くのよ。私の戦友がまだこの国に居れば良いのだけれど。」


集落に入り、私はある家のドアをノックする。

「誰だい?開いているから入ってきて構わないよ。」そこには、小さな少年と少女が暮らしていた。

「フィリップ、セシルお久しぶりね。元気?」私は3年前の空挺部隊のエースパイロットと整備士と出会い食事をした。


「まぁ、ヨーコさんの話は判るけど、士官している俺たちの仕事はどうなるのさ。これ以上空挺部隊の人数が居なくなると有事に攻撃できなくなるんだよ。側近のお兄さんの云う事は正しいと俺たちは思うな。」


この子は戦中に生まれ、それを糧に生きて来た。当然そう答えるだろうと察してはいたものの、平時の生き方は士官学校では学んでいないのだ。屈託の無い笑顔でそう語る二人にしたのは、紛れもなく私の影響である。

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